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ヒッチハイク to…

2024/9/13


緑色の街、ウェザーン3日目の朝。

ユウカちゃんとはここでお別れ

彼女はバスに乗り
カサブランカから帰国の途につく

結局、連絡先は教えてもらえなかったな
俺が空気を察して聞かなかったってのもあるけど

でもBluetooth経由で旅情報や写真を送ってくれたり
餞別にお菓子やティッシュを買ってきてくれたり
同じ部屋で寝泊まりして活き活きと喋っていたので
たぶん嫌われてはいないんだろう

まぁ皆それぞれ考え方があるし
縁があれば何処かで会うでしょう
またいつか!


さて…。
私はメクネスを目指すことにした。
約300年前まではモロッコ首都だった内陸の街だ。

移動手段はヒッチハイク。
なので、まずはそのポイントまで4km歩く。

枯れ草を食べる羊
メクネスまで132km


正直、この日は条件が良くない。
金曜日はムスリムにとって特別な日であり、店は大半が閉まり、交通量もかなり少ない。
休日に外出する日本とは違うようだ。

それはわかっていたのだが、もうウェザーンは十分だし、バスに乗る気分でもなかった。

『かといって、ヒッチハイクもなぁ…』

そんな宙ぶらりんな気持ちでスタート。
時刻は12:00。

大抵、意思がハッキリしない時は上手くいかない

せめてもの救いは日陰があること。
気温36℃の熱を避けながら、止まってくれるのを待つ。が、予想通りの苦戦。

それでも開始1時間で初の車が。
彼らはフェスに向かうらしく、目的地は違うが、その分岐点まで100kmくらい進める…!

と思っていたのだが…

私がアラビア語を話せないと知り
空気は徐々に重くなり
さらに礼拝を呼び掛けるアザーンが鳴り響くと

「ご飯を食べていきなさい」
と車を止め、私に昼食を奢ってくれて
彼らはモスクの中へ…

それでも有り難い…!

そんな予想外に降りた街、いや村はAin Defaliという所。

メクネスはまだまだ先、散策する暇は無い。
村の端まで歩き、再び親指を上げる。

再開してすぐに子供が近付いてきた。
また珍しいアジア人を茶化しにきたのかと思ったが、どうやらそうではない様子。

なんと、持っていたパンや葡萄をくれた
飲みかけの水も
ヒッチハイクにある種のロマンを感じる少年は多い

うん、わかるよ

ありがとう!




しかし


絶望的に車が少ない



だーめだこりゃ


とはいっても既にウェザーンまで歩ける距離でもなく、ここに宿があるとも思えない。
毎度毎度、このどっちつかずな時が一番つらい。
まぁ今回は村があるだけマシだが…。

『もし駄目なら、タクシーで引き返すか』

『いや、どうせ乗るならメクネスまで行くか…』

そうこうしていると、今度はタクシーが止まった。

「……メクネスまでいくらですか…?」

「160MAD(約2,338円)だ」

「なるほどありがとうさようなら」


即決でタクシーから離れた私にドライバーが近付いてくる。
翻訳アプリで会話すると、どうやらお金は要らないと言っている。

いやいやいや、160→0って…。そう思ったりもしたが、私はこれまで何度かタクシーに無料で乗せてもらったことがある。
何より、ここでヒッチハイクを続けていても希望が無い。

「本当ですか!?ありがとうございます!」

そう言ってタクシーに乗り込んだ私は、乗車しながら今夜の宿を探す。
そして10分後

「着いたぞ、ここだ」

「えっ?」

「ここからの方がヒッチハイクに良いだろ?」

最寄りの街で降ろしてくれたドライバー

そ、そうですね…
いやたしかに…!
ありがとうございます!


Jolf El Melfaという街

この時点で時刻は既に17:00をまわっている。
またヒッチハイクをして、山の中に降ろされてしまったら終わりだ。
それに、ここはさっきの村と違って少し拓けている。安宿もあるかもしれない。

『悔しいが、今日はこの街に泊まるか…それが無難で妥当だな…』



とはいかなかったんですよね
気持ちが


この“何が何でも何とかしたくなる性格”が、いつか裏目に出ると思ってはいるが、今一度賭けてみる。

何とかなるだろう、なんて思っていない。
もう疲れてて、そんなこと考えるどころではないのだ。

何台か止まってはくれるが、メクネスまでは遠く、乗せてもらえない。

そして夕方18:00に差し掛かった頃、ようやくOKと言ってくれる人が…!

ドライバーの彼はフェス方面に行くらしく
メクネスとの分岐点まで乗せてもらえることに

つまり
またヒッチハイクしなければならないのだが
もう細かいことを考える余裕は無い
休憩地点
モロッコでは車にエスプレッソ・マシーンを積んだ
コーヒー屋台をよく見る

「ところで、さっき君がヒッチハイクしてた街は危ない所だ。あそこは警察もセキュリティもいないから治安が悪い」

「メクネスまで安全にヒッチハイク出来る場所で君を降ろしてあげるよ」

親切な彼は私にそう言って、当初予定していた分岐点を越え、さらに車は走り続けた。

どんどん、どんどん…。


……って、どこまで行くのかな…?


これは…

おそらく、その先の枝分かれした幹線道路まで連れて行ってくれるのだと思うが、だとするとフェスの方が断然近い。
何よりもう時刻は19:00。
さすがにこれ以上無理はできない…。

「あの…やっぱりフェスで降ろしてもらえますか?」

「えっ、フェスでいいの?」


急遽、目的地を変更し
彼と同じ行き先まで連れて行ってもらう
ハリラまでご馳走してくれた
モロッコ先住民族“ベルベル人”の彼

何人か出会ったが、本人達も言うように
モロッコ人とは少し性格が違う
なんというか、落ち着いていて日本人に近い雰囲気

とにかく助かった…!
本当にありがとうございます…!


もう陽が暮れ始めている
ギリギリで目的地を変更して正解だった
以前泊まった宿までバックパックを背負って向かう
約9kmの道程

ヒッチハイクは意外とよく歩く
結局
移動距離にするとメクネスより遠い142km
無事に次の街まで辿り着いて宿に泊まれたが
これは成功なのだろうか…

わからないが、とりあえず休もう

マ…ジ…で…つ…か…れ…た…


2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。