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ラインスタンプ創作を始めたころに陥りやすい勘違い5選
春が近づいてきたし新しいことにチャレンジしたいと、ムズムズし始めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。中には副業でひと儲けしようと思っている方もいますよね。このページにたどり着いたということは、”ラインスタンプでひと儲け”狙いでしょうか。
そこで、ラインスタンプを創ってひと儲けしようと考えているクリエイターの皆様に、ラインスタンプ創作を始めたころに陥りやすい勘違い5選をお届けします。
その1:大当たりするかもしれない
ひょっとしたら今からでも大当たりするかもしれない。うまくいったら車が買えるかもしれない。いや、そこまでいかなくても、新しいスマホくらいなら買えちゃうかも~!なんて思いますよね。
それ、勘違いです。
ラインスタンプ販売が始まった直後ならまだしも、すでにラインスタンプは飽和しきっています。
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2014年5月のサービス開始以降、クリエイターの創作活動の場のひとつとして成⻑を続けており、登録クリエイター数は世界中で500万人、販売中のスタンプセット数は合計1,500万セットを突破し、8年間の販売総額は1,200億円を超えました。
この記事は「2022年5月9日 11時22分」時点のものですが、当時、すでに登録クリエイター数は500万人を超えていたようです。現在の最新の数字を見つけられていませんが、この記事からさらに2年ほど経過していますので、さらに増えていると想定されます。
「販売中のスタンプセット数は合計1,500万セットを突破」です。1500万種の中から、あなたの作ったスタンプが見つかる確率は、ごくわずかです。数字にすると、1÷15,000,000=0.0000067%です。
あるサイト(パチスロは数学だ)によると、落雷に合う確率は1,000万分の1だそうです。今販売中のスタンプから、あなたのスタンプを見つける確率は、落雷に合うよりも1.5倍も難しいことなのです!
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でも安心してください。LINEには大量のユーザーがいます。Z HOLDINGSの発表によると、日本の月間アクティブユーザー数は、9,300万人(2022年9月時点)だそうです。誰かが見つけてくれたらいいわけですから、1÷15,000,000×93,000,000=620%となり、数字上は非現実的な数字ではなくなりました。
あとは、大当たりを狙うのみ!
その2:販売対象エリアは多い方がよい
せっかく労力をかけて作ったスタンプです。日本以外でも、世界中の人に使ってもらいたい、買ってもらいたい、と思うのは自然です。
特に初めてのスタンプとなれば、初めての子供と同じようにカワイイこと間違いなし。最高のタイミングで最大の販売エリアに送り出してあげたいですよね~。
ひょっとしたら、日本で売れなくとも、どこかの国の人が気に入ってくれて大当たりするかもしれないですものね~。
それ、勘違いです。
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そんなに都合よく売れません。中には日本より海外で売れているスタンプもあるみたいですし、そのようなうまくいったスタンプの成功事例を見せられて、勘違いしているだけだと思います。大半のスタンプは、海外でも売れていないと思います。
Z HOLDINGSの発表によると、日本以外でLINEユーザーが多い国は、台湾、タイ、インドネシアの3国で、それぞれのアクティブユーザー(2022年9月時点)数は、2,200万人、5,300万人、800万人だそうです。3か国を合わせると8,300万人となり、ようやく日本のアクティブユーザー数9,300万人と近い数字になります。海外ユーザーといっても、それくらいの規模感なのです。
まずは、日本で勝負!です。
同じサイトで、LINEユーザー数が増えた理由として以下のことが書かれています。
アジア圏のコミュニケーション文化の特徴として、感情表現が直接的ではなく、曖昧さを残すことが挙げられます。「LINE」アプリはスタンプの充実に力を注いでおり、ユーザーはテキストでは伝えきれない感情や気持ちを代弁するスタンプを多用します。「ノンバーバルコミュニケーション」を好むアジア圏の文化が、「LINE」アプリの特徴とマッチしたと言えます。
スタンプは、テキストでは伝えきれない感情や気持ちを代弁するために使われるのです。とはいえ、日本のスタンプが「文字入り」スタンプであふれているように、テキストと、テキストでは伝えきれない感情や気持ちを伝える必要があるのです。そして、そのためには、その国の文化や価値観、スラングを理解していないと難しいと思います。
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詳しくは、urajoの別の記事(有料)で書いていますが、販売国にあったローカライゼーションをしないと、たった1つのスタンプを売ることさえ難しいと考えた方がよいです。
じゃあ、翻訳AIや生成AIを使ってローカライゼーションをしよう、と思いました?!
はい、それも勘違いです。
スタンプが売れるためのローカライゼーションには、販売国のネイティブ人材の協力がないと難しいでしょう。これもurajoの別の記事(有料)で書いていますので、興味とお金(500円)があったら、ぜひご覧ください。
まずは、日本で勝負!です。
その3:母国語で説明文を書くと売れるかもしれない
それならテキストを含まない絵が中心のスタンプにして、海外でも販売したらいいのではないか。その方がパイが大きくなるから、たくさん売れるのじゃないか。
そう思いますよね。urajoもラインスタンプ創作を始めたころはそう思っていました。テキストをいれないスタンプを作って、全世界に向けて販売しました。
さらにスタンプの説明文は、日本語の説明のみならず、英語の説明、台湾語の説明、韓国語の説明などを、google翻訳を使って作りこんでいました。
結果は、惨敗です。
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日本ではぽつぽつと売れましたが、海外では全く売れませんでした。
後になって冷静に考えると、当たり前の結果でした。google翻訳がどれほど優秀かわかりませんが、おそらく現地の人が読むと明らかに変な文章だったことでしょう。ときどき、海外のクリエイターが日本語で説明を書いていると思われるスタンプも見かけますが、やっぱりネイティブでないことがわかってしまいます。そういうことです。
販売国の言葉できちんと作文したら、たくさん売れるかもしれない、などというのは、大きな勘違いです。そんな労力をかけるより、次の新作スタンプに取り組んだ方がいいでしょう。
urajoは最近の5~6年間は、日本向けにしか販売していません。
その4:twitterなどの宣伝が効果的である
これもほぼすべてのクリエイターが必ずやってみることだと思います。
ネットで「ラインスタンプ 売り上げを増やす」などを検索すると、必ずと言ってよいほど「SNSを使った宣伝」のことが書かれています。間違いではないと思いますが、この作戦が効果的なのは、たくさんのファンを抱えた極一部のクリエイターだけだと思います。無名のクリエイターがゼロから始めてSNSで宣伝効果を得ることは、ほぼ無理だと思います。
urajoもラインスタンプ販売を始めたころ、twitter(現在のX)で、たくさんのフォロワー獲得を目指しました。ラインスタンプについてつぶやいている人をフォローしてみたり、猫好きな人をフォローしてみたり、いろいろやった結果、現在、1,271名のフォロワーがいます。
1,200人もフォロワーがいたら、誰かスタンプ買ってくれるんじゃない?
それ、勘違いです。
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これまで新作スタンプをリリースするたびに、twitterで呟いてきました。でも、その効果はほとんどありません!と断言できる結果になっています。
理由は簡単で、フォロワーは、urajoスタンプのファンではないからです。むしろフォロワーの多くがラインスタンプを創作している、ある意味「ライバル」です。ラインスタンプクリエイター同士がフォローしあっているわけですから、スタンプ販売につながらないのは当たり前です。
でも、ファンの方もいるのでは?
そうなのかもしれません。そうであれば、ありがたい話です。感謝、感謝。
でも、売上に貢献するほどではないのです。
最近、ちょっと実験を兼ねて、twitterでの新作スタンプの告知をやめています。売り上げが減ったらどうしよう?!と思ってドキドキしたのですが、全く関係ありませんでした。笑
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これまた別の記事(無料)で書いていますが、ラインスタンプの宣伝は、LINEさんから届けられる「urajoの新作がでたよ!」が唯一かつすべてだと思います。
twitter(現、X)でフォロワー獲得に励む労力があったら、新作スタンプに取り組むべきです。とにかくたくさんのスタンプをリリースして、LINEさんから届けられる「新作がでたよ!」通知にすべてをかけましょう。
その5:売れやすいリリース日時がある
そう思いたい気持ちはわかります。ちょっとでもたくさん売りたいですからね。
でも、これも、おそらく勘違い。
これは根拠になるデータを示すことが難しいのですが、これまでの経験(200個以上のスタンプリリース)を踏まえて考えると、気が付くほどの差はありません。
まだクリエイター数が少なくて、リリースされるスタンプが少なかった時代の伝説ではないでしょうか。おそらくその頃は、「新作」欄にしばらくの間、新作スタンプが掲載されたことでしょう。そうなると、目に触れる機会も多く、たくさん売れることがあったのだと思います。
でもいまは、大量のスタンプがリリースされ、「新作」欄に掲載される時間は、ほんの一瞬です。作ってリリースボタンを押したクリエイター本人ですら、「新作」欄への掲載を見逃すことがあるのですから。笑
現在の広報戦略は、LINEさんから届けられる「新作がでたよ!」通知です。はっきりいって、これ1択でよいと思います。
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正確な仕様はわかりませんが、火曜日と金曜日に「新作がでたよ!」通知がでるようです。「新作がでたよ!」通知が出た日には、たくさんのスタンプが売れます。
これまでの新作リリース後の売上状況を振り返ってみると、何曜日の何時に販売開始しても、販売開始後の売れ行きはあまり変わりませんでしたが、「新作がでたよ!」通知が出た日は、必ず、たくさん売れました。
つまり、いつ販売開始するかはあまり重要ではなく、「新作がでたよ!」通知に定期的に載せていくことが大事なのです。
例えば、複数のスタンプをリリースすると、その日の直後の火曜日か金曜日に、いずれかのスタンプが「新作が出たよ」で通知されます。すべてのスタンプ(種別)が通知されるわけではないということ、後日改めて「新作が出たよ」通知されるわけではないということが重要です(きちんと裏どりできていませんが、何となくそのような仕様で動いているようです)。
以上のことから考えると、月曜日にリリース→火曜日の「新作が出たよ」通知、木曜日にリリース→金曜日の「新作が出たよ」通知のように、新作が必ず通知されるように1つずつリリースしていくのが最も効率的な運用だと考えられます。
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おわりに
ラインスタンプを創ってひと儲けしようと考えているクリエイターの皆様に、ラインスタンプ創作を始めたころに陥りやすい勘違い5選をお届けしました。
ネットにはたくさんのノウハウ記事が溢れています。有効なものがあれば、すでに古い情報(ノウハウ)になってしまったものもあります。この記事で書いた勘違い5選は、urajoの10年間のラインスタンプクリエイター活動を通じて気がついたことです。
いずれ陳腐化してしまうとは思いますが、これからラインスタンプクリエイターを目指す方に少しでも参考になりましたら幸いです。
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