こもれび
懐かしい光に出会った.
立派な木々に囲まれて,ここには誰もいやしない.
すうっと息を吸い込んで吐き出す息が少し白い.
陽は少し低く昇ってきた.もう少ししたらまた高くなるだろう.
そんな時に懐かしい光に出会った.
そばによると見えなくなる.
遠くから眺めるしかできないその光は,
静かな森をやさしく照らしている.
光の足元に立ち寄ってみた.
小さな芽が,コケが,きのこが,そこにいた.
彼らはそこで思いっきり生きていた.
少ししか当たらないその光を
少しだけあたるやさしい暖かさを
身体いっぱいに感じてまた明日を待っている.
なんだか,とても羨ましくなってしまった.
どうしてこんなに健気なんだろう.
どうしてこんなに儚いのだろう.
いろんな感情がこみ上げて見上げたこもれびは
少しオレンジ色になって森を照らしていた.
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