曜変天目茶碗

ある美術館で茶碗を見ていると「坊や
熱心だね」初老の紳士から声を掛けられました。
まだ16歳だった私に、天目の魅力が
理解できる筈はありません。ただ有名な茶碗と言うので、見ていただけでした。

「この模様は固有の色じゃないんだよ。構造色と言って、上釉の表面に
有る凸凹に光が差し込んで光る」と
教えてくれました。
「僕は理系なんで、こんな分析を
してしまうんだ。お茶の人は、どうだろうね」
(まだお茶を習い始めたばかりで、良く分かりません。でも余りお茶が、美味しそうに見えません)

こうお答えすると大笑いして「正直な感想だね。これからも頑張って、お茶の勉強を続けてね」こう言われ、去って行きました。

今でも曜変天目茶碗を見ると、あの寒い美術館の会話を思い出します。