百貨店社員の頃 ライバル2

М百貨店外商部が、次に取り出した物は
着物でした。
「宮古上布の逸品が入りました。夏に
向けて如何?」反物を広げました。
又もや奥様は、私に助け舟を求めます。

{奥様、上布は母上の越後上布の見事な
物をお持ちでしょう。上布は少し透け
過ぎる気がします。皴になり易いし・
汗で変色・スレにも弱いのでお勧め
出来ません}{それに沖縄の織物なら、
平良さんの芭蕉布を作られている筈}

{お手伝いさんに持って来させては?
奥の昔坊ちゃんの部屋の箪笥に有ると、
前にお聞きしましたよ}
越後上布と芭蕉布のキモノが、外商と
着物係社員の前に置かれました。
ため息が漏れたのが、分りました。

「では帯は如何でしょう?」{奥様
確か夏物を、羅で織らせましたよね}
「奥様この方、何のお仕事ですか?」
「私のお茶の先生なので、和服は特に
お詳しいのよ」

勝負ありで、М百貨店さんは手ぶらで
お帰りでした。しかしこの百貨店は後で、
和服を巡る大事件を起こしました。
又明日・・・