本日のウニ:タコノマクラ②2細胞期
受精後1時間半ほど経過した2細胞期のタコノマクラの胚です。透明さは相変わらずで、2つの細胞とも核がはっきり見えます。発生初期に細胞が割れることで生じる娘細胞は割れた後に細胞の成長を伴わないため、その期間の細胞分裂は特別に、「卵割(らんかつ)」と呼ばれます。卵割によって生じる細胞は「割球(かっきゅう)」と呼ばれます。以前紹介したバフンウニや今回紹介しているタコノマクラの割球はお互いに接着しているうえ、割球表面に見られる薄い透明層に包まれているため、なかなか離れることはありません。しかし、実験的にこの2細胞期の段階で割球を離すとそれぞれが個体になる、つまり双子を生み出すことができるため、古くからウニの割球を離してそれぞれを育てる研究が行われてきました。現在では、細胞の表面を取り囲んでいる透明層や細胞接着がカルシウムイオンCa2+依存的なものであることがわかっていますので、研究室内ではカルシウムイオンを取り除いた人工海水にしばらくつけると接着が弱くなり、ガラス針で2つに分離することが可能になっています。また、マイクロインジェクションという顕微鏡下で割球に注射をする技術を用いると、体の半分だけで、ある遺伝子の働きを抑えるとか、半分だけ緑色に光らせるとか可能になるため、それを応用して様々な遺伝子の働きや卵割期の一つの割球の子孫細胞が体のどこに位置するのかなどが調べられています。