死を意識した話

2023/5/13

無事に空港泊を終え、ノイバイ国際空港からベトナム首都、ハノイの旧市街にあるゲストハウスを目指す。

モンゴルで一緒だったハウスメイトから、バスが安いとアドバイスをもらっていたので、バス停を探した。

その間、昨夜と同様にタクシーの客引きにひたすら声を掛けられるも、全て無視または断り、見つけたバス停まで歩き進める。

ところが1人、とんでもなくしつこい客引きが現れ、私がバス停のベンチに腰を下ろしても横に座り

「旧市街行きのバスは来ません」

と翻訳アプリをかざして見せてくる。




『そんなバレバレの嘘に乗るかよ』

そう思いながら断り続けるが、相手も値段を下げながら何度も何度も交渉をしてくる。

そして、とうとう120,000ドン(約¥700)まで値段を下げ始めた。

『宿まで直接行けて¥700ならアリか…』

何より相手の余りのしつこさに呆れと同情を覚え、それで話を決める事にした。


ところが、最初は屋根だけ付いたオープンカーの様な車で送る話だったはずだが、それではないと別の場所に連れていかれる事に。



そして客引きが見せてきたのは








オートバイ






おいおいちょっと待て!
こっちは20kgのバックパックを
背負ってるんだぞ!!


ところがもう話は止まらない…!

背中に重いバックパックを背負ったまま
初めてオートバイに乗る。
しかも2人乗りだ…!







ぬぅぉぉおおおお!!!



客引きの運転手のどこを掴んで乗ったら良いのかも分からず、とにかく必死にしがみつく…!


そして走り出して約5分後、同業らしきオートバイ仲間を見つけた客引き運転手は、走行しながら何やら打ち合わせをし始めた。


そして





「こっちに乗り換えろ」



私をオートバイ仲間に引き渡すというのだ。


おそらく、それで仲間からマージンを受け取り、自分は他の客を探そうという魂胆なのだろう。



「いやいや、それならもう乗らない」

私はそう言い、お金も払わずにオートバイを降りた。


空港からは少し離れたが時間はあるし
引き渡しなんて、そんな馬鹿な話あるか


郊外の幹線道路を1人、空港に向かって歩き始める。

ところが、その客引き運転手は

「わかった!わかったから!」

と、どこまでも付いてくる。


たしかに、時間はあるとはいっても周りに頼るものは何もなく、私も私でキツい状況なのだ。

「120,000ドンだぞ、それだけだからな」

そう念を押し、再びオートバイに乗る。


ところが走行中
再び何度も値段交渉を迫られ
全て断ると、その度に運転が荒くなる…!





ぬぅぉぉぉおおおおお!!!





マジでやべぇ……!!!



20kgのバックパックが横に偏り、腰が我慢できない程痛くなるが、ここで無理やり体勢を整えたら転倒しそうだ…!!







しかもこっちは短パンである。






更に、30分以上経っても一向に着く気配が無い…!





これ、転倒したら入院だな…!




いや、入院で済むだろうか…!!






『いいか!これで転んだら、わかるな…!』



そう伝える様に、客引き運転手の腹に両腕をガッシリと回し、腰の痛みに耐えながら到着を願う。




そもそも



目的地にちゃんと連れて行ってくれる
保証はどこにも無いのに…!!


危険な場所に連れて行かれる可能性も考えながら、ただただ運ばれ続け





「ここだ」



1時間ほど走り、着いた先は
予約したホテルとは別の建物だった。



『もういい、金を払ってとにかく降りよう』


約束の120,000ドンを渡そうとすると


「違う、150,000だ」
と、最後までゴネる客引き運転手。



「No」



無理やり120,000ドンを渡し、足早に去ろうとする私に向かって、その男は翻訳アプリをかざして見せ







「日本人で一番酷い友人だ」

と捨て台詞を吐いた。


幸い、送ってくれた先は予約した宿の近所だったので、グーグルマップですぐ見つかり事なきを得たが、正直






死ぬかもと思った。


いいなと思ったら応援しよう!

URBANRANCH
2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。