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手を褒められてコンプレックスが1つ増えた話。

19歳の頃、偶然隣に居合わせたおばぁちゃんにものすごく手を褒められた。

私の手にはコンプレックスが詰まっている。
赤ちゃんぐらい柔らかいが故伸ばせず短い爪
右手の甲にある火傷痕

ある日、映画館で、私の左側に座っていたおばあちゃんが興奮した様子で私の手を取り、「まぁ!なんて可愛い手!!」と言った。
びっくりしたのと、意味がわからなかったのとでプチパニックになりながらも「あぁ…ありがとうございます」と答えると

「赤ちゃんみたいに手にエクボができてる!こう言う肉厚な手はマッサージに向いているのよ!私の妹がおんなじ様な手でね…ずっと羨ましくてね…可愛い奥さんになれる手よ!」とお婆ちゃんはニッコリ笑って言った。

そして指輪の光る自分の手を見つめながら「私の手は細くて、指輪が似合うだけの手なの…」と言った。

年頃の私は、心底、手を、なんだったら腕ごと交換してほしいと思った。

こうして私のコンプレックスが一つ増えた。

今は指輪をはめる事も、マッサージする事もないからどっちでもいいと思っている。
こんな風に思える様になるなんて、歳を取るっていうのも捨てたもんじゃないなと思う今日この頃。


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