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「普通の人」嬉野さんの言葉の切れはし#329

今は、「普通」って言葉は、あんまし肯定的な意味じゃ使わないような気がするんだけど、どうですかね。
ーー嬉野雅道

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かつてね、思い遣る気持ちを大切にしながら自分の家族を養い、人生を送っていた人が、きっと普通にいっぱいいたんでしょうね。
無名に生まれて無名に死んでいった、ごく普通の人の話なのに。
なんだか、ぼくには沁みますね。
ひょっとしたら人間の分際を自覚して、傲慢にならず、穏やかな気持ちで日々を暮らしていけたのが普通の人だったのかもしれないですね。
そんな普通の人が、いっぱい生きていた時代は、そんな普通の人が国を支えていた時代だったのかな。
でも今は、「普通」って言葉は、あんまし肯定的な意味じゃ使わないような気がするんだけど、どうですかね。
それはつまりどっかでね、みんながもう、普通の人でいるのが嫌になっちゃった証拠みたいなものなんだろうかね。
だとしたら、そう思ったのは、いつ頃だったんだろうなと、思い出そうとするんだけど、どーも思い出せないね。
たくさん生きてるんだけどね。
ーー嬉野雅道(水曜どうでしょうディレクター)