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電話も出ないしLINEもしない日々

地元の友人から、「お盆に帰省するのか教えてほしい」とメッセージが来ていた。友人がそのメッセージを送ったのがいつなのか正確には分からない。

ここ数日間はずっと自宅にいて、いつもそうしているようにスマートフォンの設定を機内モードにしていた。wifiのみが利用可で、電話やメッセージは届かない設定。外出に合わせて久しぶりに解除した際、そのメッセージに気づいた。

まだ決めていないが帰った時は連絡すると返信した。

地元の仲間はLINEグループを作っているので、飲み会で人を集める時などはそれを使って周知する。自分はLINEをしていないので個別に連絡を受ける形になる。手間といえば手間だろうが、古くからの付き合いがある地元の仲間はそれでも声をかけてくれる。

中学生だった頃、将来を嘱望されていた若手ボクサーが、「試合の一ヶ月前からは電話には一切出ない」と話しているのをボクシング雑誌で読んだ。それくらいの覚悟がないと目指すものは勝ち取れないのか、、と感心したり驚いたりした(彼はのちに世界タイトルを獲得した)。

そのことが無意識のうちに自分に作用し続けたのだろうか? いつの間にか電話は常に留守番電話にするようになった。LINEをしないのと理由は同じで、自分ひとりの時間を大切にしたいからだ。

最近はそうした傾向がエスカレートし、玄関のインターフォンに「ビデオ会議を含む在宅ワークのため、呼び鈴は鳴らさないでください」と貼り紙をするまでになった。両隣の住人から警戒されたりしないだろうか、、とちょっと心配になったりもしたが(その程度の社会性はある)。

もともとのきっかけは、応募した仕事でビデオ面接が決まったことだった。面接中にベルが鳴ってしまったら印象は良くないだろうし、それを防ごうと考えた。設備が古いため、ベル音を小さくすることはできても完全に消去するのはできない。そのための方策。

面接は滞りなく終わった。一方で、貼り紙はそのままにしようと決めた。誰からの介入も受けず、自分のペースで過ごすことができる。

以前、何かの勧誘が来た際だった。インターフォンで応対し、断ったら、「説明に1分もかかりません」と言われた。「1分でも惜しいので」と言ってすぐに帰ってもらった。他人の時間を奪うことに鈍感な相手とは距離を置きたい。

今なら相手の立場を色々考えてしまい、そう口にするのは憚られるが、気持ちとしては変わりない。貼り紙をしておけば、そういったやりとりからも解放される。

インターフォンお断りの貼り紙 インターフォンの上に貼り付けている

直射日光や風雨のため、貼り紙はまだ2ヶ月も経たないのにだいぶ劣化してしまった。ヨレヨレの紙と、目を凝らさなければ読み取り難い不鮮明な文字(赤い線は部屋番号と名前の目隠し)。

きちんとしたものに替えようかなと思うこともあったが、今ではそのままにしている。このある種独特の雰囲気が目的を果たしている。このような部屋のインターフォンなど、誰も鳴らしたいと思わないだろう。私の静かな生活は守られている。

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