ヌアディブのジョニー
2024/10/26
相部屋を一人で使えたこともあって、十分に休めたモーリタニア入国2日目の朝。
さて、気温が高くなる前に街を見て周ろうと、午前中に宿の門を開く。
”Hey, where are you going?”
”What do you want to do?”
“Can I go with you? I'll show you the city.”
マジか…いきなりかよ、宿で待ち伏せって…。
この国、この街で流暢に英語を話すなんて、それだけでも観光客を狙った案内チップ目当てなのがバレバレなのだが、しかしそれほど悪徳には見えない。
『まぁ…様子を見てみるか』
わざわざ誘いに乗る理由もなかったのだが、何となく自分の勘を試したくなった私は、そのジョニーと名乗るセネガル人の男と一緒に行動することに決めた。
案内された場所は漁港だった。
ヌアディブといえば、まずは何より水産業。
特に日本人にとっては切り離せない存在だ。
なぜなら日本で食べられているタコの大半は輸入品。中でもモーリタニアが最大の相手国となっており、その多くはヌアディブから輸出されているからだ。
ちなみに次点は西サハラで、モロッコがこの地を欲しがる理由の一つは、こういった水産資源。実効支配している状況なので当然、日本に届くタコはモロッコ産として表記されているが、欧州は既にその点を否定しているとか…。
「ところで、俺には2人の子供がいて、その子達に米を食べさせなければならないんだ」
「だから…100MRU(約400円)でいいんだ」
やはりな…そらそうくるでしょうよ…。
一応ゴネてみる。しかし退かないジョニー。
『まぁ、3時間も案内してくれて水も奢ってくれたし、対応も良かったからな』
私は100MRUを渡して宿で彼と別れた。
今回、私の勘は外れていなかったようだ。