自由の街へ
2023/10/30
トルコ滞在9日目。
時刻10:00。
この日は首都アンカラを離れ、ダイキ君と共にエスキシェヒルという街へ向かう。
ついつい長居してしまい、気付けばバス発車40分前。
ここからメトロに乗り、空港並みに大きなバスターミナルの中で乗り場を見つけなければならない。
やや急ぎ足でメトロ駅へ。
すると、意外にもチケット窓口は長蛇の列。
ざっと30人近くは並んでいただろうか。
もしかしてコレ
間に合わないんじゃ…?
バスターミナルに着いた時には発車9分前。
私達の乗り場は43番。
とりあえず近くのプラットホームを見ると、121…!
もうコレ、無理じゃね…?
しかし、諦めたらそこで試合終了だ。
2つ合計25kgのバックパックを背負い、ダイキ君と構内を疾走。
皮肉にも、ご馳走してもらったデザートがここにきて“効いて”くる。
体が重い…!
115…!
108……!
そして、通路は100番バス乗り場辺りで行き止まりに。
職員に聞くと、43番乗り場は上階との事。
しかも階段で
バス発車まで残り5分
うぉぉおおお……!
何の苦行か、憎たらしいほど重い荷物をユサユサと揺らしながら、階段を駆け上がる。
奇しくも1時間前、ダイキ君と筋トレの話をしたばかり。
彼は海外旅の途中でもジムを見つけてトレーニングするほど、筋金入りの筋トレ好きなのだ。
ダイエットするなら
太ももの筋肉をつけた方が良い
そう、まさに今
私の太ももは悲鳴を上げている
バスが発車するか、私のモモが爆発するかの瀬戸際、何とか乗り場を見つけ、ゼェゼェと息を切らし乗車。
時刻14:30。
心臓バクバクな私とは裏腹に、バスは予定通り落ち着いて出発。
エスキシェヒルへはおよそ240km。
時間にして約3時間だが、料金は800円ほど。
各席に空調、Wi-Fi、充電スポットがある快適な車内では、飲み物とお菓子のサービスまでついている。
しかも、お代わり自由。
紅茶とクッキーを頂き、外の景色を眺めていると
「日本人ですか?」
後方の席から声を掛けられる、日本語だ。
振り返るとそこには、中学生くらいだろうか、女の子の姿が。
そうです、と返すとトルコ人のその子は
「日本が好きで、日本語を勉強しています」
と応えてくれた。
彼女の日本語はとても上手で、つい話を聞きたくなってしまったが、座席の都合もあり、
「あなたの日本語は素晴らしいです」
と返し、お互い挨拶をして会話は終了した。
到着後、私は荷物の中をゴソゴソと探り、その子に日本硬貨を渡した。
100玉と10円玉を掌にのせた彼女は
「お土産ですか?」
と聞いてきたので
「そうです」
と答え、そのまま手を振り見送った。
そして紅茶で一休みし、そろそろ動こうかというタイミングで、意外にも彼女が駆け寄ってくる。
何やら”学校の友達に写真を送りたい”と。
もちろん快諾し、不細工な顔で申し訳無いと思いながらも、レンズに笑顔を向けた。
海外の、特にこれからを担う若い世代が日本と日本人に好意的である事が嬉しい。
と同時に、未来に向けてそれを維持しなければ、と度々思う。
次なる土地は
エスキシェヒル
何やら若い世代に人気の
宗教やその他に縛られない
自由な街らしい
時刻18:30。
無事に宿へ着いた私達は、その様子を軽く見ようと繁華街を探索。
当然、筆頭都市のイスタンブールや首都アンカラに比べると、こぢんまりとしている。
だが、良い感触だ。
旅を続けると、その街が肌に合うかどうかは初日で大体わかる。
と、そこへ轟音と叫び声。
ブォォオオオンン!!
ウォォアアア!!!
まさに昭和の旧車、といった角張ったボディに、ヤンキーらしき若者が“ハコ乗り”して街を暴走している。
地元の田舎で、しかも30年近く前に見た光景がそこに。
『おぉっ…自由な街ってそういう事かい』
なんて思いながら見ていると
ゴスッッ!!
グシャァアア!!!
「オオォオラアァアアア!!」
その車は前方のバイクに追突
立派な事故である
若者同士が揉めている。
近くに警察もいるが、すぐには介入しないようだ。
ここはどんな所なんだ…?