ファッション異聞 えるめす
若い頃とんでもない贅沢をしていました。
「羽織の額裏にこれを付けて」天下のエルメスの
スカーフを二枚差し出しました。仕立て屋さんは
驚き「本当に鋏を入れて良いんですね」念を
押しました。見事な仕立て上がりで、誰彼なく
自慢していました。親友は「馬鹿じゃね?」と
呆れていました。概して女性陣には好評でした。
ローマに住んで居た時、少し古いリーバイスの
ジーパンをはきました。上の服と合うベルトが
無かったので、エルメスのスカーフを捩じって
ベルトにしました。その格好で日本から来た友人を
ブルガリ宝石店へ案内しました。あそこは店内に
入ると「何を見たいか?」聞かれます。それから
奥の座席で、運ばれて来た品物を見ます。
接客した男の店員が私を見て「もしかして、その
ベルトはエルメスのスカーフ?」と聞いて来ました。
そうだと答えると「凄い、エレガント」と大騒ぎ!
エルメスのスカーフは絹がしっかりしているので、
日本だけでなく海外でも大活躍してくれました。