本日のウニ:タコノマクラ⑤孵化前後期
タコノマクラは初夏に性成熟して卵と精子を放出します。そのため、飼育は室温で行うことになります。今回紹介するのは室温で6時間程度飼育した桑実胚(morula)ー孵化前胞胚(unhatched blastula)になります。タコノマクラの発生の中で最も好きなステージがこの桑実胚になります。理由はわかりませんが。。。細胞が非常に透明でレンズから最も離れた場所でもすごくキレイに観察することができるからかもしれません。一方、タコノマクラは発生の同調性に少し難ありなので、同じ時間に受精してもこのくらいの発生時間になると少し速いもの、遅いものが見られるようになります。右の写真は左と同じ時間ながらもう孵化している胚です。
受精後8時間が経って、孵化はしていますがまだ泳ぐものがいたりいなかったりの時間帯になります。図でリング状に見えるところは胚のだいたい真ん中あたりに顕微鏡のピントを合わせたため、仮想的に断面図が見えている状態です。この時期では一層の細胞層からなるボール状の構造で体はなりたっており、中央の空いているところは胞胚腔(ほうはいこう)と呼ばれます。胞胚腔には細胞外マトリックスがぎっしりと埋まっていて物質の移動やこののち移入してくる間充織細胞の足場として利用されます。