記憶の中で君と生きよう

高校卒業の手前 1人の友に会った

中学ではいじめられたけど そんなことは水に流して

会えば楽しくふざける仲になった

彼はバイクに乗り 僕は自転車で

交差点で偶然出会う

ヤンキーまがいの見た目に周囲は避け目だったが

僕にとっては同郷の友である

他愛もない互いの近況報告とともに

屈託のない笑顔で「じゃあな」と去る


ある朝 僕は自転車を走らせる

高速道路からサイレンが聞こえた

近くで鳴ったそれは よくある日常のもので

何もできない気持ちを隠しつつ 無関心を装う

夕方とあるニュースが飛び込む

友が事故に巻き込まれたのでは と

憶測の連絡が回り ニュースを見ると

今朝のサイレンの場所が現場という

あそこだったのか と あの時だったのか と

なんとも形容できない気持ちになった


即死だったという友と棺で再会した

今まで見せたことのない表情を浮かべて

友はここに眠っている

涙は出なかった


君と生きた時間が僕の糧となっている

時々夢で君と会うんだ

いつもと変わらないその笑顔で

屈託のないその笑顔で

他愛のない話を夢でやろう


「今何してるん?」と聞かれたら

僕はなんて答えよう

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urara
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