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miteirukara

   しゅんくんへ
 

 しゅんくん、私がこの世界から、いなくなった事をどうか哀しまないでください。あなたがお酒を呑み、私のことを想い破滅的な生活をしているのを私はこちらの世界からしっかりと見ているのよ。私は自分の病気よりも、いつも、しゅんくんの体の体を心配していたのを、あなたは知っているはずよ。

 フェイスブックで再会して、私がこの世界から旅立つまで逢えることはできなかったけれども、私はしゅんくんと一緒に居た、あの頃と何ら変わらず、あなたを側に感じることができていたのよ。それは、しゅんくんも同じではないかしら?

 あなたはシャイな人でしたね。小学校で出逢い、私たちは恋をしました。学校が終わり、一緒に帰ろうといっても、いつもしゅんくんは私の20メートル後方を歩いているだけで、2人で帰宅する感覚はあまりなく、寂しい気持ちもあったけれども、私はそんなしゅんくんの不器用さを愛したのよ。

 私はちっとも、病気の治療なんて苦しくなんてなかったのよ。あなたは何やら、そちらの世界で何もしてやれなかったと後悔しているようですが、しゅんくんが、いつも寄り添っていてくれたからこそ、抗がん剤の吐き気や体のだるさ、そして私があの頃、抱いていた死への恐怖さえも耐えることができたのよ。

 覚えている?私が痛みと抗がん剤の副作用に耐えられなくなって、「もう、ダメかも・・」とラインした夜のことを。

 しゅんくんは、私に「俺と一緒に死んでほしい」と云ってくれたわね。できる事なら、叶うならば私も、あの苦しみから開放されたい、そしてしゅんくんとずっと一緒に居たいとの想いから、「一緒に死ねたらなぁ」と返信したことを想い出しては、恥ずかしさに微笑したりしています。

 明日で私が今生を去って、3ヶ月経つので今夜は、そんなに呑んでいるのでしょ?しゅんくん、私はこちらの世界に来て判ったのよ、「死」というものは決して辛く哀しいものではないということを。この世界から、いつもあなたを見ています。そして少し元気になったしゅんくんの夢に、最近、2度ほど登場したことを覚えていますか?

 しゅんくん、しゅんくんの私に対する愛は充分に届いています。だから、どうか早く私の居る世界に来ようなんてする行為は止めてくださいね。しゅんくんも、心の中では判っているはずよ。いつも私は、あなたの事だけを気にかけ、あなのたの幸せを願って、こちらでお釈迦様にご相談することさえあるのよ。

 しゅんくん、あなたがそちらの世界でしゅんくんの生を全うした時に、私はあなたがあの頃、好きだった、ロングスカートと純白のトップスを身につけ迎えに参ります。私はお釈迦様から教わり、その時はいつなのか知っているのだけれど今は申しません。

 ただ一つ、申すことができる事は、しゅんくん、あなたはあなた自身が憎んでやまない今生で再び恋をして、そして愛され幸せになるのよ。そんなことで焼きもちしたりする関係では私たちではないでしょう?

 あまり長くメッセージを送る事ができないの。生と死はコインの表裏と同じように一緒であるのだけれど、こちらの世界に来たものは、こちらのルールというものがあるのよ。生きていても、死んでみても、結局、私たちは世界のルールというものに縛られ死んで生きているようね。

 長くなりました。しゅんくん、あなたのことを愛しています。私たちの愛は普遍よね?私はその愛の奥深さを知っているから、こちらの世界で堂々と構え、しゅんくんのやってくるその時までずっと、ずっと待ち続けています。

 しゅんくんが、そちらの世界で恋する方との日々を、少しだけのジェラシーと、そして、あなたの笑う姿を喜びにして、しゅんくん見ています。あなたを愛し続け、お幸せを願っております。どうぞ、しゅんくんが生まれ持ってきた寿命というものを全うしてくださいませ。

   あなたのゆかより。

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