アンドラ公国へ
2024/11/10
深夜のトゥールーズ・ブラニャック空港。
空港泊禁止ルールの中、忍び歩いていると警備員達に見つかり「出ていけ」とフランス語で促される。
「Ok,Ok」と何となくわかったフリをして彼らの下から去り、服を着替え、帽子を脱ぎ、バッグカバーを外し、コンコースの死角に身を潜め、且つ搭乗券を持った数人の客に紛れ込み、顔を隠して寝た。
結果、無事に朝を迎える事に成功。
警備員に出入り口まで付いて来られなかったのが幸いした。
しかし、もう2回目は通じないだろう。
そして相変わらずフランスの宿は高い…。
というわけで朝10時過ぎ、早速バスのチケットを取り、アンドラ公国へ向かった。
ピレネー山脈の麓にあり、フランスとスペインに挟まれた小さな独立国。
実は以前から興味のあった国なのだ。
ここでゆっくり一泊…と思ったが、やはり安宿が無い…。なので今夜またバスに乗り、そのままポルトガルに向かう。
したがって、アンドラ滞在は僅か3時間。
どうやらこの国はスキーリゾートとしても有名な他、宝石などが免税価格で買えるタックスヘイブンとしても知られているそうだ。
静かで平和、豊かな自然。
高地にある首都アンドラ・ラ・ベリャの空気は冷たく新鮮で、その爽やかな秋の風に散る落ち葉が、冬の訪れを想起させる。
街を歩いているのは見たところほぼ観光客。
それも色んな意味で余裕のありそうな人達だ。バックパッカーが来る場所ではないと、すぐに気付いた。
今までとは違った周りからの視線。
さーせんね、貧乏人で。
なるほど、想像した通りのリゾート地だ。
街並みは至って普通で、現代的なビルや店が立ち並ぶ。とはいえ、セネガルから来たばかりの私にはとてつもない安心感…。
それにしても、よく見ると休業や閉業の店が目立つ。最初は豊かさを感じていたが、しばらくすると殺伐さに気付いた。
もしかすると景気は良くないのかもしれない。或いは積雪以降に盛り上がるのだろうか。北海道でいうところのニセコみたいだ。…行ったことはないが。
とにかく、これではせっかくのタックスヘイブンが台無し。とまでは言わないにしても、期待して来た観光客は少し残念に思うだろう。