新古今和歌集 夏歌

「真菰かる淀の澤水ふかけれど

そこまで月のかげはすみけり」前中納言匡房

真菰を刈るために、淀川に舟を出しました。

気持ちの良い風が、河岸から吹いて来ます。

鎌を差し出して水面を見ると、何と底深く迄

月影がありました。

水面で揺れていた筈の月は、ずっと下まで

繋がっていたのです。時折波が月の光を、

怪しく美しく乱します。

真菰の緑が、白い光に浮かび上がります。