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実効支配されるという事

2024/10/18〜2024/10/19

特に何をするでもなく、ただゆっくりし過ぎたアンザを8日目にして出発。

パキスタン人のフラムと

彼は母国の国境にある街ラホールで教師として働き
父親はその設立者

「パキスタンに来たら連絡をくれ」
有り難いお誘いだ、行ってみたいなパキスタン


アガディールのバスターミナルから
西サハラへ


バスが夜通し走り続ける中、私は酔い止め薬の眠気に任せて微睡んでいた。

街灯も無い暗闇で、果てしなく広がる砂漠だけが月明かりに反射し、薄白く浮かび上がっている。

それは本当に幻想的で夢見心地ではあるが、同時に恐怖も感じる怪しい景色。

『あぁ…今ここで襲われたら助からないな…』

意識朦朧としてカメラは取り出せなかったが、車窓で隔てられた異世界を目の前にして、そんな事を考えていた。

午前8:00
約12時間かかり、ラーユーヌに到着


意外にも夜はまだ明けていなかった。
急いでもしょうがないので、明るくなるまでバスターミナルで待つ。

そして市街地へ
なんだ、このゲルみたいな建物は…
徒歩50分
ようやく街が見えてきた
街の中心部にシンボルの如く鎮座する
マクドナルド


何となく、あくまで第一印象…そして先入観を拭えていない事を承知の上での感想だが…




雰囲気がメチャクチャ重い…





そこら中にモロッコ警察が軍用車を並べ、見張りを立てている。
何かこう…「絶対に反逆の隙は与えない」という意思を感じるような…。
そう、街と市民を守るためではなく、むしろ制圧して抑えつけているのだ。

至る所に掲げられるモロッコ国旗


なるほど…実効支配とはこういう事なのか…。
夏に訪れたウクライナのキーウより殺伐としてるな…。
それもこれも、やはりフォース(武力と権力)が街と市民に向けられているから…なのかもしれない。

とはいえ、危険は感じない。それどころか、こんなに警察がいたら事件に巻き込まれる事などまず無いだろう。
下手な真似をしない限り安全だ。もっとも、写真を撮る事すら気を遣うが…。

街外れにある湖
その向こうには砂漠が広がる


市内には幾つか庭園があり
それなりに手入れもされている

たしかに…たしかに街は静かで落ち着いている。しかし“穏やか”なのか?といわれると…。

普段ならベンチに座って佇むはずのこんな場所も
何故か長居する気になれない


考えてみれば、武装組織が建てた(と主張する)国だ。それに対抗するにはやはり武力、という事になるのだろう。

モロッコとサハラ・アラブ民主共和国。
どちらが正しいかはわからない。そんなものは立場、見方でどうとでも解釈できてしまう。
しかし何より一般市民は、子供は、この街に住みながら何を思うのだろうか。



夜になると街には人が集まり、昼間の殺伐さが嘘のように活気づき始める。

皮肉にも、その様子はモロッコの街と全く同じだった。
少なくとも私が見る限りは…。

強制コントロールされた世界を初めて知った私は、そんな複雑な気分で初日を終え、ベッドの中で今日を振り返る。

…少し時間が経てば印象がまた変わる、かもしれない。


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URBANRANCH
2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。