おもてなし
2024/4/18
What's problem?
No problem!!
カズベキから10Km先の小さな村、シオニ。
その2日目、時刻は6:30。
キッチンから物音が聞こえる。
トイレのついでに覗いてみると、体格の良い中年男性が料理を作っていた。
『彼が噂のオーナーか』
この宿の情報は事前に得ていた。
ザザという名のオーナーがとにかく親切だと。
しかし、初日は気づかなかった。
何せ昨日、彼はこの宿にいなかったのだ。
それどころかスタッフも、他の宿泊客さえもおらず、私とサトミちゃん、アジちゃんは一軒家のこの宿を貸し切りだった。
当然、代金はまだ支払っていない。
「あの、昨夜の宿代を払いたいんですが…」
「いいよいいよ!後でいいから。もう少しで朝食が出来上がる」
後でいいって…。もし私達が早朝に金も払わず出ていたら彼は大損だ。勿論そんなことはしないが…。
「何が問題なの?問題ないでしょ」
それが彼の口癖だった。
この日、私達はチェックアウトして隣町に行こうかとも話していたのだが結局、ここで延泊することにした。
この宿の評判はオーナーのザザ自身なので、私達は彼に興味があったのだ。
ザザは私達を車に乗せ、周辺の見所に連れて行ってくれた。
宿泊代は2泊で1人あたり45GEL(約2,608円)。
それ以外は、日中のツアーもご飯も全てサービスという事になる。
しかし、そんなわけにはいかない。
私達は少し多めにお金を払おうと考えていた。
実際、ビジネスではこういった手法は珍しくない。所謂、恩を売って利益を得るパターンだ。
ましてやザザにとって宿は副業なので、こんな事をする余裕があるのも納得できる。
しかし彼はそうではない
只々、親切心のみ
そう思える態度だった
話し方や顔つきから人柄が垣間見える。
彼はおそらく、単純に人をもてなす事が好きなのだろう。
そして喜んでもらうのを楽しんでいる。
それが伝わるこそ、私達は数々のお世話に甘えてきた。
これが海外でよくある様に、後に強制請求される様子なら私達は断っていただろう。
4人でテーブルを囲む、家族団欒の様なひととき。
やがて時間はビールと共に無くなり、“そろそろ”といった頃合い。
「明日、私は早朝6:00に仕事に行かなければならないんだ」
ザザはおもむろに口を開いた。
「わかりました、じゃあ今お金を払いますね」
「いいよいいよ!明日でいいから!」
「私はいないけど、冷蔵庫にある食料で何か作って食べていって」
「いやいや、それは…」
What's problem?
No problem!!
2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。