白と黒の鮮やかな世界を観たい
カホンの祭典HAKO FESシーズン2023が、いよいよ開幕です。
カホンの魅力をお伝えしたいってのが何よりものコンセプト。
なんだけど!
や、もうさ、カホンってさ、ぶっちゃけ楽器なのかオモチャなのかどっちなのか怪しいとすら言われたりするんですよ。つらい。
カホンの音色ってものすごく大まかに言うとバス音(低い音)とスラップ音(高い音)の2種類しかないし、その2種類でアクセントの音とそうじゃない音の組み合わせでしかないもんね。
ピアノが88鍵あることを考えたら、もう同じ楽器というカテゴリに分類していただくのなんてさ、とんでもないことですよ。
『叩けば誰でも音が鳴る』ってカホンを紹介される際によく言われる言葉だけど、もはや叩く以前に打面に触れさえすれば鳴ってるんですよ。
だから、どうしてもカホンって激烈にハードルが低い楽器としてカホンは認識されやすいんだけど。
そこに私はやっぱり一石投じたい(っていうか投げ続けてもう一万石くらいになってる) のでコレを書いています。
カホンを『楽器』として音楽的に演奏するのって、それはもうクリエティビティ溢れる高度なことなんです。
音階がない、高い音と低い音の2種類しかないのにどうやって音楽なんかできるのか。
別ジャンルで考えてみよう。
たとえば、水墨画。黒と白の2色の濃淡だけで出来ている大変な鮮やかな世界だ。雪舟の秋冬山水図とか四季山水図なんか本っ当にすごくて、平面に描かれているもののはずなのに果てしない奥行きの表現に打ちのめされる。
たとえば、モノクロ映画。ローマの休日、あんなに夢いっぱいでキラキラした鮮やかな映画、カラーになって以降の映画でも、3DとかIMAXとかドルビーシネマとかでも、鮮やかさでアレを上回る美しい作品はもう現れないと思ってる。
黒と白の2色でこんなにも多彩な表現ができる。
私がカホンでやりたいのはこの表現なんです。
じゃあ具体的に、低音と高音だけでどうやって音楽的な演奏をするのか。
とにもかくにも、まずは音色の追究に尽きます。
そもそもカホンがどうやって鳴ってるのかというところからの説明になっちゃうんですが、手がカホンに当たった衝撃で打面が震えて、その音がボディで増幅されるというのはなんとなくみなさんお分かりかと思います。
でもそれだけじゃなくて、手のひらと打面の間の空気の圧縮と破裂の音も含まれてたりします。
(そのあたりの詳しいことは有料のレッスンで言ってることなので続きはレッスンを受けに来てください)
それらをどうブレンドしていくか。
他にも、手のどこが当たるのか、当たる面積、圧力、スピード、そもそもカホンのどこに当てるのか、腕・手首・指、それぞれ回転軸はどこに置くのか、など、さまざまな要素が絡み合っています。
その音色に加えて、
アーティキュレーションをどう作っていくのか、
音の消え際はどう作るのか、
休符をどう演奏するか、
タイム感、ビート感、グルーヴ感、
アンサンブルする他の楽器とどうサウンドを混ぜるのか、、
このあたりはカホンとか打楽器に限らず全部の楽器と歌にも言えることだけどね。でもカホンは出る音がシンプルな分、これらが全部丸裸で見えてしまうんです。ぜーんぶ。
ね、難しそうでしょう!
そう、難しいんです、カホンって(笑)
だからこそめちゃくちゃ面白いのです。
簡単さとかお手軽さを売りにして敷居を下げるのもいいけど、
私は天井を高く作っていきたい。タワマン建てる勢いでいきたい。
でもさー、どうしてもさー、でっけえ音でドコドコドコドコ高速連打かますみたいなフィジカル押し押しプレイがライブステージでは盛り上がるし、結局分かりやすく『すげー!』ってなっちゃうし、実際スゴい人がやるとスゴいし、私もついついそこに頼っちゃう時もあるけどもね、でもでもやっぱり、誰にも評価されなくったって、丁寧に音楽を作るってとこはブレずに核にしてたいなぁと、改めて決意表明をここにしておきます。
神はディテールに宿るのだ。
さて、明日から始まるハコフェスはどの公演も、ライブやレコーディングの現場の第一線で活躍する百戦錬磨のモンスターカホニストから、やる気たっぷり伸びしろたっぷりの愛すべきビギナーカホニストまで、幅広く出演します。
玄人はどこまでも深い漆黒を追究して、素人はどこまでも清らかな純白を目指す、というのがプロとアマチュアそれぞれの理想的な芸事の取り組み方だと岸田は考えています。
もちろんグレーを極める人がいたっていい。
ちなみにわたしはドルビーシネマの『これが、本物の黒。』のあの黒になりたいってずっと思ってる。(ドルビーシネマ観たことある人にだけ伝われ)
そうやってみんなでそれぞれの白と黒を持ち寄って、たまに真っ青とかパステルピンクとかヒョウ柄みたいな変な奴がおったりしてもいい。そんな色鮮やかなハコフェスだったら素敵やなぁと思っています。
個人的には2016年から7年も関わり続けてるこのイベント、今年もさらにパワーアップしてお届けしたい所存。やるで。
さあさあさあ、カホンの祭典HAKO FES大阪、本日開催です。
会場はソールドアウトですが、無料配信ございます!
15時スタート!
配信視聴はこちら
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多種多様に鮮やかなカホンの魅力、どうぞご賞味あれ。