百貨店社員のころ 魚心

自分で言うのも何ですが・・私は人気者でした。

受付の守衛さん・検品所のおじさん・掃除の

おばさん・誰彼なく、こちらから丁寧に挨拶して

いました。「大卒なのに気取らない」との評判を

頂きました。

ですから定休日前の品物搬入なども、他の売り場

の人よりスムーズに運びました。混み合うので

あらかじめ台車を借りる申請書を提出。

「大川君内緒で一台押えて有るからね」「検品

一番にして上げるよ」「もう少し残業しても大丈夫」

など、随分と助けてもらいました。

他の売り場の人は「大川さん、あの人達に人気が

あるから」と言いました。お客様から良く差し入れで、

お菓子等を頂戴しました。それを売り場で分けないで、

守衛所・検品所・掃除の詰め所・などへ持参。

{食べきれないので、良かったらどうぞ}と置いて

廻りました。盆暮れには自腹で、ビール券などを内緒で

差し入れ{いつも助けて下さり、有難うございます}と

言葉を添えました。

人間ですから魚心も、絶対に必要です。それは必ず自分

へと、返って来ますから。こうして私の百貨店社員生活

の日々は、順調に動いていたのでした。