3度目の奇跡
2024/3/24
ジョージア入国2日目、首都トビリシ。
朝、目を覚ますと隣のベッドのディランは既に起きていた。
スマホで何やら調べている。
ヒッチハイクのルートかと思いきや、そうではないらしい。
随分のんびりしているなぁと見ていると彼は
「ヒッチハイクするのが面倒でたまらない」
と笑った。
気持ちはわかる。
ヒッチハイクはけっこう大変なのだ。
「ただ路上に親指を立てて待つだけ」
と言われるとそうなのだが、その場所選定、そこに行くまでの手段や移動時間の下調べ、そして失敗に備えた第2計画。
いつ止まってもらえるかわからない中、刻々と過ぎていく時間に伴うプレッシャー。
乗せてもらった後のドライバーとのコミュニケーション。これが最大の醍醐味なのだが、実際は疲労と安心感、車内の暖かさ等でものすごく眠くなる…。
とはいえ、危機察知と危険回避を怠ってはいけない。
ディランも先日、同性愛者に迫られてトラブルになったと言っていた。
この類の話はよく聞く。私はまだ遭っていないが…。
ちなみにヒッチハイクは基本的に無料で乗せてもらうわけだが、ではお金が浮くかというと、意外とそうもいかない事は多い。
バスや列車を使えば1日で辿り着ける場所でさえ数日かかる場合もあり、その分の食費や宿泊費は嵩む。とりわけ目的地の途中で降りる事になると大抵、安宿がなかったりする。
では何故ヒッチハイクするのかと言われたら、やはり唯一無二の体験が得られるから。
私の場合はそういう結論になる。
あの一期一会の瞬間には得も言われぬ喜び、楽しさ、切なさ、浪漫があるのだ。
まぁ初心者の私では説得力に欠けるかもしれないが、再び此処ジョージアで積極的に挑戦したいと思っている。
「カナダや南米にも行くの?マサキ」
「うん行くよ、来年の秋くらいかな。いつも無計画だから時期はわからないけど…」
「ハハ、じゃあ南米でまた交差するかもね」
「そうだね、そう願うよ」
前回も似た会話を半分本気、半分冗談でしていたが、今回は“まんざらでもない”とお互い思っている。
何せ私達はイスタンブール、そして此処トビリシと、2度もそんな奇跡を共有しているのだ。
3度目の奇跡があっても不思議ではない。今ならそう思える。
「じゃあ、また会おう」
お互いハグをして、そう伝えた。
ヒッチハイク場所に向かうバスに乗り込んだディランの笑顔は、昨夜の雨が嘘の様に晴れた陽に照らされ、輝いて見えた。
一人になった私はその後、晴れやかな気分で街を散歩。
時刻20:00。
宿に戻り、食事。
同室には巨体のアメリカ人と、自身を「ビン・ラディン」と名乗る少し過激な自称イスラム教徒がいる。
夜中、彼らが突然電気を点けて騒ぎ始めたので何事かと思い、目を覚ました。
それに気づいた彼らは私に「申し訳ないね」と言って、食べ物をくれる。
そんなトビリシ序盤だが
今のところ楽しく過ごせている