【ラジオ】2000年代中盤、地方の高校生は布団の中でひそやかにサイケデリックロックを聴いた.mp3 <前編>
*ポッドキャスト番組「アーバンぱるNEW」の文字起こし記事です。
<メンバー>
店長 / ダモリ / ファグ
<サイケデリックへの開かれ>
店長「今回のテーマは、2000年代中盤地方の高校生は布団の中でひそやかにサイケデリックロックを聴いた、です。」
全員「はいっ!」
店長「はい、まあサイケ特集ですけど。」
ファグ「はい、まあそうですね。我々っていうか 、ファグがですね2001年から2003年にかけての高校3年間 、サイケデリックロックと共にあったと言っても過言ではない青春を過ごしまして。その事についてワイワイお喋りしようじゃないかという回でございます。」
店長「そもそもなんでサイケデリックに興味を持つようになったんですか?なんかきっかけとかあります?」
ファグ「そうですね、まあカルチャー的にも結構なんか中学生ぐらいから宝島的な雑誌カルチャーとか、あとはなんかちょっと飛ばしているギャグ漫画とかコントとか、そういったものを受容していたのでね。まあ、ぶっ飛んでるみたいなんとか。 違う世界とかそういうものに対する憧れっていうのがあったなぁというのを、この回をやるにあたって色々思い出してて思ったんですけど。なんかそれの結構大元にある記憶で1個こびりついてるのがあって。それがですね、俺が小学生くらいの時かな?ダモちゃんの家に遊びに行ったんですよ 。」
ダモリ「はいはいはい。」
ファグ「ダモちゃん家に行ったら、なんか昼の3時か4時かそれぐらいん時に 一緒に2人で遊んでたはずやのに、ダモちゃんが急に動かへんようになって。」
ダモリ「ありましたっけ、そんなの?」
ファグ「ダモちゃんがなんかこう、机の上で碇ゲンドウみたい手を組んだまま動かへんようになったんですよ。ほいで、ダモちゃん!ダモちゃん!って言ったら…」
ダモリ「どうしたんやろ?」
ファグ「あっ!って起きて、ゴメン、白日夢見てたわって言ったんですよ。」
全員「笑」
ファグ「これはメチャメチャかっこいいと思って。なんか昼寝はした事あるけど。白日夢見てたわって!」
ダモリ「まあ今聞くとね、ちょっと中二病っぽい感じっすけど。」
ファグ「白日夢?白日夢って何?みたいな。」
店長「よく知ってたな、そんな言葉。」
ダモリ「よく知ってたね。」
ファグ「ねえ。 黒夢かな?」
ダモリ「黒夢かもしれん。確かに黒夢っぽいね (笑)」
ファグ「デイドリーム見てたわって言ってさ。メッチャかっこいいと思って。なんかどんな夢なんかな?って思って。なんかそういう言葉ヅラのカッコよさと、やっぱりその夢の内容みたいなのが、なんとなく夜見る夢とちゃうっぽいみたいなのが凄いあって。まあ、そういう感じに対する憧れみたいなもんは、やっぱあったんやなぁと思うんすね。」
ダモリ「はいはいはい。」
ファグ「で、まあなんか中学校の時とかって朝の10分間読書みたいなんがあって。まあ、何でもええと。10分間、何読んでもええでみたいな。みんな何読んでたんですか、その時?」
ダモリ「僕なんかその、太宰治とか読んでましたね。人間失格とか読んでました。」
ファグ「定番やん、中学生の。」
ダモリ「そう、定番っすね。やっぱ中二病っすね、これ。」
ファグ「自我の目覚めや!」
ダモリ「自我の目覚め (笑)そんな感じっすね。」
ファグ「店長はなんか読んでたんですか?」
店長「覚えてないけど一個だけ記憶しているのは、なぜか家にあったぼくらの七日間戦争の文庫本を、読み進めることなくひたすら眺めてたみたいな時間でしたね。」
ファグ「オブジェ見の時間や!積読よりなんか崇高やな。本をオブジェとして眺めるみたいな (笑)」
ダモリ「前衛的やな。」
ファグ「なんか朝の10分間読書で俺が読んでたのが、今も宝島あるけど、なんか宝島が結構雑誌カルチャー強かった末期の時代で、VOWを読んだりとか、あとバカドリルとか。 90年代ムードの最終処理場的な。あの辺のを朝の10分間読書で読んでて。あと、俺は結構小学校ぐらいからTSUTAYA、昔はさんぽうどーって言ってたんやけど、家の近くにあったからそこに行くのが最高に好きで。そこにある雑誌を読める限り読むみたいな、そんな生活をしてたんですよ、暇な時は。」
ダモリ「うんうん。」
ファグ「ファミ通から始まり、ちょっとエロいGONとか読んだり、あとオーディオ雑誌を読んだり。BURSTとかもやっぱ読むんですよね。まあそういうものを摂取してて。あとは伝染るんですとか、吉田戦車の。」
ダモリ「あー、はいはいはい。」
ファグ「まあ、シュールな感じとか。あとはキャシィ塚本とかね、ごっつええ感じの。ネジ飛んでる系みたいなのが、なんとなく異世界感があっておもしろかったっていうのに繋がって。その辺がなんか、普通じゃないものを知りたい、みたいな好奇心を育んでたっていうのが、サイケデリックロックを聴くっていう土壌になっていったのかなーみたいに思いますね。」
店長「うんうん。ダモさんは白日夢はよく見られるんですか?」
ダモリ「よくは見てなかったような (笑)」
ファグ「でも、よく見るみたいなノリやったで。また見てたわ、みたいな (笑)」
ダモリ「まじで?そんな事言ってたんや?やっぱり中二病ではないのかな?」
ファグ「中二病早いよな。小5とかやで、多分。」
ダモリ「確か、小5には黒夢聴いてた記憶あるから。もしかしたら黒夢由来の中二病みたいな。」
ファグ「そうなんや。じゃあ、黒夢スタートで俺が影響受けてサイケに繋がるっていう。黒夢発・サイケ着みたいな (笑)
で、あとはサイケに繋がるっていうと1個重要なのが、やっぱり高校に入ってインターネットに繋がるっていうのが結構デカくて。」
ダモリ「はいはいはい、うん。」
ファグ「まあ、邦楽から洋楽に切り替わるタイミングみたいなんが、高校ちょい前くらいで訪れるみたいな。で、ロックの歴史みたいなのをやっているサイトとか見ながら学習していくと、やっぱり普通に順を追って聴いていったらジミヘンとかにハマりだすと。明らかに、ロックンロールの時代からロックの時代に切り替わるタイミングの音が、魅力的に聞こえてしまう。まあ、そういう事がありましてね。」
店長「そうですね。で、まあウッドストック見たりとかそういう所に繋がっていく訳ですよね、多分。」
ダモリ「あー、ウッドストック見たね。」
ファグ「ウッドストックの映画ね。DVD黎明期?じゃないか、なんか廉価ディスク…」
店長「うん、なんかメッチャ安かったよね、あれ。」
ダモリ「あー、あったあった。安いの出てたわ。」
ファグ「なんか2000円くらいで買えたから、CD買うみたいなノリで買って見るみたいなのはあったなぁ。コンテンツをなんか、安いからって理由で多分TSUTAYAが入れてたりして。なんか、マイナーな盤とかも目に触れる機会があったとかっていうことも、関係してるのかなと思ったりするけど。」
<レコードコレクターズ サイケ号の衝撃>
ファグ「こういう流れで、レコードコレクターズが出るわけですよね。2002年の7月号っていうのが、サイケデリックの特集号で。」
店長「はい、サイケデリックの狂乱ですね。」
ダモリ「来ましたね。」
ファグ「これがですね、まあ、60年代がなんとなく面白そうな時代やなっていう風にネット上で見ても、音源が聴けへんものが多かったりとか、そこまで深い情報はまだネット上にはなかった。」
ダモリ「まあ、その時代はね。」
ファグ「ジミヘンとかグレイトフル・デットとかまでは、結構簡単にリーチすんねんけど、それ以上にサイケ専門みたいな所はあんまなかった。そのタイミングでこの本が出て。まあ、これをやっぱTSUTAYAで見つけるわけですよね。」
ダモリ「これもTSUTAYAで見つけたん?」
ファグ「そうそう。でも、これはなんか探して見つけたっていうよりは、偶然出てたのを見て。まあ、何となく求めているものが載ってる気がすると思って買った。」
店長「うん。」
ファグ「で、まあ選者が石原洋さんとか。」
ダモリ「そうそうそう。石原洋さん。」
店長「で、松山(晋也)さんとか湯浅(学)さんとかが文章書いててんな。」
ファグ「そうそう、手前にね。なんかサイケの解説みたいなところで湯浅さんがね。」
ダモリ「そうそうたるメンバー。」
ファグ「根本(敬)さんが、イラストを見開きで描いてる。」
ダモリ「サイケなイラストを。」
ファグ「湯浅(学)さんとか意識したのは多分事後やねんけど、でも結構後から好きになるものが、詰まってるような本でもあったかなと思いますね。」
店長「うん。」
ファグ「これを見つけて、なんか多分ヤバいなと思って。で、多分TSUTAYAに2冊あって。1冊買って、もう1冊はダモちゃんに連絡して買った方がいい でって言って。って言ったら買ってた。ちなみに、これぐらいの時期は店長はサイケはどうやったんですか?」
店長「まあ、なんかそれこそロックの名盤をとりあえず聴いてるみたいな時期で。さっきも言ってたけど、グレイトフル・デッドとかさジミヘンとか、 ドアーズとかジェファーソン・エアプレインとか。その辺にはアクセス出来るけど、別にサイケってそれぐらいのもんなんやろうなあ、みたいな認識やったかもしれんな。」
ダモリ「まだ解像度はね、そんなに高くない。ウッドストックとかその辺は見てたけどみたいな。」
店長「そうそう、そんな感じやったな。で、なんかイージーライダーとかさ、白昼の幻想とか、そういう映画にちょこちょこ触れる機会があって。で、なんかちょいちょい知らんバンドとかが出てきたりとか。なんかそういう、前触れみたいなのはあったのかもしれませんけどね 。」
ファグ「イージーライダー、めっちゃ好きやったイメージあるわ。」
店長「イージーライダー、めっちゃ好きやったなぁ。その好きやった勢いのまま、高校時代に自転車で旅に出てますからね (笑)」
ダモリ「メッチャ影響受けてる (笑)」
ファグ「撃たれた?最後撃たれた?」
店長「撃たれてないけど、喧嘩したな (笑)」
ファグ「大変やな、それは。」
店長「で、なんか改めてレココレ読み直してみると、これUSサイケなんですよね、がっつり。」
ファグ「そうそう、そうやねん。」
店長「で、このレココレはアレなんでしたっけ?坂本慎太郎さんのジャケデザインのサイケデリック・ムーズになるんでしたっけ?」
ファグ「サイケデリック・ムーズはまた別なんじゃない?一応調べてみたんやけど、サイケデリック・ムーズが2010年に出るんすよ。サイケデリック・ムーズっていうのは、書籍のサイケデリック・ディスクガイド本ですね。
で、その1年後、2011年5月にこのレコードコレクターズ サイケデリックの狂乱号が、再発されてる。だから、サイケデリック・ムーズになったとかではなく、また別企画なんかなって感じ。」
ダモリ「まあ、一応紹介している盤とかは被ってるところはあるんやけど、
レココレが2002年でこれが2010年なんで、情報は結構新しいと。再発は結構進んでて。」
店長「そっか、ダモちゃんは現物を持ってるんだったよね?」
ダモリ「そう、現物を持ってるんすよ。この高騰している…」
店長「5000円~6000円ぐらいになっている。」
ダモリ「そこまで高騰しているとは思わなかったっていう。」
ファグ「でも、気になるところといえばやっぱりこのレココレの特集号っていうのは、誰の意向なんか分からんけど凄いUSベースで。UKのアーティストはかなり少ないんですよね。なんかその辺りの扱いって、サイケデリック・ムーズとかやともうちょっと網羅性が増えたりしてるのかな?」
ダモリ「いや、でもこれもUSベースじゃないかな。」
ファグ「ということは、やっぱりなんかサイケデリックっていうのは、ティモシー・リアリーとかがテストしまくってたのとかもアメリカやし、アメリカンカルチャー的なところはあるのかもしれへんな。」
ダモリ「まあ、やっぱりそうやろうね。」
ファグ「俺は、結構USのサイケに調教されてるから、UKのサイケとかを聴くとなんか結構ビートルズっぽいって思うっていうか。ギミカルにまとまってる、なんか箱庭っぽい感じがして、あんまりハマらへんねんけど。
で、サイケっていうのは80年代にペイズリーアンダーグラウンドとか、イギリスでリバイバルがあったりするけど、その辺のテイストも、結構ヴェルヴェッツとかも入ってる折りたたまれたサイケ感みたいなのが、なんか輸入モンのサイケ解釈やなと思って。イギリスとアメリカの距離を感じるなってのは、結構昔から思ってたかなぁ。」
ダモリ「はいはいはい。で、これと前後してジャーマン・ロックも聴き始めてた時期なんすけど。このレココレのサイケ号とは別で、ジャーマン・ロックを探してたような。レココレのジャーマン・ロック特集っていう全然違う特集で。まあ、あと2ちゃんねるとかから、ジャーマン・ロックを探してたような気はします。」
ファグ「うん。だから、このレココレはジャーマンも特集してないし、日本のもないし、アジアのもないっていう。」
ダモリ「そうそうそう。」
ファグ「まあ、こういうのを手がかりにして、例えば我々の世代やとメディテーションズっていう京都のレコ屋が、ちょうど出来たてぐらいのタイミングでサイケをたくさん扱ってたので。そこから、サイケってカテゴリーでも東南アジアでサイケって呼ばれてるヤツもある、日本のGSでサイケっぽいのもあるとか、そういうの知っていくと。それの端緒になったような本かなと。これがあってディグり始めたみたいな。こういう所に載ってるヤツを扱っているレコ屋っていうのが結構少なくて、それで一緒に扱っているものが信用できるんじゃないかって言って、聴き始めるみたいなところはあったかなと。で、まぁ内容的には当時のサイケを特集したり、サイケデリックに関して記述がある本と比べても群を抜いてマニアックで。カラーページでいきなり載ってるジャケットが、New Tweedy Brothersっていう。アルバム的には全然好きじゃないねんけど、なんかとにかくレアっていうところだけでドンって載るみたいな。」
ダモリ「変型ジャケのね。」
ファグ「そうそうそう。ブートレグ雑誌みたいなノリで作られてるのが凄い。まさにレコードコレクターズが作ってるなと思って。」
ダモリ「こんなコレクターおんねやって。コレクターの存在も凄い意識させられてね。」
ファグ「うん。だから、再発されるぐらい濃ゆい雑誌だったという事ですね。」
【アーバンぱるNEWとは】
アーバンぱるNEWとは地元が同じ中年男性3人が集まり、だらしなく音楽について話をする番組です。地方幹線道路沿いのチェーン・量販店の増加や、スーパーの大型化に抗しきれず廃業した地元のローカルスーパーの名称を、失われた心象風景の象徴として拝借しました。いまだにフードコートにしか居場所がないわたしたちにとって、この番組は心のフードコートみたいなものなのかもしれません。
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