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これからボカロPはいかにして勝つのか?

ページを開いてくださったみなさんこんにちは。裏白Pと申します。
「うらじろぴー」と読みます。

2022年4月1日から「ボカロP」として、界隈でもみくちゃにされながら日々を過ごしております。

さて、最近では「ボカロ」という単語の認知はコンシューマーにも届く勢いでして、テレビでも「ボカロP特集」「歌い手特集」などが放送されることも増えてきた印象です。
「ボカロって,,,何,,,?」みたいな人はもうほとんどいないと言って差し支えないのではないでしょうか?

そういった認知の拡大に比例するように、
「私もやってみようかな」「自分の音楽をボカロという形で発信しよう」と思う方々が爆増しています。

ニコニコ代表の人「くりだしげたか」さん曰く、

ほんほん、2024年5月のポストの段階で、大体3万人くらいアクティブボカロPがいるのではないか?と。

つまり、
「ボカロP界隈って飽和状態に突入してね?」
「ボカロPやってりゃ人気者になれっしょ!みたいなノリで活動するのはずいぶんと危険じゃね??」


そういう空気感が張りつめた弓のようにミチミチゆーとりますぅ!っていう雰囲気、SNSなどになんとなくにじみ出てませんか?
ボカロPの方々、特に後発組の方々からはそういった熱を感じたりしている今日この頃です。

後発組のボカロPたちは、いかにして音楽を聴いてもらうか?

こういった音楽活動の指向性、テーマ、コンセプトをしっかり定めたいと感じていた矢先に読んだ一冊。

ガチ面白い一冊!!必読!!

鈴木祐さん『天才性が見つかる才能の地図』
コチラの考え方、ワークを引用し、

後発組のボカロPたちは、いかにして音楽を聴いてもらうか?

この問いについて深堀りしていくような時間にしようと思います。

ボカロPに限らず、『歌い手』『MIX師』『絵師』『動画師』『地面師』など、画一的な成功ロードマップがない界隈で、どうすればいいか分からないと嘆き絶望する方にもオススメできる内容になっておりますので、是非一緒に考えていきましょう!

対戦よろしくお願いいたします。




① 『好き』『得意』は武器にならない


後発組のボカロPたちは、いかにして音楽を聴いてもらうか?
このような問いに対峙する際に気を付けないといけないのが、「好きという気持ちで突き抜けるんだよ!」「得意なことを活かして秀でてやるんだよ!」といった主観的で短絡的な思考は、かえって身を滅ぼす可能性があるということ (ちなみに活動自体が楽しいとか曲作りが楽しいなどの『幸福』という観点では特に色々と考えなくても構いません)。

「好き」というエネルギーは永続的ではなくブレがある
「得意」は上には上がいるからオススメしない

雑に解説するとこんな感じ

ザックリとこういった理由から、『好き』『得意』を考慮しないという認識でOKです!
特に後発組はこのあたりを前提として戦略を練らないと、どうしてもすでに認知を得ている先発組に遅れをとってしまいます。

じゃあどうすんねんボケ!!
とお困りのあなた、次項で自分の唯一無二な武器探しの方法を手順に沿ってご説明していきます。


② 武器は自分で選ばない

『好き』『得意』を除外した上で、自分の唯一無二な武器探しをする。
それを理解していただきやすくするため、先に構成からお示ししておきましょう。

1, 『バトル場』『審査員』『勝利条件』を把握する
2, 1で把握した環境に役立つ武器を予想し選定する
3, 2で選定した武器から自分が誰よりも使える武器を選定する
4, 正しく自慢する

ボカロP勝利の方程式

ここで重要なことは、『武器は環境が選んでいる』点です。

自分の能力が武器になるかどうかというのは、グループ内の相対的な比較によって決まります。
例えば、MIXする能力が85点で高水準だとしても、90点だの100点だのがウジャウジャ生息する魔の巣窟(ボカロ界隈)で相対的に能力を比較すれば、85点というのは二番煎じにもなりません。
(85点という絶対値は内心で誇れ!お前は強い!)

この話を聞くと、じゃあ『独自性』を主張すればいいのか!もともと特別なオンリーワン!と考えてしまう方が一定数いらっしゃいますが、それも残念ながら武器になり得ません (マグレがあるかもしらんけどね)。
ボカロ界隈で、「ペン回しは誰にも負けない!」という独自性を主張したところで、界隈の誰も武器と評価してくれないといった具合の話です。

『独自性』について、ペン回しよりも界隈に類した例で挙げておきます。

『誰も作ってないような曲を作る』
『特別な歌い方をしている』
『オンリーワンな活動をしている』

など、言い出したら枚挙にいとまがありません。こういうことに希望をもって空想的に活動してる方はかなり多い印象です。
上記のような主張が武器にならないのは、「言い出したらみんなそれぞれ特別」だからであり、抽象度が高く優位性を示しにくいからです。界隈が、「武器なんかどうか分からん」となれば、何をどう言っても武器にならないという旨のお話です。

総括しますと、『自分の武器は何か?』と内面に目を向けると、ボカロ界隈で武器になり得るかという外面に目を向けられないので、『ボカロ界隈で武器と思われてるのは何か?』と外面に目を向けるようにして、界隈の武器カタログの中から武器を探そうよ!そこから選ぶほうが簡単じゃん!というお話。

『武器は環境が選んでいる』

とご理解いただいた上で、改めて方程式をご覧いただき、順番に解説していきましょう。


1, 『バトル場』『審査員』『勝利条件』を把握する
2, 1で把握した環境に役立つ武器を予想し選定する
3, 2で選定した武器から自分が誰よりも使える武器を選定する
4, 正しく自慢する

ボカロP勝利の方程式


1, 『バトル場』『審査員』『勝利条件』を把握する

『バトル場』
これは言うまでもなくボカロ界隈ですね。

『審査員』
これは一見するとリスナーですが、楽曲がリスナーなどの大衆に伝播するために、まずボカロ界隈で火が付く必要があるのではないかと推察します。
そのためここでは、有名ボカロP、歌い手、くりたしげたかさんなど運営にあたる方たちを対象と仮定します。今後人気に火が付けば、審査員をリスナーなどの大衆に設定しなおせばいいと思います。

『勝利条件』
審査員が自分に対しどのような反応、評価をしたら成果とするかの設定です。
今回の審査員で構文を作ると、
「有名ボカロP、歌い手、くりたしげたかさんなど運営にあたる方たちから〇〇〇を得る」
という感じでしょうか。

「ボカロ界隈の有名ボカロP、歌い手、くりたしげたかさんなど運営にあたる方たちから『いいねやリポストなどの拡散反応』を得る」

↑ コチラの例文を基にしてお話を進めることにします。

『審査員』『勝利条件』は投稿祭などのイベント(バトル場)によって変動もありますので、都度設定を考察しましょう。


2, 1で把握した環境に役立つ武器を予想し選定する

「ボカロ界隈の有名ボカロP、歌い手、くりたしげたかさんなど運営にあたる方たちからいいねやリポストなどの拡散反応を得る」

この勝利条件に役立つ武器は何か?それを予想し、作成した武器カタログから後ほどセレクションしていくという工程となります。あくまでボカロ界隈という環境で評価されるであろう武器という前提をお忘れなく。
自分で思う自分の武器は,,,といった空想で選定しないように気を付けましょう。

それと、自分がその武器を持っているかどうかは気にせず、まずは一覧表を作るイメージで武器を予想することが重要です。重ねて言いますが、後ほどセレクションしていく工程がありますので一旦自分の話は置いておきましょうね。
自分の成績が良い悪いとかじゃなく、「受験」に必要なのって5教科やん?自分は芸術の成績が良いんかもしれんけど「受験」には関係ないね?
という感じです。

※かなり柔軟に武器カタログを作る必要もあります。
確かに!と思うかもしれませんが、例えばボカロ界隈では、五線譜やTAB譜(譜面のこと)が読めても特段評価に値しません。オーケストラや楽団員には必須であっても、ボカロ界隈では武器どころかエチケットにすらならない能力も出てくるでしょう。
逆の立場でいえば、オーケストラや楽団員は、DTM(作曲ソフトのこと)スキルがあっても特段評価されたりしません。

更に踏み込んだ話をしますと、ボカロ界隈ではSNSマーケやバズに対する感度、神輿になるようなアイドル性などがおもっくそ武器になるのに対し、オーケストラや楽団員には全く必要のないものになります(多分)。
プロフェッショナル精神に則って考慮すると一見ゴミと思いそうな、「かたより」が、ボカロ界隈では一級品の武器にもなるということです(誰かに怒られそうな気もするw)。

そういった具合に、
「音楽」と主語を大きくして考えると、『バトル場』『審査員』『勝利条件』に対する解像度が著しく下がってしまい、ボカロ界隈用の武器カタログが作成しにくくなる点、お気を付けください。

③後発組の成功例の紹介 で後述しますが、
「めろくる」さん、「んべべ商会」さん、「1968P」さんなどの同世代ボカロPは、そのあたり実に巧妙に設計が出来ていると思っております(褒めてます!!!!)。
なにが武器になるんかサッパリ分からん,,,という方は、お三方の振り回す武器に着目し、ヒントを掴んでもらえればと思います。


3, 2で選定した武器から自分が誰よりも使える武器を選定する

ここにきてようやっと、作成した武器カタログから自分のベストな武器を選ぶ工程に入ることができます。

詳しいやり方は本書を参考にしていただくとして、
ここで定めるルールは1つ!

ズバリ!
「成功者と比較」して優位だったら武器にしていい
です!

例えば、仮想成功者を「DECO*27」に設定し、「チームワーク」という武器の熟達度を比較してみるような感じです。
「チームワーク」はボカロPの活動において必要な能力で、絵師や動画師などと作品を仕上げることもあれば、「ボカデュオ」というチーム編成必須の投稿祭もあることから、とても有用な能力なんですが!
思い出して!

「好き」というエネルギーは永続的ではなくブレがある
「得意」は上には上がいるからオススメしない

①『好き』『得意』は武器ならないって話だったね!

仮想成功者「DECO*27」のほうが、自分よりも、「チームワーク」という武器を有用にぶん回し歩行できているようであれば、たとえ得意だとしても武器にしてはいけません。2位じゃダメなんです蓮舫さん!!!

「成功者と比較」して優位だったら武器にしていい

この話のキモは、
好きでも得意でもない能力だけど、成功者のほうがもっと得意じゃなかった場合は自分が1位になっちゃうので、自分にとって理想の武器になる点です。

仮に自分が、「神輿になるようなアイドル性」を6点だと思っていても、周りをはじめ、仮想成功者「DECO*27」のほうが得点が低い場合、現状最強武器を有しているのは自分ということになるというお話です。
6点でも1位です蓮舫さぁん!!!
(DECO*27さんをディスってるわけじゃないよわかるよねチュキチュキ☆)

6点の「アイドル性」を使って、ボカロ界隈で戦うと敵なし!これを武器にして戦うぞ!
ってな感じで理想の武器を選定してください。


4, 正しく自慢する

自分にとっての理想の武器が選べたら、実践でぶん回してみて、『勝利条件』を以前よりも多く獲得できるか試してみましょう。
「あくまで自然に、自慢と思われないような形で自己アピールをする」ことで、理想の武器をしれっと行使していくような感じです。

具体的なやり方については割愛しますが、以前書いた記事「自薦他薦と『良い曲』の定義について」にて、少し近しいお話をしているパートがありますので、よかったらご覧ください。


まとめると、

1, 『バトル場』『審査員』『勝利条件』を把握する
2, 1で把握した環境に役立つ武器を予想し選定する
3, 2で選定した武器から自分が誰よりも使える武器を選定する
4, 正しく自慢する

ボカロP勝利の方程式

この手順に沿って自分の理想の武器を選び、
「ボカロ界隈の有名ボカロP、歌い手、くりたしげたかさんなど運営にあたる方たちから『いいねやリポストなどの拡散反応』を得る」
という『勝利条件』をクリアしていきましょう。

まだどうしても考え方が分からない、難しいという方。
次項にリファレンスに最適なボカロPを3人ご紹介いたしますので、そちらをご覧になって観察眼を養っていただければと思います。


③ 後発組の成功例の紹介3選


めろくる

後発組ボカロPの理想のお姿

「めろくる」さんの凄さを言語化しようと思ったのがキッカケでこの記事を書いてるレベルで、この人のロードマップは綺麗すぎて正直しんどいです。
すべてのレベルが最高水準な上で、ボカロ界隈という『バトル場』での役割を正確に理解し、求められない能力を武器とせず、理想の武器だけをストイックに選定し、遺憾なく発揮する。そのお姿はさながらサムライかな?と目が錯覚をおぼえるほどに洗練されています。もはや怖いです。畏怖!

情報が多すぎて渋滞していますが、
『バトル場』を「海外」寄りにスライドすることでパイを多く獲得している上に、ボカロ界隈ではブルーオーシャンだったK-POP、レトロ、KAWAIIなどを主戦場にしている点が最高。「ほかのボカロPとは一線を画すぜ!」と明確に差別化を実現しています。
そしてこの「KAWAII」がマジ凶悪で、女性歌い手の歌みた見込み率が異常に高いんですよ!
そこでしっかりとボーカルMIXの能力を、「女性歌い手の作品作りに役立てる」という導線を用意し、サービス提供という形で活用することによって、ボカロPとMIX師とも棲み分け、楽曲の拡散につなげつつ歌い手とのつながりを形成することに成功しています。神なのか?
あと『コミュ力』がバチクソ高いです。もうSNS越しでもはっきりわかんだね。
『投稿頻度』も、「多重影分身の術使ってない?」ってレベルだし、どの作品もコンセプトメイキングがしっかりしていて実験的だしクオリティーが高い!楽曲最高すぎるだろ!!バーーーカ!!
「Look at me」好きすぎて、今すぐベース弾け!って言われても秒で演奏出来ますよ!
多幸感ヤバすぎてトぶぞ!!

X : https://x.com/Mellowcle

んべべ商会

風雲児すぎて大好き

これについては個人的に好きとか超えて若干「愛してる」的な感情に片足突っ込んでしまっているので、主観で成功ロードマップをでっち上げてしまう危険性もあるのですが、極力フラットに言語化していきたいと思います。

最高すぎて頭イカれてる。はやくこの才能発掘されたほうがいいよ。

この人ねぇ、ボカロ界隈の「はいはいもうこういうの飽きたよ」みたいに斜に構えるヘンクツリスナーやヘンクツボカロPたちの耳にするりと侵入して、脳みそを一瞬にして造り替えていくみたいなヤバめのサウンドをぶん投げてくるんですよ。危険物ですよこんなん。
『バトル場』を「新しいものが聴きたい辟易気味のボカロ界隈の人たち」とニッチに絞り込むことで、圧倒的に市民権を獲得しています。この人を聴かないといけない理由が多すぎる。人生狂わす気か!
『バトル場』の窓口が広すぎると受け入れられにくい、「芸術性」「創造性」が、その実、コンテストの審査員などに高く評価されやすい追い風として機能していると思います。「音楽家から好かれる音楽家」という独自路線を開拓することで、実績をつけ、水戸黄門の紋所のようにぶん回していけば、一般リスナーの耳にも侵入できると確信しております。
「かごめかごめ」調声から曲展開から何もかも変態。

X : https://x.com/nbebe_syoukai


1968P

高齢女性ボカロPとかいう暴力ワード

「56歳女性ボカロPです」
こう説明するだけで勝ちます。見渡す限りの焼け野原。

武器『愛嬌』『キャラ立ち』『アイドル性』『ギャップ』『挑戦者としてのストーリー性』『共感を呼ぶ』『勇気をもらえる』
このあたりに掛け算、『高齢』『女性』という希少性を付与することで、何をやっても一般ボカロPよりもほぼ確で成果が出ます。最強。
ご本人は強く自覚しているわけではありませんが、『経営者』『資産』についても、10~30代が多いボカロ界隈においては、相対的にはもはや武器と呼んでも差し支えないレベルまで高まっています。
さらに『投稿頻度』も、現在は毎月2曲アップするという多重影分身の術使いであり、バイタリティーが厳選かけ流し湯状態です。こわいよ。

武器『愛嬌』『キャラ立ち』『アイドル性』『ギャップ』『挑戦者としてのストーリー性』『共感を呼ぶ』『勇気をもらえる』
×
『高齢』『女性』という希少性
×
『経営者』『資産』『投稿頻度』『バイタリティー』

無敵のクリエイター集団を束ねて組織化してもよし。
フロントマンとして活動し勇気を与えるでもよし。
年々『高齢』の武器化は高まっていくので、存在自体が脅威。
「Stupid Creatures」とか気鋭すぎて本当に56歳?と思うはず!

X : https://x.com/1968vocalop


おわりに

ただの好きなボカロPの紹介みたいになってしまったので、ここらでまとめておきましょうね。

「好き」というエネルギーは永続的ではなくブレがある
「得意」は上には上がいるからオススメしない

 

1, 『バトル場』『審査員』『勝利条件』を把握する
2, 1で把握した環境に役立つ武器を予想し選定する
3, 2で選定した武器から自分が誰よりも使える武器を選定する
4, 正しく自慢する

ボカロP勝利の方程式

あくまで客観的に自分の武器を選ぶ。
というのがこの本の面白いところですよね!「木を見て森を見ず」といいますか。視野狭窄になってどこに進んだらいいか分からなくなっている方、自分含めかなり多いと思いますので、上の方程式を用いて武器探しに励んでいただければと思います。

今回のお話が誰かの参考になっていれば幸いです。
本書にはもっと具体的に武器の探し方が書かれていますので、気になった方は是非一度読んでみてください。

異論は大いに認めておりますので、ご意見ご感想もお待ちしております。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ではでは。

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