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逃げたい自分と向き合って【18きっぷ・現実逃避の旅行記-5】

2024, 9, 7(土)


自分と向き合いたい

島根・益田のカプセルホテル。

チェックアウトぎりぎりの朝10時は、私以外だれもいなかった。


駅前で、おいしそうなフルーツサンドを買った。

とりあえず、列車にのる。

鳥取の梨のフルーツサンド!
絶対おいしいやつ。
そして、期待を裏切らない。



世の中には、僕よりつらい人なんて幾らでもいる。みんな、頑張ってい生きている。私は愛されて育った自覚もあるし、そうでない人の気持ちのすべてを理解することなんて無理だ。


人と比べること自体、間違っている。そんなことわかってる。

でも、環境も、能力も、努力も、なにもかもを…

他の人と比べて、傷ついてしまう。


僕は、誰かを信じることができているんだろうか。

誰にも打ち明けていない。
自分のこと、考えたこと、感じたこと。もちろん、つらかったことも。

怖いのかな。嫌われるの。


赤い瓦が綺麗な街を眺める。


私はどうしたらいいんだろう。

逃げたい。現実から逃げたい。

もう、数週間もすれば、大学がはじまる。よくわからないまま授業を受けて、サークルに行って、バイトして、毎日が消費されていく。

それまで、あと4週間しかない。


いまは、夏のはじめに逃避行の旅に出たときとは違う。あのときは、私を取り囲む全てから逃げ出したかった。

でも今は違う。逃げたくない。


このまま日常に戻るだけだと、前の繰り返しになってしまう。このまま終わってたまるか。


山口駅の朱い列車。
ここ数日、何回も乗ったけれど、ここでお別れ。


私だって、消えてしまいたい思うときもある。

でも、それは今じゃない。後悔は残したくない。

僕は、限界まで足掻いて、嫌われて、全てを失ったわけではない。


すべてがはじまる、10月4日―。


下関駅。本州の端まで来た。

「あの夏が飽和する」

この旅で少しづつ読み進めていた本を、読み終えた。

カンザキイオリさんの「あの夏が飽和する」。

13年前の夏、少年を連れて逃避行の旅に出た少女が、命を絶った。
遺された少年が描く、もうひと夏の物語。

本を読むのも慣れていないから、すこし読んで、それを自分の中でゆっくり消化していく…の繰り返し。

何回か読み進められなくなって、立ち止まって、視界が歪んで、また進んで。

やっと、読み終わった。


電車はトンネルを抜けて、九州に入っていた。



駅を出て、知らない道を歩く。

なんだかすこし、気持ちよかった。



屋台

博多の屋台で、ラーメンを食べた。

はじめての九州、はじめての福岡。もう少し、旅を続けたい。


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