モーリタニア出国前日
2024/11/3
モーリタニア入国10日目。
首都ヌアクショットの宿で迎えた4日目の朝、ソファに腰掛け、用意されたフランスパンを頬張っていると、1人の男性が隣に座った。なんと日本人だ。
観光客そのものが珍しいこの国で、まさか日本人と出会うなんて…。
コバ君というその男性は既にアフリカの東側を巡り、それどころか世界で累計90ヶ国以上訪れているのだという。いやはや、旅を続けていると本当に色々な人に出会う。
彼は昨夜ヌアクショットに来たばかりだというので、私達は談笑しつつ朝食を終えた後、暑さが厳しくなる前の午前中に街を散歩することにした。
街のマーケットは大通りから遠ざかる毎に様子が変わり、工業製品から衣服、そして魚や野菜など段々とローカルさを増していく。
「モーリタニアの次は何処に行くんですか?」
私がコバ君に尋ねると、彼は明日セネガルに行くとのこと。ちょうど私も同じ行き先だ。
しかし実は昨日から今日にかけて、私は少し考えていた。
『セネガルか、どうすっかな…』
というのも、モーリタニアとセネガルの陸路国境は悪名高いことで知られている。
警察やマフィアが蔓延り、詐欺や賄賂が横行しているらしいのだ。
と、そういった事はもう経験済みなのだが、とにかく面倒…。相当なストレスになる。
『別に、何が何でもセネガルに行かなきゃならないわけでもないしな』
だったらモーリタニアからモロッコへ戻ろうとも考えていた。
そのタイミングで今回、コバ君との出会いだ。仲間と一緒なら、おそらく面倒事も楽しんで乗り越えられるだろう。
私の旅はいつもこういった偶然に任せて進んでいく。
そんなわけで、午前中のヌアクショット市内を散歩しながら私達は明日、共にセネガル入国を目指すことにした。
しばらく休んだ後、私達は再び外出し、今度は数km先の漁港を見に行くことに。
けっこうな距離を歩いたはずだが、弾む会話をしながらだったので、あっという間に到着。
そこは意外にも、地元の人達で賑わうビーチだった。
市場の活気と夕陽を楽しんだ私達は、すっかり暗くなった頃に宿へ戻り、国境対策の打ち合わせをして、この日は終了。
明日はモーリタニア出国、そしてセネガルへ入国だ。