カイセリを離れ
2023/11/20
カイセリ3日目。
この日でサンともお別れだ。
彼は午前中にイタリア・ローマに飛び、私はシリア国境部の街マルディンへ向かう。
時刻7:00。
宿で朝食を取り、サンを見送りに外へ。
しかし、カイセリ空港行きのバスが見つからない。
街の人に聞いても英語が全く通じないのでコミュニケーションが取れず、おまけにWi-Fiが無いのでネットで調べる事も難しい。
刻々と迫るフライト時間。残り90分。
流石に国際線に乗り遅れるのはマズいと、私はタクシーを勧め、サンが急ぎ足で乗り込む。
写真を取る余裕も無かったが、間際にハグをして見送った。
そして走り去るタクシーが見えなくなるまで手を振りつつ、私は“昨夜の出来事”を思い出していた。
「あのさ、ずっと気になっていたんだけど」
「なんでサンは出会ったばかりの私をそこまで信用してくれたの?」
彼は笑いながら、日本語に翻訳した文字を私に見せる。
今まで出会った日本人に
悪い人は一人もいなかったから
これだけ世界各国
世界中の人から信用されている
その事実を
どれくらいの日本人が知っているのだろう
この信用を
どれだけの日本人が大事にしているのだろう
タクシーが視界から消える
夢中で振った手に何か
冷たいものが当たるのを感じた
ふと空を見上げると
カイセリの街に雪が降り始めていた
世界一周を始めて約8ヶ月
初雪はトルコだった
時刻9:00。
ここからまた一人旅だ。
次の街マルディンへ向かうバスの出発は23:40。
まだ時間があるので、李教授とスレイマン君達が通う大学を訪問。
皆さん試験で忙しいと思ったので誰にも連絡せずに伺ったが、敷地も広く立派な大学だ。
ここで日本語や日本文化を学んでいるのかと思うと嬉しく、誇らしい。
1時間ほど見学し、不審者扱いされる前に後にする。
時刻15:00。
まだ早いが、もうホテルにも居られないのでバスターミナルへ。
ひとまず落ち着き、そこにサンからメッセージが届く。
I already arrived the airport and checked in, thank you so much for everything.
御礼を言うのは私の方だ
私の旅をより充実させてくれた
何より、無事にローマに飛べそうで
本当に良かったね
サンの今後が
より素晴らしいものとなりますように
さぁ
次はシリアと国境を接する街
マルディン
日本外務省が退避勧告を促す
”渡航危険レベルMAX4”
それに指定される地域だ
はたして…!