チャックのお話
ある番組である男性芸能人が恋愛における自身の心の開示度を「チャック」に例えて話していた。
チャック/ファスナーと呼ばれるそれは、中身が出ないように使う器具として身の周りのありとあらゆるものに使われている。人が使う時には、よく心/本音をどんな関係まで開示するか、という例えに使われる。
個人的に有名なのはMr.Childrenの「ファスナー」の一節だ。
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きっとウルトラマンのそれのように
君の背中にもファスナーが付いていて
僕の手の届かない闇の中で
違う顔を誰かに見せているんだろう
そんなの知ってる
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もう20年近く前の曲と思うと、月日の流れにドン引きするが話が逸れる。
作中でファスナーが付いているのは君(女性)だけど、これは男性にも言えて、昨晩の芸能人の話はさらに深淵を覗いているなぁ、というお話。。。
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「お口のチャックを閉じましょうね~」って先生に言われたことはあるだろう。良い育ちをしていて経験がない人もいるだろうけど、そこは合わせておいてほしい。何卒。『口を閉じて静かに黙ってろ!!』という強迫の柔らかい言い回しだと認識している。これはイメージしやすい。
「心のチャックを閉じましょうね~」って言われることはないだろう。これ言われると正直誰もが傷つくと思います。親が言ったら虐待に近いし、学校や会社で言われようものならハラスメントだろう。せめて『心の声が漏れてる・・・!チャックしろ!』と具体的な内容を指定して初めて意図が伝わる。
心のチャック、実際閉じてる人ってどのくらいいるのでしょう?
個人的な感覚でいうと、みんな閉じてると思ってます。純粋無垢で心のチャックがない人って、すごく伸び伸びといれる幸せな環境で生きてる人しかいなさそうと思ってます。
そしてこのチャック、人によっては何重にも存在していて、開示できる人が限られてるんですよね。あとジャンルごとにチャックが分かれている人もいる。例えば、仕事やオフィシャルな場では明るくなんでも話せるような人は対外的に開示していいと思っている範囲とそうじゃない範囲をしっかり分けていて、非開示部分は誰にも開示しない、というケースとか。
恋愛だとより顕著に出ます。さて、やっと今日の本題に入っていきます。
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前提として「パートナーとは他の人より深いところまで知り合えている間柄」としておきます。じゃないと話がこじれるので。パートナーになるまでの過程は個人の妄想にお任せします。
※私のようにパートナーがいない人は、いる体でお願いします
まず、心のチャックの度合いとして以下2パターンに分けます
① パートナーに自分の全てを100%開示できる人
② そうじゃない人
①の人はここでさようならをします。ばいばい。
で、②の人がどんな内容を開示できる/できないかが細かく分岐していきます。
次に、心のチャックを開けていくスタンスは以下に分かれます。これがチャックの層だと思ってください。
(1) 開示したい欲強…知ってもらいたいと積極的に思う内容。
(2) 開示したい欲弱…知ってもらいたいとは思うが、別に開示しなくても関係に支障が出ない内容。
(3) 開示したくない欲弱…知られるとあまり気分が良くない内容。
(4) 開示したくない欲強…絶対に知られたくないし、開示したら関係悪化が見込まれる内容。墓場まで持って行く予定。
上記で言っている内容とは、過去に経験した事象や、当人の価値観・内面の心のありようなど、あらゆるものが含まれます。(1)と(2)の内容はここでは触れません。さようならしましょうね。ばいばい。
さて、フォーカスが当たってきました。「パートナーに知られたくない内容ってどんなのがある?」って話です。
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いやぁ、、いろいろとあると思ってます。急に達観視してしまいました。
野暮なことを書いて誰かの心を抉るようなことはしたくないのと、考えたらネガティブな内容しかないから「あんなことこんなこといっぱいあるね♪♬♪」くらいのトーンで書き進めます。
日本人だと『知られたくない≒恥ずかしいor後ろめたい』という価値観がある気がしてます。ちゃんと自身の中で考えがあって恥ずべきではない内容や、過去の罪や罰を受け入れて後ろめたさを克服している内容は、ここに入ってこないです。他者に知られると馬鹿にされそう/自尊心が傷つくような内容は秘めておきたいところです。
人生は人それぞれで価値観もそれぞれ。やってきたことを相手が全部受け入れるなんて難しいから、今ある姿を受け入れてもらえればいいんじゃね?って思うわけです。
まだまだ続きます。こっちが今回の本命で最深部一歩手前です。
『人に話しても理解されないだろうと決めつけている/諦めている内容』です。明らかに考え方が周囲の常識とかけ離れている、と自他共に認めそうな内容でしょうか。発言したら叩かれて炎上するような、そんなものかもしれません。これは心の内に秘めてる人多そうな気がします。
最近だとSNSで匿名/変名でいろんな考え方とか嗜好などがオープンになって、共感/同調する人でコミュニティを形成することが多いですよね。パートナーや身内には言えないけど、SNSでは言えて理解されることもあるでしょう。そういう関係性も大事です。
行為系も同じことが言えるでしょう。ただ、こちらは主張して共感されても満たされることはない、という点で厄介です。例えばそれが性的な内容である場合(ごめん他に思いつかなかった)、それを満たし合える関係性が欲しい、とかありますよね。
他にも『受け入れられ方がわからない/受け入れられないのではと怯えている』とか、いろんな言い回しができそうです。
最深部は、もちろん『自分自身でも受け止めきれない内容』です。整理がつかない/受け入れられない理不尽な現実や事象に対して蓋をすることって誰でもあるでしょう。自己防衛で忘れることだってあります。そんなの誰にも言えるわけないじゃないですか。というわけで、ここを最深部としておきましょう。
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いろんな定義をしつつ言語化できました。これを機にみなさんも整理してみてもいいかもしれませんね。
では、あなたの中には、どんなチャックが備わってますか?