農林業センサスって有効?

「農林業センサス」、どれだけの人が知っているだろうか?
農林業センサスというのは、農林水産省のホームページで
「農林水産省では、農林業・農山村の現状と変化を的確
に捉え、きめ細かな農林行政を推進するために、5年
ごとに農林業を営んでいるすべての農家、林家や法人
を対象に調査を実施しております。」とある。

農林業の実態調査が、政策立案の根幹をなすわけだから
とても重要な調査である。
しかし、重要なことは分かるが、
いったいどれだけ社会の現況を反映させているだろうか?

農地法というものがある。
これは戦後の農地解放で作られた法律で、
地主の農地を開放して小作に農地を分け与え、
小作が自作農となった農地に関する法律だ。

すなわち、農地を持つ者は自作農という定義である。
自作農というのは農地を使って農作物を栽培する農家だ。
だが、その農家はどんどん減少している。
戦後の経済成長で農村から人材が都市に流出、
残った長男も機械化による兼業農家、
やがて、儲からない農業に見切りをつけ、多くが非農家に。

農水省の試算では、農業者の減少で2030年には2020年と比べて
92万ヘクタールの農地が耕作されなくなる恐れがあるという。
これは、東北地方の農地面積(24年で81万ヘクタール)を上回る規模で、
経営体の数は30年で計54万となる見通しで、
20年の108万から半減すると予測している。

こういうなかで、戸別訪問で多くの非農家にも聞き取り調査をしている。
自作農というのは名ばかりの対象者がいかに多いことか。
世代交代で自分の農地さえ知らない人もいる。
調査対象は自作農、実際の農家はほとんどいない。
質問されても答えられない。

ここまでくると、何のためにしているのかと思ってしまう。
今日の農政は知らないけど、
かつては補助金がらみのために、
農家と行政による作文が横行していた。
それでも集落は農地を支えてきた。

今は、どうだろうか。農村は激変している。
少子高齢化、人口減少、農村資源の荒廃、農村構造の変化に、
果たして政策が追いつくのか?
農業センサスの質問事項や返答を見る限り、
とても時代を把握しているとは思えない。


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