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自分だけが良さを知っていること

私は川上未映子さんの作品が好きで、少しづつ少しづつ、川上未映子作品を集めてはじっくり読んでいる。

先日、川上未映子さんの作品が原作になっている映画「アイスクリームフィーバー」を見た。

アイスクリームフィーバーの公式ビジュアル
配給がパルコだからか
そのままパルコの広告になりそうなほどおしゃれ


映画自体はとてもアートな、おしゃれなPVのような、そんなつくりになっていて、それでも、あっと口から出てしまいそうなストーリーもあって、とても素敵な作品だった。


原作は数ページの本当に短い小説なのだけれど、この小説には以下のような文がある。

うまく言葉にできないということは、誰にも共有されないということでもあるのだから。つまりそのよさは今のところ、わたしだけのものということだ。

アイスクリーム熱/川上未映子

ちなみにこの部分、映画の中でも吉岡里帆ちゃんのセリフとして丸々引用されている。

この文章の視点、なんか素敵だなぁと思う。

やっぱり自分が好きなもの、大切にしたいものはきちんと上手く言葉にしたくなる。けれど上手く言葉にできない時、それが悔しく思えたり、自分の好き具合ってこんなもん?と自分を疑ってしまいそうになったりする。


でも上手く言葉にできなくたって良いじゃん。
言葉にできないからこそ、私だけが分かる良さとして、自分の中で優しく愛でる事が出来るのだから。


この文章に、救われた気持ちになった。
好きな気持ち、無理に言葉にしなくても良い。
私だけが、その良さを知っていれば良い。
貴方だけが、その良さを知っていれば良い。


私もまた、上手く言葉にできないけれど、
この作品の良さを、自分自身で優しく愛でていきたいと思った。


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