旅の行方
2023/8/27
ココン滞在3日目。
次はカンボジアのリゾート地、シアヌークビルという街に向かおうと思い、色々調べていた。
しかし、どうもピンとこない…。
資金に余裕が有れば寄り道してもいいのだが、中々そうもいかず…。
なので急遽ルートを変更し明日、早朝のバスで首都プノンペンへ行く事にした。
というわけで、今日が実質ココン最終日だ。
その後、別宿に滞在中のタカさんと合流。
酒屋でワインを買い、川沿いのベンチに腰掛ける。
私の旅の今後について、スケジュールやルート、予算、移動方法や寝泊まりの仕方などを話すと、やはり相当甘いみたいだ。
国の数、それも大陸ごと削らないと全然話にならないとの事。
加えて情報不足。本当にしっかり調べていかないと痛い目に遭うのは必至。
実際に、私は明日向かうプノンペンの事すらよく分かっていない。
タカさんはそこで2回も強盗に遭っているらしい。
周りの友人でも、カンボジアに限らず海外に数年滞在していて、一度も襲われていない人は皆無だという。
野宿とか言うてるけど
普通に死ねるから
本当にナメない方が良い
正直、マサくん(旅を)ナメてるよ
あと、素直過ぎて
この先ヤラれまくるんちゃうかなと
ちゃんと調べて
計画を練り直さないとヤバい
いやマジで
首都プノンペンにも、やはり一本道を入ると途端に治安の悪くなるエリアがあるらしい。
私はそれすら調べていない。
何があるか分からないから楽しい、なんて思っていたが、それは本当にナメた話。
私も出国から6ヶ月目に入った。
多少慣れてきた事による気持ちの緩み。
そして突きつけられる予算という現実。
そこにズバッと切り込んでくれる経験豊富なタカさんの言葉は、ワインを空けた私の酔いを覚ますのに十分な衝撃と説得力だった。
やがて日が暮れていく。
「良い景色ですね」
「良い景色やな」
いつもなら酒で解れた気持ちと共に、のんびりと堪能する筈だが、今日はなんだか少し厳しい目で夕陽を眺めていた。
決して悪い気分ではない。
「楽しさ」と「哀しさ」が混ざり合った、不思議な感覚だ。
それは「今」と「この先」を暗示しているのかも知れない。
すっかり暗くなり、私達はスイス人の中年男性が営む、小さなイタリア料理店に入った。
オリーブオイルがたっぷり掛けられたカプレーゼ。
そこに細かく刻んだチーズを振りかけ、バゲットを染み込ませる。
程良くバジルが効いた、シンプルなパスタ。
ビールを注文し、再び酒を交わす。
やがて地元の常連客も集い、ワイワイと楽しみ、気付くと時刻は既に24:00を過ぎていた。
店を後にし、コンビニで水を買い、タカさんとも此処でお別れだ。
「良い旅を」
そう言って、タカさんが手を差し伸べてくれる。
「これ(バック)パッカーの挨拶やから」
私はそれに対して何と返事したら良いのか分からなかったが、ガッシリと手を握り返し、静かな田舎町の路上に響く、大きな声で
「はい、ありがとうございます!」
と胸に手を当てて応えた。
「まぁ、たぶんまた会うけどな」
タカさんはそう言って背中を向け、私も逆方向にある宿へ歩いて行った。
2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。