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ピースボートと私 その9

ボランティアスタッフだけ頑張れば船に乗れる訳じゃない。
船賃を全額ボランティアスタッフ割引で貯められたとしても、ツアー代金や諸経費は支払わなければいけないし、ビザやパスポート取得等の事務手続きもしなければならない。

乗船直前になっても、40万円程度しか割引が貯まっていなかった私は、到底船に乗れる状態じゃなかった。
旅行会社の担当スタッフからの電話も、出なかったり、のらりくらりした受け答えをしていた。
船に乗るサポートの大変さを知る今となっては、過去に戻って全力で詰め寄りたい。

当時、自称も他称もアイドルだったスタッフに「マジでどうするつもり?」と聞かれ、流石にヤバいと思い
「お父さんは、頼めばお金貸してくれると思う」と話した。
「今すぐここで電話せよ!」と電話を渡され、そのスタッフの前で電話した。
「お父さん?あのね、船賃足りんけん、貸してくれん?」
「わかった。どこに振り込んだらええんか?」
お金の問題は5分もせずに解決した。
翌日には旅行会社にツアー代も含め全額振り込まれていた。
激甘である。ハチミツにさらに砂糖をかけた位、激甘だ。

ちなみに借りたお金は帰国後2年かけて完済した。

山口に帰りパスポートをつくって、ブラジルビザ用の写真を撮って、検疫所で黄熱病の予防接種を受けて、乗船の準備は整った。

東京と神戸、出航地が選べたが、一日でも早く乗って友達を作ろうと東京から出発することにした。

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