住む街ウェドゼム
2024/9/23
この街のゆったり感がたまらない。
今まで訪れたモロッコの都市、10くらいあるだろうか。数えていないが、そのくらいだと思う。
その中でも1,2ほど長閑な街。だが活気はそれなりにある。
日中は幹線道路に多くの車が走り、夜は商店街を埋め尽くす、とまではいかないにしても行き交う人々の会話で賑やかな喧騒が生まれる。
青の街シェフシャウエンは穏やかだったが、やはり有名観光地としての非日常感は否めないし、人口の少ないアンザも海を楽しむ者達の陽気さによって、ある種のお祭り感が醸成されていた。
いや、もちろんどちらも良い所に変わりないのだが、例えば“生活するには”と考えた場合に、尖ったものが無いこのウェドゼムが向いているように思う。
しかし尖っていないとはいえ、特徴が無いわけでもない。
午後、青年海外協力隊の業務を終えたアツシ君が私を市場へと連れてくれた。
毎週月曜日のみ開かれる、住民の為の路上マーケットらしい。
カッポカッポと、文字通りに道路を闊歩する馬車タクシーを横目に、市内中心部から歩き遠ざかること約10分。
そこは昨日、偶然通りかかった際には確かに広大な空き地だったのだが、この日はそれを丸ごと覆い尽くす何十、いや何百ものテントで占められ、まるで異世界に迷い込んだような錯覚を覚えるほどの変貌を遂げていた。
いやぁ、それにしても驚いた。
モロッコで見た中では今のところ最大規模の路上市場。
それがカサブランカやフェスではなく、此処ウェドゼムにあるとは…。
これから行くマラケシュはどうなんだろう。
夜、帰ってきたアツシ君は私をオススメのタジン屋に連れて行ってくれた。
「いえいえ、旅人にお金出させるわけにいきませんよ」
と、またもご馳走してくれたアツシ君。
「タムラさんも僕と同じ立場ならそうするでしょ?」
って…それはたしかにそうだけど、有り難いやら申し訳ないやら…。
いや、本当にありがとうございます…!
そして家に帰る間際、アツシ君の通うジムに少しお邪魔させてもらった。
うん、やっぱ良い街だな、ウェドゼム。