統計検定、どんな試験?について語ってみる
※本記事で扱う統計検定とは、t検定などの統計的検定手法の話ではなく、資格試験の統計検定になります。
統計検定とは?
統計検定とは日本統計学会が認定している、統計学に関する知識・応用力を問う資格試験である。2020年9月現在、下記のような試験区分がある。
・統計検定(1~4級)
・統計調査士
・専門統計調査士
・データサイエンス基礎
・データサイエンス発展およびエキスパート
試験の内容は公式サイトに記述されているが、実際に受験した当時の感覚と若干異なるかなぁ…という部分もあるので、本記事にて私個人の感想を(記憶が風化する前に)書いてみることにする。また、2017年に取り止めになってしまったRSS/JSS試験についても紹介したい。
統計検定受験歴
私の、統計検定受験歴は下記の通りになる(統計検定が始まった当初から受験していたので、最古参受験者の部類に入るかな?)。ちなみにデータサイエンス区分については未受験となっている。
・2011年:2級および3級取得
・2012年:1級(理工学)取得
・2012~2013年:RSS/JSS試験(2013年Higher Certificate取得)
・2013年:統計調査士および専門統計調査士取得
・2014~2016年:RSS/JSS試験(Graduate Diploma)受験
(全Moduleの合格には至らず)
こう並べてしまうとサラッと合格しているように見えてしまうが、実際にはかなりの勉強時間を要しています・・・(´・ω
試験の知名度について
残念ながら現状では、資格としての知名度は高くないのかなぁ…という印象。しかしながら分かる人には価値が分かる、いぶし銀資格と言っても良いのかもしれない。
ちなみに、放送大学の渋谷学習センターに統計検定のチラシが貼ってあった時期があった。これからメジャーな資格になっていくといいなと思う。
試験種別と内容
公式サイトには、各試験種別と内容が記述されている。ここでは、各種別の内容について個人的な見解を述べる…ことにしよう。
統計検定3級では、「図表や数字を正確に把握出来る力」が問われる。最年少記録を見ると小学3年生の方が合格している(2020/9/25現在)が、しっかり勉強している中高生~大学生が受験者のボリュームゾーンかなと思う。高度な数学を必要とするのではなく、数字をしっかり理解する能力が問われていて、非常に良く出来た試験だなと思う。実務的にも、役に立つ面が大きいかなと。
2級の内容は、大学の教養課程で学ぶ統計学とほぼ同じ内容かな~と思う。試験内容も統計学の講義の期末試験みたいな感じ。ただ7割取らないと合格しないので、見かけの倍率ほど易しくはない。
準1級に関しては、受験歴が無いので過去問を眺め見た限りでのコメントになるが、2級と比べて難度が跳ね上がっているなと感じる。1級と比べて広範な知識を要求されるので、ある意味で1級より難しい。修士課程の院試に近いかな。
1級の範囲は「狭く深く」といった感じになっている。(変な話だが)ある意味準1級より易しく、ある意味準1級より難しい。細かい知識を問われない代わりに、証明まで求められる。公式サイトでは大学3~4年生の内容であると書かれているが、一般的な教科書での対策は難しいのではないかと思える。大学院生が行う研究の「一歩二歩手前」くらい、試験では高度な理解が求められている。表面的な倍率以上に難しい。
統計検定の準1級および1級が理論的な理解度を問うのに対し、統計調査士・専門統計調査士は実践的な内容を問う形式になっている。統計検定2級プラス法令、調査方法の知識、常識的な判断などが追加されたものが試験範囲となっている。ちなみに合格すると統計調査士・専門統計調査士の手帳が送られてきて嬉しい。
RSS/JSS試験
2017年の5月に取り止めになってしまったが、英王立統計学会と連携して実施していた試験として、RSS/JSS試験が存在していた。Higher Certificateでは8Module(科目)中、6Module合格することが求められていた。また、Graduate Diplomaでは5Module全てに合格する必要があった。
Higher Certificateは大学1~2年、Graduate Diplomaは準修士に相当するとのことだが、試験の難度を考えると準博士くらいの称号を貰えないと割に合わないな~くらいの邪なことを考えてしまうほどだった(笑)。
特にGraduate Diplomaは、解答こそ日本語/英語の選択制だが、問題は英語で記述されていた。これも試験の難度を上げていた要因のひとつであった。公式サイトを見る限りでは、国内におけるGraduate Diplomaの累積合格者は6名のみである。
受験で学んだこと
統計検定の受験を通して学んだことは多岐に渡るが、「数字・データの根拠をしっかり考えるようになった」ことが、自分の中での大きな変化といえる。
またRSS/JSS試験の項で少し冗談っぽく書いたが、「ただ勉強するだけではダメですよ。ちゃんと社会にアウトプットしてくださいね」というメッセージも強く感じた。しっかりインプットした称号として与えられるものは大学卒業プラスアルファ水準まで、大事なのはそこから先だと。
それっぽくまとめてしまうと、勉強することで辿り着けるところを知り、勉強のみでは辿り着けないところを知った、というのが受験で学んだことかなと。
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