
集大成
2023/11/29
ホームステイ3日目。
この日でユージャリィさんとお別れになる。
トルコでの一般生活をありのままに体験するという貴重な機会。
印象的なのは
「トルコの家庭では電子レンジを使わない」
というもの。
例外もあるだろうが、その電磁波が体に悪影響を及ぼすとされているらしい。
或いは、自国料理に誇りをもつトルコ人の拘りもあるかのも知れない。
ちなみに彼はサラダ油も一切使わず、自家製のオリーブオイルのみ。
スパイスも自分で調合する。出発前に少し分けて持たせてくれた。
パスタやスープなど、何にでも使えるそうなので楽しみだ。
そして敬虔なイスラム教徒である彼ならではの話もたくさん聞く事ができた。
とはいえ無理やり勧められる事は無く、かくして初のカウチサーフィンはトラブルも無く終了。
最後まで親切だったユージャリィさんに御礼を伝え出発し、まずはタカシさんと共に近所の商店で40円のパンを2人で分け、朝ご飯。
軒先で小雨を凌ぎつつ食べている途中、不意に彼は道路に飛び出す。
そして通り掛かる車にグッドサインを出すと、なんと一台目で止まってもらえた。

全く車の気配に気づかなかった…
このアンテナの高さが経験値を物語る
ちなみに
エスキシェヒルとカイセリでお世話になった
スレイマン君の話によると
トルコでグッドサインは問題無いとの事

「給料は変わらず、物価だけが上がっていく」
と嘆いていた
まるで日本の現状を見ているようだ
事実、トルコ都市部の物価は
日本と同じか、それ以上に高い
にも関わらず彼らは果物を差し入れてくれたうえに、まさか私達を今日の宿泊先まで直接送ってくれた。
場所はアンタルヤ中心部近郊のマンション
そう
今夜もホームステイである
出迎えてくださったチャーダスさんは私達をベッドに案内し、食事まで提供してくれた。

チーズ、オリーブの実
「シャワー、キッチン、冷蔵庫も自由に使って」
もちろん全て無料だ
有り難い…!

「ただ、猫がいるからグラスの扱いに気をつけて」
壁には今まで受け入れたゲストによる
同様の注意書きが
数々の調理器具、食洗機まで揃う彼の家だが、やはり電子レンジは無い。
これは所謂”旅行”ではなかなか知る事のできないトルコの文化だ。
「トルコの料理は本当に美味しい」
と伝えると、彼らは
「わかってるねぇ〜!」
と、グータッチのポーズを取る。
それだけ自国の味に自信と誇りを持っているのだ。だからこそ、よく奢ってくれる。
チャーダスさんはイスラム教徒ではないので、酒を飲む。
それどころか、彼はビールやウォッカ、ウイスキーを自分で作っているのだ。
早速そのビールを飲ませてもらうと、これが何ともフルーティーで美味い。
「売ったらお金になると思うよ」
と話を振ると
「自分の飲む分が無くなるから売らない」
との事。

ウイスキー作りをさせてもらう



流石に蒸留・熟成とまではいかない





このタイミングで、お互い同い年だと気付く
話が良く噛み合うので
『もしかしたら』とは思っていたが…
なので旅の趣向も似ているのかも知れない

食材はもちろんチャーダスさんの物

知っている唯一の日本語で応えてくれる
いえいえ
御礼を言うのはこちらの方です、本当に…
久しぶりに飲む高度数の酒で
顔が真っ赤になる私
ひとしきり会話に花が咲き、ベッドが2つ並ぶ部屋に戻る。
そして、また旅の出来事を話し始める私達。
再会してからの数日間、時間がいくらあっても足りないくらいだ。
しかし彼は明日の早朝
このアンタルヤからイスタンブールへ飛び
モンゴル経由で帰国の途に着く
出国前から知る私も感慨深いが
しんみりした空気は無い
濃密だったタカシさんの旅
その集大成を祝う最後の夜
ずっと感謝の気持ちで一杯の夜だった
いいなと思ったら応援しよう!
