【競馬】初心者のための2021年上半期の競馬まとめ 後編
皆さん、推してるのに中々勝ってくれない馬っています?
僕はカレンモエです。
階を経る毎にどんどん質問がディープになっていきますが、このnoteは初心者でもわかりやすくを心がけてますからね。大丈夫ですよ。
さて、前回までで春のGIの約半分を紹介しました。
今回は残り半分です。半分と言いながらとんでもないボリュームになってしまったことを謝罪致します。
無敗馬が続々生まれた前半戦。
しかしその一角のソダシが敗北を喫し、これからどうなるのかというところ。詳しく見ていきましょう。
調教技術とローテーションの話
さて、皐月賞とダービーの話をする前に、ちょこっとだけ大事な話をしたいと思います。
(小難しいのが苦手な方は共同通信杯まで飛ばしてOK)
皐月賞のトライアルレースと言えば、弥生賞やスプリングステークスが有名ですよね。勝ったら優先出走権貰えるやつ。
皆さん、「トライアルレース」って何のためにあると思います?
「そりゃトライアルなんだから予選みたいなものだろ」とお思いかもしれませんが、じゃあもう1つ質問させていただきます。
競馬に予選って、本当に必要でしょうか?
「何が言いたい?」と刑事ドラマで追い詰められた犯人みたく狼狽えるあなたに、競馬の出走ローテーションについて少し解説したいと思います。
レースは、出走を希望する馬の収得賞金順で出走枠(最大18)が埋まっていきます。
極論、億稼いでたらどんなGIにも出られるし、そうなったらGI以外のレースは出なくていいので、
長期間休養→GI何本か出る→また休養
というローテが可能になるのです。
そして、こういうローテをして実際に成功しちゃった馬がいるのです。
前回軽く紹介したアーモンドアイとフィエールマン。
特にフィエールマンの競走成績は、見たら「これだけ?」って思っちゃうくらい間隔空きまくってます。
でも逆に考えると、18世代までそういうローテをする馬は少なく、みんなちゃんとGIIとかトライアルレースとかに出ていたのです。それは何故か。
そして年代を遡るほど、サトダイよりディープ、ディープよりマック、マックよりオグリ、オグリよりシンザンの方がレース間隔が短いのです。何故か。
答えは「調教技術の進歩」にあります。
昔はノウハウが無かったので、馬を放牧に出したあと体重をレースに向けて落とすには、とにかく走らせるしか無かったのです。なので、レースを公開調教として使っていた部分もあると思います。
1985年に「坂路調教」と呼ばれる調教方法が確立してからはローテも見直され、皆さんの想像するような
GII→GI→GI→GI→放牧→GII…
みたいな感じになったのですが…
これって、前時代的じゃないですか?
と告げるかのごとく、海外競馬ではGIだけ挑んで連勝する馬が続々登場。
そんな馬たちの調教施設を参考に作られた(と思われる)のがノーザンファーム天栄という施設のスーパー巨大坂路でした。
これが絶大な効果を発揮し、レースに出さなくても馬を最高のパフォーマンスに持っていけるようになりました。完全したのは2017年のこと。
これを利用して育成されたのが前述のフィエールマンとアーモンドアイです。そういう事もあり、今現在GIタイトルを勝ちまくってる馬はだいたいノーザンファーム生産馬。
これから解説する2頭もノーザンファームの馬なので、それを踏まえてご覧下さい。
共同通信杯
前回の牝馬に続き、牡馬も牡馬で激アツでした。
皐月賞にむけて、強者達はアップを始めます。
2月の初旬。
府中で開催されたのは、GIIIのくせにGIIばりの豪華メンバーが集い、後の皐月賞馬やGIホースが続々誕生することでおなじみの共同通信杯。
正直、このレースの1着2着馬を皐月賞で複勝買ったらほぼ100で儲け出ると思います。検証してないけど。
(余談ですが、ウマ娘で正式名称が一部伏せられているレースがいくつかあります。
1つは「府中牝馬ステークス」や「オークス(優駿牝馬)」など、馬を想起させる名称。これは全部変更か無かったことにされてます。
そしてもう1つが、「弥生賞ディープインパクト記念」と「共同通信杯(トキノミノル記念)」。
トキノミノルは緑のあの人として登場してますし、ディープもこれから登場するかもしれないからですかね。
たづなさんがディープやシンザンと並ぶすごいウマだったことは理解頂けたと思います。)
そんなレースで楽に他馬を突き放した馬がいました。
馬の名はエフフォーリア。
父に三冠に惜しくも届かなかったエピファネイア、祖父母に有馬記念で9馬身ちぎったシンボリクリスエス、日本馬で初めて米GIを勝ったシーザリオ、日本馬で唯一ディープインパクトを破ったハーツクライ、曽祖父にダービー馬スペシャルウィーク。
これからの時代を背負うに相応しい馬でした。
そして、この馬の鞍上も、これからの時代を背負うに相応しい騎手だったのです。
横山武史。
セイウンスカイ主戦、横山典弘の息子。
次世代の武豊(最強)候補とも言われており、新人とは思えないほどの勝利数を稼いでいます。
騎乗スタイルは父ノリさんではなく、GI6勝馬モーリスやエリザベス女王杯をすんごい脚で連覇したスノーフェアリー、今年の凱旋門賞に出るであろうラヴの主戦を務めるライアン・ムーア騎手を参考にしてます。実際似てるらしいですね。
勝てたエフフォーリアはトライアルを使わず、そのまま皐月賞へ直行。
1番人気で5着だったステラヴェローチェも、サウジアラビアロイヤルカップ(GIII)で1着、朝日杯で2着と稼げてるので、そのまま皐月賞へ直行。
3着シャフリヤールは皐月賞を諦め、毎日杯(GIII)へ向かうことに。
ここまでノーザンファーム生産馬です。
2着ヴィクティファルスは皐月賞トライアルのスプリングステークス(GII)に出走し1着。
4着キングストンボーイはダービートライアルの青葉賞で2着。
こうして見るとめちゃくちゃレベル高いレースなんですよね。
毎日杯
そしてシャフリヤールはGIII毎日杯でレコード勝ち。
皐月賞は目指さず、2ヶ月のダービーに向けて英気を養います。
実況の通り、兄のアルアインは毎日杯→皐月賞ローテで見事に勝利したのですが、シャフリヤールはそれを避け、ピークをダービーに持っていくことに。
皐月賞
そうなると皐月賞はエフフォーリアが圧倒的1番人気…かと思いきや、僅差の2番人気に落ち着きました。
1番人気は去年のホープフルステークス勝ち馬、ダノンザキッド。
今年の弥生賞では3着に甘んじてしまったものの、ホープフルでの勝ち方が楽勝そのものだったため、強さを信じて1番人気に。
3番人気は皐月賞トライアルの若葉ステークス勝ち馬、アドマイヤハダル。4番人気はスプリングステークス勝ち馬ヴィクティファルス。
なのに弥生賞勝ち馬タイトルホルダーは8番人気。どうして…?
エフフォーリアーーーーーッッッ!!!!!!!!!
(エフフォーリアに親を殺された男)
(声デカすぎてNHKのマイクも拾った青嶋ボイス)
ダノンザキッドは沈みました。
予想以上に沈みました。
敗因は成長するごとに悪くなる気性と、前回書いたレシス同様、脚の出し方、手前が普通の馬と逆になる癖があること。
とにかく返し馬の段階から発汗してチャカついていたので敗北もやむなしという感じですが、まさか15着になるとは。
対してエフフォーリア。
もう馬の性能がダンチ。皐月賞であれだけ突き放せる馬はなかなかいないです。
正直、僕は二年連続三冠馬あるぞと思ってました。
だって父親が皐月賞2着、ダービー2着の菊花賞馬だし、ジャパンカップ(ダービーと同条件のGI)勝ってるし、母父が激強馬のハーツクライだし。
しかし、ここで恐ろしいオカルトが出回ります。
エフフォーリア×横山武史(22)
父エピファネイア←ダービー2着
父父シンボリクリスエス←ダービー2着
母父ハーツクライ←ダービー2着
父横山典(22)←1番人気ダービー2着(メジロライアン)
まさか…そんな…ねえ?
ノリさんがダービー2着になったのはアイネスフウジンのほぼレコードみたいな激強逃げ切りがあったからだし、父母父のスペちゃんはダービー勝ってるし…
と思いつつ、震えながら当日を待ちました。
京都新聞杯&青葉賞
ダービートライアルといえば京都新聞杯。
本当は違うけど。
青葉賞はダービー勝ち馬生まれてないのでトライアルじゃないです。(過激派)
京都新聞杯のくせに中京開催となったこのレース。当日シンザン像拝むついでに馬券を買おうと京都競馬場に行ったらコロナの影響で閉まっててキレました。
先にネタバレをすると僕の推してたルペルカーリアは2着だったので開いてなくてよかったかもしれないです。脳死で単勝買ってたと思います。(隙あらば自分語り)
勝った馬はレッドジェネシス。クロノジェネシスとは何の関係もありません。
勝てたので素直にダービーへ。
2着ルペルカーリアはダービーには行かず。
トライアルじゃないのでそういう選択も普通っちゃ普通なのですが、京都新聞杯行く=ダービー出るだと思ってた人も多く、ネット上では嘆きや怒りの声も見られました。
そして青葉賞。
出た馬はどうせダービー勝てないので映像は載せません。
1着はワンダフルタウン。テイエムオペラオー和田竜二が主戦の馬。馬も強かったため、和田Jがダービーを勝つ所が見たい!と待望の声も聞かれました。
2着は共同通信杯で4着だったキングストンボーイ。
2着のためダービーの優先出走権が付与されました。
キングストン調教師の藤沢和雄さんはタイキシャトルやグランアレグリア、ゼンノロブロイなどを管理されていた競馬界のレジェンドで、競馬史でも少し話した通り、日本競馬に「短期放牧」と「馬優先主義」を根付かせたパイオニアです。
御歳69歳。
実は調教師には定年があり、数えで70の藤沢さんは今年度で引退と決まっていました。
藤沢さんは管理していたレイデオロがダービー馬になっていたのですが、ホースマンたるもの、ダービーに持ち馬は何度でも出したくなるもの。なのですが…
「キングストンボーイはダービーに出さない」と明言されました。
藤沢師の言葉を要約しますと、
「シンボリクリスエスやゼンノロブロイも青葉賞を余力を残したまま勝ったが、それでもダービーはダメだった。この馬はしっかりと走り切ってしまったし、2400mを連戦するのは厳しい。ダービーが終わりではないんだし、馬の将来を考えて回避した。今年定年?最後のダービー?人の話は関係ない」
とのこと。
自分の最後のダービーより馬の将来を優先する。
レジェンドがレジェンドたる所以ですね。
近しい所だと騎手の岡部幸雄さんも馬優先主義の姿勢を取られていました。彼が勝った最後のGIが藤沢厩舎のシンボリクリスエスなのも、なにか縁を感じますよね。
めちゃくちゃ話が脱線したのでダービーに行きましょう。
日本ダービー
前述した例の恐ろしいオカルトに僕は怯えていました。
それに加え、エフフォーリアに不利な要素が2つも追加されてしまいました。
1つはクソ暑い天気。
当日はこれほんとに5月かって思うくらい暑く、エアコン付けながら観戦してたような気がします。
もう1つは「教えて!福永先生」の投下。
もうこの動画は福永先生の勝ち確演出でしかないので震えながら見るしかありませんでした。
しかし、如何なる不利をもってしても絶対に崩せない「1枠1番」の鉄壁の牙城。
有力馬サトノレイナスは大外枠。
ステラヴェローチェも外め。
そしてダノンザキッドは故障のため回避。
加えて、これまで皐月賞を3馬身以上差を付けて勝った馬はトウショウボーイ、ミホシンザン、ナリタブライアン、オルフェーヴル、エフフォーリアのみ。
三冠馬が2頭、ダービー回避した二冠馬が1頭、ダービー2着馬が1頭。
ほぼダービーを勝てることの裏付けでした。
これだけ見れば完全に流れはエフフォーリアに向いていました。しかし僕は「教えて!福永先生」が気がかりだったのです。
シャフリヤールの存在に怯え、友人にシャフリヤール怖いぞと進言するものの、「1800でレコード出す馬が2400勝てると思えない、アルアインも2000までの馬やし」と言いくるめられ、僕もエフフォーリアの単勝を握りしめるのでした…
このレースを語る上で、福永祐一という人物のドラマは欠かせません。
2013年、福永祐一はまたダービーに挑んでいました。
キングヘイロー、アサクサキングス、ワールドエースと毎年有力馬に乗りながら結果を残せていなかった福永先生。
しかし、この年は訳が違いました。「三冠の器」と称されたエピファネイアでダービーに出るからです。
もう既に皐月賞で2着。後がない中、 福永先生は今まで史上最高の、渾身の騎乗で先頭を駆けたのです。
ですが、飛び込んで来たのは武豊とキズナ。
ディープの子で、親子2代でダービーを勝たせた武豊に、先生は項垂れるしかありませんでした。
しかし、18年のダービーでワグネリアンに騎乗し、初勝利を挙げると、先生は急に覚醒して一流のジョッキーになったのです。落ち着きと自信が生まれたからでしょうか。
そして昨年のコントレイルで2勝目。
今年ももちろんダービーには出るわけですが、今回乗る馬は少し思い入れがある存在でした。
先生が昔勝てなかった頃にお世話になっていた、藤原調教師の馬だったのです。
「散々迷惑かけたから藤原厩舎の馬でダービーを勝ちたい」
先生が以前より思っていたことでした。
ダービー開始前、エフフォーリアが発汗。
不穏な空気が漂う中、レースはスタートしました。
やはりエフフォーリアは掛かり気味に。
そしてサトノレイナスが思いのほかスタートが良かったため、できるだけ馬が行きたいように行かせてやる派のルメールさんは中団につけることに。
その結果、位置取りの攻防やらなんやかんやで、最終直線に入る頃にはレイナスが先頭という訳わかんない展開に。お前、追い込み馬だったよな?
そして、エフフォーリアはなんとか横山武史の最高の騎乗によって無事先頭へ。やはり最強はこの馬か。そう思った時。
福永先生のシャフリヤールが意味わからん伸びを見せてきたのです。
飛び込んだゴール板。
数cmの差は何より大きいものでした。
武豊、四位洋文以来、史上3人目のダービー連覇。
4年でダービー3勝。
前走から乗り替わり(毎日杯だけ川田プロが乗ってた)ではシリウスシンボリ以来36年振りの1着。
レースはレコード決着。2:22:5。
30年前なら古馬でも出せたか分からないようなタイムでの激走。死闘にも見えた熱き一戦でした。
勝負を分けたのは首の上げ下げ。
ゴール直前後の写真や映像を見ていてもエフフォーリアが前なのに、ゴールの瞬間だけはシャフリヤール。
まるで1999年のスペシャルウィークvsグラスワンダーの有馬記念を彷彿とさせるような決着。
この2頭は最高のライバルになるんじゃないでしょうか。
後に福永先生は語っています。
「馬が前に乗った時とは別物になっていた。(中略)最後の直線でエフフォーリアがあまりにも前にいたから諦めかけてたんだけど、鞭を入れたらとんでもないスピードで伸びたから、馬の重心を崩さないように前だけ見て、エフフォーリアも見ずにゴールだけを目指して追った(意訳)」
横山武史も素晴らしい騎乗を見せたのです。しかし、出たのは「経験の差」。
これでダービー2回目の挑戦となった横山武史と違い、福永先生は20回目。
冷静さが違うし、経験からの位置取りや仕掛けどころも変わってくる。
テイエムオペラオー和田がアドマイヤベガ武豊に負けたように、ダービーは勝った経験がそのまま強さに繋がる場所らしいのです。
そして、このレース2着のエフフォーリアはエピファネイアの子。1着のシャフリヤールはキズナと同じディープの子。
“あの時”と同じ光景。しかし騎手は変わりました。
すっかりベテランとなった福永先生が、まだまだ新人の横山武史に敗北を教える。きっとこれが彼とエフフォーリアをよりいっそう強くしていくのでしょう。あの時の福永先生のように。
NHKマイルカップ
外国産馬の為に作られたダービー的なポジションだったのにダービー自体が外国産馬出られるようになって価値が暴落したGIことNHKマイル。
今年の有力馬は朝日杯勝ち馬グレナディアガーズとトライアルのニュージーランドT勝ち馬バスラットレオン。そして弥生賞2着のシュネルマイスター。
僕は名前の響きだけでグレナディアガーズを応援してました。
早々にバスラットレオンが落馬。
そしてグレナディアガーズも思ったより伸びず。
ソングラインが突き抜けて、池添今年GI初勝利やんけ!と思った時に差してきたのはルメール。
シュネルマイスター。やっぱ弥生賞2着は伊達ではなかったし、ルメール(と書いて日本一と読む)を侮ってはいけなかった。
しかし7番人気が2着、3番人気が馬券に絡まない大波乱。
今年のマイル路線は混戦模様です。
ヴィクトリアマイル
そしてVM。
みんな大好きグランアレグリア銀行が設立されました。
おなじみねっとり実況の小林雅巳アナに「強い『馬娘』達です」と紹介されながら枠入りした18頭。
今日の勝利の女神はどの馬にチュウするのか。
緊張の一瞬。
強゛い゛っ゛!!!!それは何故か!!!!
それはこの馬がグランアレグリアだからです!!!!
(決まってるように見えてまったく決まってない実況すき)
一切の鞭を使わず、軽く本気になっただけで完勝。
着差以上の能力差と絶望を他馬に与え、グランは安田記念連覇へ向かいます。
安田記念
それでも懸念点はありました。
いくら前走で楽に勝たせたからと言って、中2週での出走は初経験のグランちゃん。
1レースで全部出し切る「完全燃焼」型の彼女にとって、この課題の克服は大きな壁でした。
そして、それなりに強敵になりうる存在が何頭か。
本質はマイラーのインディチャンプ。
大阪杯で見せ場なく散ったサリオス。
期待の3歳世代代表シュネルマイスター。
普段のグランなら敵ではないですが、今ならあるいは…と思わせる布陣。
レースは始まります。
伏兵は他にいるとも知らずに。
関テレ実況の方が熱いですが、音声が左にしか振られてないのでこっち。関テレ版見たい方はこちらから
最終直線、グランアレグリアは進路を無くし、外に出しながら加速しようとします。
しかし、ブロックするのは川田プロのダノンキングリー。彼はこうなったらてこでも動きません。
シュネルマイスターもろともがっちりホールドされ、仕方なく進路を内に変えている間に、キングリーは伸びます。
普段ならそれでも問題なく差し切るのですが、今回は悪い意味で別の馬に成り下がっていたグラン。
出走馬中最速の上がり6Fタイムで駆け上がるも、VMでの走りには及ばず。
ダノンキングリーに先着されてしまいます。
VMの時の調子で走れていたら1馬身は突き放して勝てていただけに、なんとも惜しい走りでした。(それでも世代最速なんですけどね)
さて、勝ったのはダノンキングリー。なんとこの馬、8番人気でした。
理由は色々ありますが、最も大きいのは「復帰初戦」ということ。
昨年の天皇賞(秋)で謎の大敗をしてから、ずっと復帰予定がなかったキングリー。
あくまで予想ですが、喉鳴りとかそういう病気系のやつに悩まされてたんですかね。
で、復帰がGIの大舞台だったから大波乱の引き金に。
騎手が川田プロだったのも大きいです。彼は1番人気だと飛び、人気下位だと必ず上位にくい込んでくる男なので。
そもそもこの馬、GI勝てなきゃおかしいくらい強い馬だったんです。
新馬戦でカレンブーケドール相手に勝ち、共同通信杯でアドマイヤマーズに勝ち、ダービーで2着し、中山記念でラッキーライラックに勝ち…
GI馬相手に勝利を積み重ねてきていたのに、なかなか勝てなかったGI。
そして今回、昨年まで敗け続きだったマイルで1着。
勝てば勝つほどその器用さが明らかになっていく馬。
今後も期待できそうですね。
宝塚記念
今年の宝塚は過去最高のメンツになると言われていました。蓋開けたら全然そんなこと無かったです。
三冠馬2頭が再び顔を合わせるかと思いきや、両者共に回避を表明。
デアリングタクトは故障なので仕方ないとして、コントレイルは大阪杯の疲れが取れず回避。
三冠馬らしからぬ理由の回避だったため、コントレイル最弱説が巷で流れ始めます。
ワールドプレミアは三冠馬と戦っても勝ちはないと踏んで早々に回避を表明。撤回はせず。
グローリーヴェイズやラヴズオンリーユーも回避。
GI常連組のワグネリアンやマカヒキも、ディープボンド、ヒシイグアス、ウインマリリンも回避。
こんだけ回避馬が相次ぐのは、梅雨の季節に開催されるため馬場が荒れて馬の寿命を削るキツいレースになる可能性があること、晴れたら晴れたでクソ暑いから寿命を削るレースになることが主な理由です。
18頭ちゃんと入ったのが過去2回しかないという過疎っぷり。今年は13頭立て、しかも条件馬(オープン戦にすら辿り着いてない馬)でかさ増ししてこれでした。
1番人気はクロノジェネシス。グランと並んで現環境最強馬ですね。今回は牝馬史上初のグランプリ三連覇がかかった一戦でした。北村友一騎手が大怪我で離脱したものの、乗り替わったのはルメール。ルメさんなら大丈夫だろという謎の安心感がありました。
2番人気はレイパパレ。未だ無敗馬で底を見せていませんからね。懸念点は2200mが初挑戦ということ。
3番人気はカレンブーケドール。ここまで層の薄いGIは秋には無いですから、勝てるならここしかないというところ。
4番人気はアリストテレスでしたが、安田記念でラウダシオンとサリオスがボロ負けし、20世代の底が見えてしまっていたので、個人的には絶対来ないと思っていました。
なんとか晴れ間が広がった仁川の舞台。
絶対王者は健在でした。
レイパパレが逃げるかと思いきや、距離不安のためかユニコーンライオンに譲ることに。ユニコーンはスロー逃げの馬であるため、この時点で後ろの方の馬は勝ちが厳しくなりました。
最後の直線で後方の馬は全く伸びず、レイパパレもバテかけた所にユニコーンライオンが差し返して2着。クロノジェネシスは格が違う走りで順当に1着。
カレンブーケドールとキセキは4着5着争い。アリストテレスは案の定。メロディーレーンはよく頑張った。そんな感じのレースでした。
予想外だったのはユニコーンライオンの大躍進です。
数ヶ月前まで条件馬だった馬が宝塚記念で2着って、相当頑張らないと出来ないことです。さすが矢作厩舎。GIは矢作厩舎の馬は買いです。
レイパパレも負けはしたもののしっかり強かったことが分かって一安心。秋はエリザベス女王杯に挑むそうですが、距離は大丈夫なんですかね。レイナスに差されそう。
最強女王クロノジェネシスは凱旋門賞へ。帰国後に有馬記念に挑んで引退となります。
凱旋門は後述するバケモン含め馬かどうかすら怪しいレベルの強者がひしめいてるので、正直勝てるとは思いません。3着に入れたらおめでとうと言いたい。
逆に有馬は絶対勝たなきゃいけない。敵という敵がエフフォーリアとシャフリヤールしかいなさそうだし、どっちか1頭はジャパンカップに挑んで即放牧な感じがするから、ほぼ一騎打ちですね。
ここで勝てたら史上初のグランプリ四連覇で年度代表馬確定だし、エフフォーリアが勝ったらそれはそれで伝説ですね。スペちゃんみたいになりそう。
今年で引退なのに一度も年度代表馬になれないことが確定したコントレイルくんはどう触れたらいいのか。
秋に最低でもGI2勝しない限り最弱三冠馬の汚名を着せられるのがね…。秋天では勝ってほしいですね。
中山グランドジャンプ
突然ですが。障害レース、見てますか?
見てる人はきっと少ないと思うし、どうやって行われてるのかも知らない人、多いと思うんです。
なんか、ウマ娘やってる時に「どこでどのスキル発動すんのかわかんね〜!」ってなって、競馬場の画像調べた時に
↑この斜めの線なに?
(画像は阪神競馬場)
って思ったことはないでしょうか。
これが障害コースです。
で、障害GIが行われる中山競馬場は
ものすんごいことになってます。
障害コースも芝なので、芝コースと障害コースが重なってる部分は問題ないのですが、ダートコースとも重なってますよね。ここも普通に走ります。
それすらも障害なんでしょうね。たぶん。
競馬好きでも障害を見てる人はかなり少なく、話が通じる人はごくわずかな印象です。
しかし、ここ数年で障害はある程度メジャーになりました。ある馬のおかげで。
馬の名はオジュウチョウサン。
名前のインパクトが凄いですね。
同一GI5連覇の世界記録(1位タイ)を保持する馬です。
この馬、ウマ娘から入った人でもとても取っ付きやすいのです。
父がステイゴールド(ゴルシの父でアニメではキンイロリョテイとして登場)
母父がシンボリクリスエス(あの『シンボリ』の馬で、エフフォーリアの祖父)
という、とても分かりやすい血統。
そのため気性もちゃんと荒いです。
ライバルのアップトゥデイトは父、母父がカレンチャンと同じ。こちらもわかりやすいですね。
ライバルはもう引退してしまったのですが、オジュウは孤軍奮闘していました。今年の中山グランドジャンプを勝てば単独世界一の6連覇。
しかし、衰えが見えてきているのも事実でした。もう10歳ですしね。
そんな彼の勇姿をご覧下さい。
実況の「踏み切ってっジャンプゥ〜!」が癖になりますよね。
オジュウは前半から外を回らされ消耗。終盤であからさまに失速してしまいます。
しかし、執念の走りで5着。
さすが有馬記念でマカヒキに先着した脚です。(馬主の意向で平地競走も出たことがある)
それでも衰えは隠せず、メイショウダッサイに勝ちを譲る結果に。
ダッサイはダサい訳ではなく、獺祭という酒から取ってます。
ダッサイも昨年末の中山大障害で最後の平地直線ですごい末脚を使って差し切り勝ちしてるので、究極的には速い馬が勝つというのは平地と変わらないのです。
オジュウの過去レースを見て障害に興味を持った方は、今のレースを追ってみても楽しいと思いますよ。
オススメは2017年の中山大障害。
おまけ
サトノジェネシス
簡単に説明すると、サトジェネ(勝手にそう呼んでます)はサトノダイヤモンドと父母が同じの弟で、能力的にもサトイモちゃんと同等のものを秘めた馬でした。
しかし、2勝した後屈腱炎を発症し、長期休養へ。
休養期間、なんと2年3ヶ月。
スペちゃんがデビューして引退するまでとほぼ同じ長さです。
普通そんだけ休養したら全盛期の走りは見る影も無くなってそうなものなんですが
鞭入れたらすぐ加速して勝利。
ディープの子らしい賢さと強さを兼ね備えています。
見た感じ福永先生も慎重に扱ってますね。このまま大事に秋まで放牧して、何勝か重ねた後に有馬記念あたりに出走してくれるととても面白くなりそうな予感。
函館スプリントステークス
冒頭で書いたカレンモエの出走レースがこれです。
↑
ここで解説したカレンチャン大好きカナロアくんとカレンチャンの子こそカレンモエ。
短距離最強馬と短距離激強牝馬の子。しかもどっちも先行馬なので脚質も性能も約束されており、我々ファンはクソデカ青写真を描いてたんですけども…
因子継承の時に、なんかの手違いでカレンブーケドール(善戦因子)入っちゃったんですよね。
今回も今回で2着。GIII3連戦して3連続2着というね。
まあでも、騎手に恵まれてなかった所もあるかもしれません。京阪杯は若手の松若騎手、オーシャンSは中距離で強いイメージの北村友一騎手、今回は中堅の鮫島騎手。
次走のセントウルSは我らが松山弘平。ワンチャンあるかも。
アイビスサマーダッシュ
これは話題になりましたよね。
内ラチピッタリにつけるやつ。
そもそも直線競馬がなぜみんな外に行くのかというと、馬場が荒れてないからなんですね。
フィギュアスケートを想像してください。
前の人が大きく踏み切ってジャンプした所ってめちゃくちゃ氷に傷が付いてるんですよ。
で、だいたいみんなそこを避けて飛びます。
競馬もそうで、何度も馬が走ってる所はめちゃくちゃ凸凹してて走りにくくなってるんです。
普段はそれでも走らなくちゃいけないんですけど、アイビスサマーダッシュはコーナーを曲がらなくていい直線競馬なので、普通は使わない外側に馬を動かすし、柵が近くに無いと真っ直ぐ走るのは難しいので、外ラチに寄るのです。
でもここには抜け穴があったんですよね。
なんか新潟競馬場には開催時期によって使うコースをズラす?らしく、たまたまアイビスの日が柵をズラしてすぐ、つまり内ラチに芝が荒れてないゾーンが少しだけ顔を出す日だったのです。
それを調教師さんは見抜いていて、騎手にこの戦法を依頼したのです。
1頭だけでまっすぐ走らせてあそこまで上位に食い込ませるのは菅原騎手さんナイスファイトです。
なんとまだ20歳の新人さん。度胸すげえよ。
今後、彼がGIで騎乗してる姿を見たいですね。
スノーフォール
もうこいつは動画見た方が早いです。
説明しなくてもどの馬がスノーフォールかは、じきに分かるでしょう。
バケモノなんですよ。
でも、ただバケモノなだけじゃ紹介しません。
なんとこの馬、日本で生まれたディープインパクトの子なんです。
育ちこそ違えど、今世界最強とされる馬が日本のディープインパクトの子であり、日本のノーザンファームで生まれたということは歴史に残るんですよね、きっと。
次走でもこの余裕の走り。
海外でも「彼女はArc(凱旋門賞)を勝つだろう」と噂されています。
もしもまだディープが生きてたら、来年の種付け料は5000万を確実に超えてたでしょうね。(ディープの4000万が世界最高額)
でも、何より悲しいのが、
そんな馬が今年覚醒してしまったこと。
クロノジェネシス絶対勝てないんですよこんなん。
凱旋門勝ってBC勝って、ローテに余裕が出来たら、ジャパンカップにも遊びに来て欲しいですね。
エフフォーリアvsサトノレイナスvsスノーフォールとか最高にアツいはず。来年は期待しちゃいますね。
まとめ
はい。
下半期版はもっと長くなると思います。ご覚悟を。
今年の競馬がアツすぎて、グランとクロノとコントレイルがいなくなった後の競馬が想像できないんですよね。しんみりしてそう。
そうならないようにエフフォーリアにはGI10勝を目指してほしいところ。打倒アーモンドアイ。
ダート編で書き忘れてたけどクリソベリルは秋から復帰なのでよろしくお願いします。共に応援しましょう。
あとオルフェの子のマルシュロレーヌも(以下略)
それではまた。
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