うらりぃまん

コミュリーマンが音楽と詩を学ぶ場所 https://note.com/commu_rehman/

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最近の記事

【ショパン】並外れた才能がありながら虚弱な身体に悩まされた「悲劇の英雄」|#034

ショパンほど、ピアノという楽器と密接に結びついた作曲家はいない――。 もちろん、ショパンの親友でもあり、ロマン主義時代のもう一人の「ピアノの詩人」であるフランツ・リストや、ロマン派後期における「ピアノの詩人」ラフマニノフなど、ショパンのように「ピアノそのもの」と結びついている作曲家・演奏家は他にもいるのでしょう。 ただし、彼ほど「ピアノと一体化した存在」と形容される作曲家は他にいない、これは断言しても良いと思います。 彼はただ素晴らしいピアノ作品を作曲しただけでなく、

    • 【バッハ】孤高の響き、ヒラリー・ハーンが奏でるシャコンヌ - BWV.1004第5楽章の美しき軌跡

      ヒラリー・ハーン(Hilary Hahn、1979年11月27日生まれ)は、アメリカの著名なヴァイオリニストであり、その卓越した技術と多彩なレパートリーで世界的な評価を受けています。 幼少期と教育 バージニア州レキシントンに生まれたハーンは、3歳半でヴァイオリンを始めました。5歳でボルチモアのピーボディ音楽院に入学し、リンダ・セルズに師事。10歳でフィラデルフィアのカーティス音楽院に進み、ジャスチャ・ブロスキーやハイメ・ラレードに学びました。カーティス音楽院では、17歳で

      • 聖歌とクラシック音楽

        キリスト教の影響って、本当にすごいですよね。 「キリスト教の何がそんなにすごいの?」と聞かれたら、正直、これほど答えに困るテーマは他にないかもしれません。あらゆる側面でその深遠さに触れるたび、思わず感嘆の息が漏れ、「敬服の至りです」と独り言ちります。 なかでも特に、キリスト教が音楽に与えた影響は途轍もなく大きなものがあります。宗教と音楽の結びつきは深く、クラシック音楽においてその精神性や宗教的意義が数々の偉大な作品に息づいています。 宗教的なテーマがクラシック音楽の発展

        • 【ヴィヴァルディ】クラシック音楽を学ぼう#001|バロック音楽の作曲家1/3

          初心者は「標題音楽」から学んだ方がいいクラシック音楽が現代のビジネスパーソンにとって難しいと感じられる理由は「絶対音楽の性質にある」と言っても過言ではないと思います。 私を含む多くのビジネスパーソンは、日々の業務で明確な目的やゴール、具体的な成果を追求しています。しかし、クラシック音楽、とりわけ「絶対音楽」においては、明確な意味や物語が提示されることはなく、音楽そのものがそのまま目的となっています。 「絶対音楽」とは、特定のテーマや物語に基づくことなく、純粋に音楽そのもの

          世界の作曲家

          最初に覚えるのは〇人でいい「いつかはクラシック音楽を聴いてみたい」 「でも歌詞が無いし難しいよくわからない」 「それに誰のどの曲を選べばいいのかさっぱり」 「一曲一曲が長いから全部なんて聞いていられない」 こんな風に思われている方は少なくないと思います。何を隠そう私自身が今まさにそう感じているのですから。 歴史的に見て、音楽史に大きな影響を与えた偉大な作曲家は、おおよそ150人から200人であるとか、色々な推定がなされているようです。そんな人数じゃきかないと思ってたんです

          【短篇エッセイ集】愛しい人に学ぶ、愛しい人と学ぶ、その旋律が心を結ぶ~2023

          ディア・ジョン 最初の記憶は、テレビでやたらと流れる「ジョン・レノンとヨーコ・オノ」の過去映像だった。 だからこの二人のことは、知っている。 なのに、「リアルタイムで喋っている」姿は見たことがない。 そんな不思議な気持ちは今も残っている。 けどそれはそのはず、ジョンは僕が生まれる以前に殺害されてしまっている。 その場で逮捕された犯人のことを、ローリングストーン紙やヤマハのサイトなどで調べてみると、とても悲しい気持ちになった。 精神不安にあった犯人は、もともとではなく「一時

          【短篇エッセイ集】愛しい人に学ぶ、愛しい人と学ぶ、その旋律が心を結ぶ~2023

          モーツァルトとラヴェルの真髄を極めた巨匠——ロベール・カサドシュ、20世紀フランスピアニズムの至宝

          ロベール・マルセル・カサドシュ(1899年4月7日 - 1972年9月19日) カサドシュは、20世紀の著名なフランスのピアニストおよび作曲家です。 経歴 カサドシュはパリで生まれ、ルイ・ディエメールに師事してパリ音楽院で学び、1913年に一等賞(Premier Prix)、1920年にディエメール賞(Prix Diémer)を受賞しました。 その後、彼はルシアン・カペ[?1]に師事しました。カペは自らの名を冠した有名なカルテット(カペ・カルテット)を設立し、その中に

          モーツァルトとラヴェルの真髄を極めた巨匠——ロベール・カサドシュ、20世紀フランスピアニズムの至宝

          西洋絵画の旅~通史

          色彩と魂の神秘天地創造の初め、人類はまだ言葉を持たぬ時代、彼らの手は岩壁にその無垢なる心を刻み付けた。彼らの想いと感情は、石灰や土の自然の顔料を用いて、初めて色となり命の鼓動を描き出したのだ。洞窟の暗闇の中、松明の揺らめく光に照らされて輝くこれらの絵画は、まるで天上の星々のように、古代の人々の魂と物語を永遠に語り継いでいる。その一つ一つの筆跡には、狩猟の歓喜や自然への畏敬、そして生と死の織り成す神秘が秘められている。 我らの祖先が石のキャンバスに刻み付けたこれらの絵画は、た

          西洋絵画の旅~通史

          臙脂色は誰にかたらむ血のゆらぎ春のおもひのさかりの命いのち|与謝野晶子【現代語版】

          夜の帳が下りて静まり返った夜、星が見えなくなった今、その星たちは地上の人々の髪の乱れた鬢のように見える 歌を聞かないで、誰が野の花に赤い色を否定できるでしょうか。それは春の罪を持つ子の趣があります 髪が五尺も伸びたなら、その髪を水に流してしまいましょう。少女の心は秘めておくべきです 血が燃え上がるような寒い夜、夢の宿に春を訪れる人が神を軽んじないようにしてください 椿も梅も白かった。私の罪を問わない色として桃色が見える その子が二十歳になり、櫛で流れる黒髪は、春の美

          臙脂色は誰にかたらむ血のゆらぎ春のおもひのさかりの命いのち|与謝野晶子【現代語版】

          【クライバーンとポリーニ】儚い強烈な煌めきか、永遠に響く調べを紡ぐか

          ヴァン・クライバーンは、クラシック音楽のアルバムとして、ビルボードのアルバムチャートで1位を獲得した唯一の人物です。すんげえですね。そんな彼が達成したこの偉業について、簡単にまとめちゃいます。 アルバム(レコードですからね)とその内容 アルバム名:「チャイコフスキー・ピアノ協奏曲第1番(Tchaikovsky: Piano Concerto No. 1)」 リリース年:1960年 レーベル:RCA Victor このアルバムは、クライバーンのピアノ演奏と、指揮者のミ

          【クライバーンとポリーニ】儚い強烈な煌めきか、永遠に響く調べを紡ぐか

          【ガブリエル・フォーレ】魂の嘆きと安息

          序章 沈黙の中、音が生まれる。 夜の静寂に染み渡り、 星々の囁きのように、 魂を慰める。 その響きは、深い闇を優しく照らし、 永遠の眠りへと誘う。 永劫の祈り 「キリエ・エレイソン」 祈りの声が、天上へと舞い上がる。 その音色は、静けさと敬虔さを持ち、 神の慈悲を乞う。 その旋律は、 希望の光を探し求める 魂の叫びとなる。 慰めの光 「ピエ・イエズ」 一筋の涙が頬を伝う。 その調べは、純潔と優しさに満ち、 天使の如き声が、 罪の重荷を癒す。 哀しみを抱きしめ、 慈

          【ガブリエル・フォーレ】魂の嘆きと安息

          【ベートーヴェン】ナポレオンの台頭とハイリゲンシュタットの遺書の裏で

          概要作曲者:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン 作品番号:Op. 37 調性:ハ短調 作曲年:1800年から1803年にかけて 初演:1803年4月5日、ウィーン 構成この協奏曲は3つの楽章からなります。 第1楽章:Allegro con brio 形式:ソナタ形式 特徴:力強いオープニングと劇的な展開が特徴。オーケストラによる導入の後、ピアノが主要テーマを展開します。 第2楽章:Largo 形式:三部形式 特徴:穏やかで内省的な楽章。美しいメロディと

          【ベートーヴェン】ナポレオンの台頭とハイリゲンシュタットの遺書の裏で