親子だって、違う文化で生きている
我が家は典型的な中流家庭だけれど、ハンバーグはナイフとフォークで食べていた。
おそらく、それくらいしかナイフとフォークを使う機会がなかったからだと思う。
あるとき、泊まりに来た友人が、ナイフとフォークでハンバーグを食べるのを見てたいそう驚いていた。
文化の違いって、そういうことだ。
基本的に、文化に良いも悪いもない。
ハンバーグを箸で食べようが、ナイフとフォークで食べようが、スプーンで食べようが、自由だ。
文化の違いは国ごと、地域ごと、家庭ごとにあるけれど、文化の最小単位は家庭だと思っている人も多い。
私の母がそうだ。
親子だから、一緒に暮らしているから、同じ文化(≒価値観だと思っている人も多いよね)を持っていると思っている。
だけど、文化は集団の中で生まれるのではなくて、個人の中で育まれるのだと思う。
どれだけ同じ条件を揃えて生活してみても、どうしても揃えられないのは、「あなた」と「わたし」が別の人であるということ。
「あなた」が言ったことは「わたし」にとって「あなたが言ったこと」。
だけど、「あなた」が言ったことは「あなた」にとっては「わたしが言ったこと」になる。
そこだけは、どうしても揃えられない。
別の人であることは、どうにもできない。
たとえ遺伝子が同じである双子であっても、そこだけはどうにもできない。
全て同じ条件で生きるということはできないのだ。
だから、ずっと一緒に暮らしている親子でも、当然、違う文化を持っている。
それは大人同士でも、大人と子供でも同じだ。
そんな、一人一人違う文化を持った人たちが一緒に暮らしたりするために、また新しい文化を育んでいく。
お互いの文化を尊重し合いながら。
ここ数年、ハンバーグは箸で食べています。
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