シン・エヴァンゲリオンを見る前に。

先日「花束みたいな恋をした」を鑑賞する前にストーリーの全体像を予想する遊びをしたところ、とてつもない集中力で視聴することができたので、本作を鑑賞する前に色々と描いてみようと思い立った。

とは言ったものの、本作に関するストーリーは予告等では全く察することが出来ないし、エヴァに関する過去のほぼすべての考察は無意味に終わってる（歴史が証明している）ので、ここでは私にとってのエヴァンゲリオンを簡単に振り返りつつ、本作への期待と諦めを書きとめるものとする。

私にとってのエヴァンゲリオン

私は1996年生まれ。アニメ版エヴァンゲリオンは1995年放送であるから、私は生まれた時点からエヴァンゲリオンに触れることが出来た。おそらくなのだが、3歳くらいでアニメ版を通して見ていると思う。私の最初期の映像作品に関する記憶は「きかんしゃトーマス」「救急戦隊ゴーゴーファイブ」「新世紀エヴァンゲリオン」である。親がＶＨＳにエヴァンゲリオンの再放送版を録画していたようで、それを繰り返し見ていた。そんなおぼろげな記憶がある。
子供ながらに「すごい作品だな」とは思っていた。
フラッシュバック（短い映像が高速で切り替わるアレ）やエンディングにジャズソングを用いるあたり、ただならぬ作品だなと感じていた。だが、作品の内容に関しては当然というか、なんというか全く理解できなかった。

中学生くらいになると、ある程度いろんなことがわかるようになり、作品に関する考察サイトや本などを読んで「人類補完計画」「ガフの部屋」「ロンギヌスの槍」とかそこら辺のエヴァ用語を調べたり、いろいろ考えて友達と話したりしていた。そんなにアニメをよく見るタイプではなかった私が、唯一ハマっていた作品だといえる。
転機になったのは高校2年生のころ。「新劇場版Ｑ」を見た際のこと。
王道展開であった「破」で興奮していた私にはショッキングな作品だった。
当時、一緒に一緒に見に行った友人の香川君が「なんだったんだよ・・・何にもわかんなかったよ・・・なんなん・・・」と1週間くらい頭を抱えていたことをよく覚えている。
正直、私も香川君と同じ心境で、「あ、もう分からせる気がないんだな」とすべてを諦めた記憶がある。
これ以降、エヴァについて考察したり、深く調べたりすることはしていない。

2014年。私が浪人していたころ、予備校のあった大宮から宇都宮へ帰る電車の中で、漫画版の最終巻を読んだ。非常に感動した。漫画版を読んだことのない人が意外と多いようなのだが、読むことをぜひ強く勧めたい。アニメ版、旧劇場版、新劇場版など、さまざまなストーリーや結末があるが、漫画版は圧倒的に美しい終わり方をする。広がった風呂敷を最も美しくたたんでいる。中でもとりわけ私が好きなのは、エヴァの世界の日本に雪が降るシーンである。ご存じのことだろうが、エヴァの世界ではセカンドインパクトに伴う気候変動によって、日本は常夏になっており冬はこない。雪は降らない世界なのである。ので、公式として冬服をまとったキャラクターは描かれてこなかった。漫画版では、雪が降る東京をシンジが電車から降りて一人で歩きだすシーンで終わる。このシーンで以て私の中のエヴァンゲリオンは完璧に終幕した。あの終わり方で納得している。

ので、シン・エヴァンゲリオンがどうなろうとどうでもいい。というのが私の中の結論である。
本作でエヴァンゲリオン25年の歴史に終止符を打つとのことで、その終わり方や語られてない謎についての回答を求めている人もある程度いるだろうとは思われるが、もう興味がない。

シン・エヴァンゲリオンについて

「じゃあ、わざわざシン・エヴァンゲリオンを映画館に見に行く必要なくない？」
そのとおりである。アマプラに落ちてくるのを待つので十分である。
分かっているのだが、見ないわけにはいかない・・・
悲しいオタクの習性である。つらい。

もう絶対何にも分からずに「なんだったんだよ・・・何にもわかんなかったよ・・・なんなん・・・」
と言いながら帰路につく未来が目に浮かんでいる。7年前の香川君になる。間違いない。
どうせ風呂敷はたためないのだ。上映時間をいくら伸ばそうと無駄だ。

本作に期待することは、シンジ君が少しでも自立した人間になっていることくらい。
出来ればスーパーロボット大戦αのストーリーくらいの主体性が欲しい。（スパロボ開発者のこうだったらいいのに・・・が詰め込まれた、イケメンなシンジくんが見られます。マジンガーZの主人公の兜甲児などとの友情が見どころ（やはりシンジに足りないのは同じ目線に立ってくれる友人の存在・・・））

本作をこれから見に行く多くの方も香川君になる。これは間違いない。
そうなったら、漫画版を読みましょう。あれをエヴァにおける正史として扱い、心の平穏を保ちましょう。

今日（3/8）のレイトショーで見に行きます。
ネタバレありありで感想も書こうと思います。