テレビ屋は、ネットで人の心を取り戻す。
水曜どうでしょうディレクターの嬉野雅道です。
『Wednesday Style』創刊号の嬉野コラムをお届けします。
テーマは「テレビとインターネット」です。
インターネットは、テレビと対立しない。
世間では、数年前から "この頃テレビは面白くなくなった" と、テレビ離れが囁かれはじめ、テレビはその未来を心配される存在になり、最近では "もはやテレビは誰も見なくなった" とまで言われ、実際、家電量販店でもテレビは売れないのだそうで、子供部屋のテレビが壊れても彼らはもう買い換えたりはしないそうなのである。
なるほど日本社会はすでに、インターネットの世界へとその視聴習慣を移行してしまったようである。
それでも、テレビの健康番組で「豆苗(とうみょう)が身体にいい!」と特集された「その翌日にスーパーに行くと豆苗がきれいさっぱり売り場から無くなってしまってるのよ」と、さっき家の女房が笑いながら台所で発言していたから、なるほど、熱心にスーパーに出掛けて家族の健康を考え家事に勤しむ女房世代の主婦層にテレビはまだまだ見られていると言えるかもしれない。
だが、私がここで言ってみたいことは「どっこいテレビはまだまだ見られている」とか「どうすればテレビはもう一度見られるようになるのか?」などという、そんな「呑気な町興し」的なことではないのである。
ここで私が言いたいことは、インターネットはテレビと対立しているのではなく、むしろテレビ制作者に人の心を取り返してくれる場なのだという発見なのであった。
そのことを私はここで言ってみたいのである。
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