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曼荼羅は破壊されていた!

曼荼羅(マンダラ)というと、仏画の掛け軸を思い浮かべるでしょう。
大日如来さまを中心に、たくさんの仏さまが集まった壮大さを感じさせる絵です。

お寺の本堂で実物を見れば、その迫力と美しさから厳粛な気持ちになり、自然と手を合わせたくなります。

そんな曼荼羅が、跡形もなく破壊されるなら…あなたは、どう感じますか?
なんて罰当たりだ!と憤りが湧くかもしれません。

ここで衝撃の事実をお伝えします。
曼荼羅は破壊されることを前提として作られていたのです。
そんな主張が許されるのでしょうか。
その答えは、曼荼羅のルーツにあります。

曼荼羅という名称は、サンスクリット語のmaṇḍala(मण्डल)を音写したものです。


曼荼羅は音写語

つまり曼荼羅はインドから伝わったものなのです。

古代インドでは円形状に、ときには方形状に仕切られて聖域化された場所を曼荼羅と呼んでいました。

では、何のために聖域化された場所を築いたのでしょうか。
それは儀式で使うためでした。

仏教辞典には以下のように記されています。


曼荼羅は、儀礼に際して一時的に土壇を設け、その上に、聖典の規定に基づいて粉や砂を用いて表現されるのが通例であった
〈省略〉
修法が終わるや直ちに破壊するため遺品を欠く

岩波 仏教辞典[曼荼羅]P960

儀礼も修法も儀式のことを指します。
泥土をこねて築いた祭壇である曼荼羅は、儀式が終わると破壊されたと記録されています!

なぜ、破壊する必要があったのでしょうか。
それは、秘密の儀式を行なっていたからです。

仏教は秘密の教えとして日本に伝わりました。

この秘密の教えを[密教]と呼びます。

日本人にとって馴染みのある仏教ですが、調べれば調べるほどに奥が深く、ミステリアスな魅力に溢れているのです。

掛け軸として一般公開されている曼荼羅が、私たちのイメージと全く異なる姿を見せてくれたように…。

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