サハラ砂漠でHitchhiking
2024/10/21
ラーユーヌ3日目、チェックアウト。
意外にも道路はきれいに舗装されていて、交通量も悪くない。そしてアラビア語で書いたサインが功を奏したのか、ドライバーがきちんと反応してくれる。
「ごめんごめん」
「遠くにはいかないよ」
「おっいいね、頑張れよ!」
完全に白い目で見られると思っていたので、とりあえずリアクションがあるだけでも嬉しくなってしまう。
そう、開始1時間までは…
諸々の条件が悪くなかった分、予想より早く止まってくれるかと思ったが、やはり甘かった…。
そして、あっという間に1時間半が経過。
『うーん…なかなか厳しいな…』
そう思い始めた矢先、1人の現地人が何故か私に向かって近づいてきた。大きな目をギラリと光らせながら、ニヤニヤと笑みをこぼして何か言いたげだ。
これは厄介な事になると感じた。なので私は帽子を深く被り、サングラスを着用して目を合わせないよう警戒。
すると、その男は
“Where are you going? ”
”It's the same direction.”
”It's hard to catch a car here, so it's better to go this way.”
意外にも
「同じ方向だ、一緒にヒッチハイクしよう」
と英語で私に持ちかけたのだ。
そう言って彼は私の前を通り過ぎ、先へと歩いて行く。
私は一旦軽く受け流した後、少し考えた。
『たしかに、此処だと見込みが薄い』
『それにあの口調、呆気なく遠ざかる様子…どうやら悪い人ではなさそうだ』
私は少し離れた彼を追いかけ、その意見に乗った。
慣れた雰囲気から察するに、この辺りでヒッチハイクをするのは初めてではなさそうだ。
それにアラビア語を話す彼なら交渉もしやすいだろうし、ドライバーも私よりは心を許す気がする。
しかし、それでも車は止まってくれない。
「ダメダメ」と反応してくれるのがムスリムとして、せめてもの情けなのか。
とにかく、そうこうしているうちにヒッチハイク開始から3時間以上も経過してしまった。
ゲート内で公安の軽い職質を受けた後、更に歩いた先で彼が言う。
「最終ポイントだ、此処でなんとか車を止めなければならない」
たしかに、この先は地平線の先まで果てしない直線。これ以上歩いても仕方が無いだろうし、いよいよ引き返せなくなってしまう…。
「OK、やるしかないね」
私が応えた後、彼は笑顔で言った。
ちょっと疲れたから
1時間だけ寝るわ
えっ…?
サハラ砂漠で天を仰ぎつつ、私は考えた。
『もし駄目ならバスか…まだ間に合うはず』
『間に合わなければ宿で延泊だ』
『仮に中途半端な所まで進んだら、下手すると野宿か…』
『このオジサンと…?』
いや、待てよ
このオジサン
本当に“1時間だけ”寝るのか…?
しかし、粘れども粘れども車は一向に止まってもらえない。
…今なら…此処からならまだ引き返せる…。
悔しいが、深追いは得策ではないな…。
いや〜それにしても、また此処から歩いて戻るのか。キツイわ、ほんと。
しかし、そうするより他ない。
がっくりと肩を落とす私の前を1台のタンクローリーが通り過ぎ、赤いテールランプを光らせ、クラクションを鳴らした。
もう今日は疲れた…宿を延泊してシャワー浴びて、寝よう。頭痛もしてきたし…。
モロッコでヒッチハイクしてから毎回だが、アフリカで長時間のヒッチハイクは体に堪える…。
陽射しの強弱に関係無く、熱射病気味になるのだ。それに、ヒッチハイクは神経を使う。
ありとあらゆる場合を想定しながら行うそれは、体力もそれなりに必要だとよく思う。
ぐったりして今朝チェックアウトした宿に戻ると、まさか…。最安の部屋が埋まっており、残りは約1.5倍(それでも1泊1,500円だけど)の値段になると店主は言う。
もう1時間歩いて、バスターミナルに行こう。
夜行バスでブジュドゥールを通り過ぎ、1泊分を節約しながら最終目的地のダフラまで…。
サハラ砂漠ヒッチハイク
無念の敗退…!