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社会派ミステリー:第2話「消えた証拠」2月2 日 朝
マンション「桜坂タワーズ」の前に立ち、斉藤遼は深く息を吐いた。
高級住宅街の一角にそびえ立つその建物は、夜になっても静寂に包まれている。
窓の明かりはまばらで、人の気配も感じられない。
まるで、そこに住む人々が"何かを恐れている"かのようだった。
遺体が発見された事件現場。
そこには、消された証拠 があるはずだ。
現場に残された痕跡
マンションのセキュリティは厳重だったが、こうした場所では管理人や清掃員が最も多くの情報を持っている。
斉藤は、昼間に一度接触した管理人をもう一度訪ねることにした。
管理人室のドアを軽くノックすると、奥から戸惑ったような声が聞こえた。
「……またあなたですか?」
「ええ、少し話を聞きたくて。田嶋圭吾さんのことです。」
管理人は躊躇していた。彼の手は、小刻みに震えている。
斉藤は静かに言った。
「何を恐れているんですか?」
管理人は一瞬目を泳がせたが、誰もいないことを確認すると、低い声でささやいた。
「ここでは……余計なことは言わないほうがいいんです。」
「なぜです?」
「そういう"決まり"なんですよ。」
決まり。
管理人はそれ以上、何も言わなかった。
しかし、その言葉だけで十分だった。
ここでは、"話してはいけない"何かがある。
監視カメラの消えた映像
情報が封鎖される時、最も確実なのは"映像"だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1738289413-OESabmltAKvPo6Fjxe1Lfics.jpg?width=1200)
斉藤は、マンションの監視カメラの記録にアクセスする方法を考えた。
管理人が無理なら、清掃員か警備員に接触するしかない。
マンションの地下駐車場を歩いていると、夜勤の警備員が巡回しているのが見えた。
制服姿の男は、何かを隠しているように落ち着きがなかった。
斉藤は警備員に近づき、話しかけた。
「すみません、少しお聞きしたいことが。」
「……なんでしょうか?」
「田嶋さんが亡くなった日の、監視カメラ映像を見せてもらえませんか?」
警備員の顔が一瞬、こわばった。
「それは……お見せできません。」
「なぜです?」
「すでに……消されています。」
「消された?」
「該当時間帯の映像は、記録に残っていません。」
斉藤は確信した。
意図的に削除された監視カメラ映像。それこそが"事件の核心"に違いない。
何者かの影
映像が消された時間帯——事件が起きたとされる夜11時から翌朝5時までの6時間。
「普段は、監視カメラの映像を削除することなんてあるんですか?」
「ありえません。通常、映像は最低30日間は保存される規則です。」
「なら、なぜ消された?」
「……わかりません。でも、その日、マンションに"不審な男"が出入りしていたという話があります。」
「不審な男?」
「住人ではない人物が、深夜に建物へ入ったらしい。でも、カメラの映像が消えてしまっているので、確認できません。」
斉藤の脳裏に、ひとつの可能性が浮かんだ。
田嶋圭吾は、この"不審な男"と会い、そして殺されたのではないか?
それとも、彼自身がその男だったのか?
事件は事故ではなく、"誰かに消された"。
次に調べるべきは、"その男"が何者なのか ということだった。
次回予告(第3話):「不審者の正体」
次回、斉藤は事件当日のマンションの住人リストを入手し、"不審な男"の正体を追う。
だが、その調査を始めた直後、斉藤のもとに謎の脅迫メッセージ が届く。
「お前も消されるぞ。」
何者かが、確実に事件の真相を隠そうとしている——。
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