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30年後へのタイムスリップとリアルチョコレートドーナツの話

タイムスリップして30年後を見ることが出来たらと思うことがありますか?
私はないです。
そんな30年後を思わせる出来事がありました。

3年生の息子は、ダウン症のある子専門の、ラブジャンクスというダンススクールに通いだしました。主宰者は、元沖縄アクターズスクールインストラクターで、SUPER MONKEY'Sの元メンバーである牧野アンナさん。ダウン症のある大人も子どもも含め、たくさんの方が楽しく通っています。

いつもと違うレッスン会場に車で先に夫と子供を送り、駐車場から出たファミマの前に、何やら困って携帯で話しているダウン症のある男性の方がいました。電話の向こうからは、お母さまなのか「ファミリーマートの前で、バス停の前にいるけど、どこにいるの?」という声がします。本人も、ファミマとバス停の前にいます。

前のレッスンが終わって待ち合わせかな?と思ったので、本人に話しかけて「通りすがりのものですが」と電話を代わりました。よく聞いて携帯で調べてみると、300メートル先の交番もあるファミマとバス停の前に停車している様子で、ファミマ違いです。説明してもお母さまも、駅前のこちらに来ることも難しい様子で、そこまで歩いて送り届けることに…。

年齢を聞くと、「42歳です。」やはりダンスに通っているそうで、携帯も使えるし、若く見えるなあ、大人だから一応しっかりしてるなあ、と思うと同時に、だんだん息子の将来の姿に見えてきました。

夫に、「迷子のダウン症の人を300メートル先に送る」とショートメールで伝えてから進むと、交番前、ファミマの前に緑の車が見えてきました。赤い服の白髪のおばあちゃんが手を振っています。

自分にもダウン症のある子がいることを伝え、微笑ましく?道を後にしたのですが、良く考えると、息子の30年後、自分も80も近くなっているはずです。80歳になって、息子が迷子にならないか心配しながら、ダンスの送迎をしている図、ちょっと面白いな、と思ったり、免許の返納も迷うな~アクセルとブレーキ踏み間違えないのかな自分、と思ったり、夫と二人の老後でなくて、さびしくはなさそう、と想像したりしながらダンス会場に向かいました。

リアルに30年後を想像させてくれた今回の体験ですが、やはり自分が高齢になったら親亡き後が心配ですよね。例えば後見人にしても、兄弟が何人かいても喜んで引き受けてくれるとは限らないし。

これくらいの年の差のあるダウン症の子がいる家族が、中高年のダウン症の方がいる家族と親しくなって支え合う仕組みができたらいいのになあと思わされました。
もちろん、今通っている愛児クリニックでも、そのような取り組みはスタートしているのですが、子どもが小学生の今なら時間もあるし、月に一回会いに行って、好きなものを差し入れたり、交流を持てたら楽しいかもしれないし、もっと豊かな社会になるのではないかしら。

彼らはとてもフレンドリーでニコニコしていて、とても付き合いやすい人柄の場合が多いし、少し前なら、世の中に必要とされていない、生まれる前からの差別があったのだけど、今は、「チョコレートドーナツ」で舞台に出たり「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」のように日常がドラマになったりと、少しづつ理解されてきているから、大丈夫かもしれません。

ご近所さんにいたら、会いに、差し入れに行きますよ。そんなことを考えた土曜日になりました。あの親子が楽しく平穏に暮らし続けて行けますようにと願っています。

私が子どもの頃、保育園で一緒だっためぐみちゃんと葉子ちゃんがいました。
めぐみちゃんは、おしりから落ちてしまい、余り上手くしゃべれなくて、葉子ちゃんは、猫のような目をしたおとなしい子でしたが、二人とも、小学校に入るといなくなってしまいました。
養護学校というところに行ったと聞いたのだけど、小学校の勉強はこんなに簡単なのに、座っていたら良いだけなのに、なぜ一緒にクラスで過ごすことができないんだろう、とずっと心を痛めていました。

その時からすると、画期的なことに、息子は希望して小学校の普通級に入り、クラスメイトと楽しい時間を過ごすことが出来るようになりました。
判定は支援学校でしたが、兄弟で同じところに行ってほしいという親の願いの方が優先され、夫とも話し合いに参加し、校長先生も先生も理解してくださいました。

そのころ隣だった小学校に、登校したはずが、隣町に行ってしまい警察から連絡が来たり、遅刻して校内で行方不明になって電話が来たりとありましたが、概ね平和に過ごしていました。
運動会では、みんなと一緒に棒を持って回ったり、リレーも、彼が入ることで遅くなるのに、誰もそれを顔に出すこともなく、応援してくれて胸が熱くなりました。

昨日、転校する前の学校の先生が産休にはいるとのことで、挨拶に行きましたが、先生方は口にドーナツのついた息子を気にせずにハグして喜んでくれました。校長先生も通りかかり、嬉しい反面、私はハグしてネクタイに口がついたので、チョコレートがつかないか気になって仕方なかったです。
(あ、リアルチョコレートドーナツですね、キャラメル味でしたが。学校まで歩きながらおやつにクリスピークリームドーナツを食べてたんです)

担任の先生は、最近、クラスで、ダンスが好きなのは〇〇さん、じゃあ太鼓を好きなのは誰?というクイズで、みんなが一斉に、「そらくん!」と言ってくれて泣きそうになった…と話してくれました。もう引っ越しして5か月もたっているのに!みんなの心にそらがいてくれて嬉しすぎます。
ずっと、お友達とも仲良くできるといいな…。そんな願いをこめて、住所も書いたクラスの子用のお手紙を先生に渡しました。

学童でも大歓迎してくれて、本人も仲良しの女の子の名前を憶えていて、一緒に写真も撮りました。

生まれた時は、9年後に、こんなに愛されて育つ嬉しい未来がくるなんて、想像もしてなかったです。
これから更に、彼の30年後は、どんな風になっていくのでしょう。この調子だと、きっと失敗しながらも楽しい毎日が待っていることでしょうね、そらくん。



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