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本日のウニ:バフンウニ①成体

バフンウニ Hemicentrotus pulcherrimus

北海道以南の岩礁帯で良くみられ、地域によっては貴重な漁獲対象物になっています。北陸で食べられる塩漬けのウニは本種が原料となっています。一般的にお寿司屋さんで目にする北海道産バフンウニと呼ばれるものはエゾバフンウニStrongylocentrotus intermediusであって、本種とは異なります。どちらもとてもおいしいとされますが、バフンウニは小型であるため可食部も小さくなります(ちなみに筆者はウニが苦手で食べられません。。。)。食べる部分は生殖巣、つまりオスなら精巣、メスなら卵巣になります。外見では区別しにくいですが、時期によっては精巣の方は白っぽい黄色or橙色、卵巣の方は濃い橙色に見えます。下田臨海実験センターでは県と下田漁協に許可をいただき、研究用として採集させていただいおります。

ウニは大量の卵と精子を取ることができるうえ、体外で人工授精させて生育過程が同調した(全ての個体が同じ速度で成長していくこと)大量の胚や幼生を得ることができるため、発生生物学・細胞生物学の研究材料として非常にすぐれており、世界中で長い間多くの研究者に利用されてきました。2001年にノーベル医学生理学賞を受賞したTim Huntは発生が同調するウニの初期胚を利用してサイクリンという細胞分裂・細胞周期に重要なタンパク質を発見しました。我が国でもバフンウニは長い間モデル生物としての地位を維持していましたが、最近はマイナーになりつつあります。それでも、全ての生物に共通するような生命の謎は当然たくさん抱えているし、ウニを使うからこそわかる生命現象のしくみは、これからもたくさん見つかると確信しています。

共同研究者とともに作成したバフンウニのゲノムデータベースはこちら。その論文はこちら

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