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neko and … river

早く仕事がおわると、川原を歩いて帰るようになった。

「君と歩く月の夜は、今日も川の匂い。」
隣には誰もいないし、月も出てはいないが,
脳内を流れるエレファントカシマシの名曲。
汗ばむ額にタオルをあて、歩くことを後悔したと思うころ。
橋げたをくぐった場所に石段がある。
私は、そこにゆっくりと腰をおろし、いそいそと本を開く。
無神経に近づいてくる鳩。バシャバシャ飛び上がる魚。
本よりも、生き物が新鮮で、さっぱりページが進まない。

昔は、野良猫もいた気がするけれど、最近はてっきり見なくなった。
と、内田百聞の「ノラよ」読みながら思う。
ちなみに、著者は、夏目漱石の愛弟子であり、陸軍士官学校の教師もされていた方らしい。堅物そうな爺さんである著者が、
家に迷い込んできた野良猫に惚れるが、猫は、失踪。
仕事放棄を覚悟で探し出そうとする。
猫好きならだれもが経験するアルアル話に
時代は違えど、猫を愛する気持ちは変わらないんだなと妙に感心する。

ちなみに、猫はよく眠るから「眠子(ねこ)」が語源だという。
やたら寝てしまう私の祖先は、案外、猫なのかもしれない。
と思いつつ、ウトウトしだすと、日はすぐに暮れ夜がくる。
でも、こういう一日も、案外好きなんですよねぇ。
傍からみるとアレですが。

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