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観る将を楽しもう!【1日制と2日制】
将棋の2日制って不思議で、最初は2回戦うのかと思っていました。
1日制と2日制の違いは、持ち時間の長さです。
持ち時間8時間での戦いになると、両者合わせて16時間。
それを1日制で行うとすれば、8時に始めたとして、終わるのが24時になってしまいます。その間にお昼休憩も1時間あるので、現実的ではないということで、2日制という体制をとっているようです。
1日制と2日制の大きな違いは、2日制には《封じ手》があること。
《封じ手》は、1日目の終局時間に手番となっている者が行います。
別室へ趣き、指す一手を専用用紙に記します。
その後、対局室へ戻り《封じ手》の確認として、相手の方が赤ペンで名前を書き、最後は立会人が受け取る、という仕来りのある儀式のようでそれも将棋の一つの面白さかと思います。
そして《封じ手》の面白さは封じるタイミング。
そこには棋士の性格が表れるような気がします。
対局は2局、3局(2回戦、3回戦)と続いていきますので、3回連続で《封じ手》をする棋士もいました。
1日目の終局まで時間はまだあるのですが、自分の手番でなかなか打たずに、自分の持ち時間を削って時間調整をし、自分の手番でどうしても封じたいという様子が窺えたこともありました。
それからもう一つ。
《封じ手》の面白さは、封じる一手の内容をどうするか。
基本的には、明解な一手を封じるそうです。
誰が見てもこれはこうするだろう、という手ですね。
難しい一手を封じてしまうと、封じた後にホテルや宿に戻ってから「あっちの手にしておけば良かった!」とより良い一手を見つけて取り返しがつかない可能性があるからです。
あとは、相手も1日考えられるわけですから、1日考えてもよく分からないぐらいの局面で封じるなど、対局者の間では様々な駆け引きが行われているそうです。
《封じ手》のタイミングは局面を理解できるくらいの棋力があった方が、より楽しめるとは思いますが、私は駒の動かし方しか分かりません。
けれども、《封じ手》のタイミングやどんな局面で封じた方が良いかは、将棋解説の人がお話してくださることもありますし、対局者が「あっちの手にしておけば良かった!」って思ったんですよ、とお話して将棋の記事になったりしていますので、棋力がなくても、駒の動かし方が分からなくても、観るだけ、読だけ、聴くだけで、将棋の世界の美しさに触れられます。
ちなみに私は、観る将からではなく、読む将(藤井棋士と山本伸弥の対談など)から入りましたので、その時のこともこれから書いていきたいと思います。