もやもや

この世に渦巻く課題や違和感にどう向き合えばいいのか?に対する一つの答えです。僕なりの。

2010年に初めて医療福祉がテーマのクラブイベント「SOCiAL FUNK!」を開催してから早9年が経つ。この間、本当に様々なことが起きたし様々な人と出会い別れてきた。「このイベントは一体誰のためで、なんのためにやるのか?」未だに自問自答を繰り返す。この9年でその答えは少しづつだが変化をしてきた。一番最初のきっかけは自分自身の体験だった。母と祖父の死を経て、自分にはやるべきことがあるのではないか?と思い始めたことがきっかけだ。ガンで亡くなった母。認知症になって肺炎で亡くなった祖父。僕の人生に多大なる影響を与えてくれた偉大なる親族が目の前で亡くなっていく姿を目にした時に、僕の中で何かが変わった。正確に言うと、バンッと変わったわけではなく、徐々に徐々に変わっていった。

なぜ母は僕たち家族に2年もの間、自分の病を隠して生きなければならなかったのか?なぜ祖父は車椅子に繋がれ、自由を奪われなければならなかったのか?誰かに教えて欲しいわけじゃない。正論や社会の常識を知りたいわけでもない。僕は自分の家族の死とその過程に対して正面から向き合わないといけなかっただけなんだ。

人はいつか必ず死ぬ。そんなことは分かっている!言葉では。でも、まさか自分や自分の家族にそれが降りかかるとは誰も想像していない。だから、いざ病気や障害が目の前にやってくるとパニクるし、わけわからんから対処できなくて、あたふたしているうちに時は過ぎ去り、大切な人は息を引き取っていく。そしてみんな、後悔する。「もっとできることがあったんじゃないか?」って。もちろん、大抵の場合はもっとできることがあったんだ。けれど現実にはタイムアップ。時間切れだ。

この流れが悔しかった。病気、障害、医療、福祉、介護、そんな言葉たちがグルグルグルグル廻ってあっちやそっちから脳内に入り込んでくる。理解しよう、学ぼうと必死にネットや本を読み漁る。出てくる大量のデマ情報が書かれたウェブと、業界内の派閥や職場での愚痴が書かれた掲示板、そして人材不足の現状と医療や福祉のイメージを取り巻くどうのこうの戦略。そんなことどうでもいいんだよなー。マジで。大切な家族や友人が向き合っている状況を良くしたいだけなんだ。

どうすればいいんだ。どうすれば。

「早めに対処」って簡単に言うけど、早めに対処するには「感情」が動かないといけないんだ。ただ教科書に書かれた情報やニュースを見ていてもリアリティがないから感情が入らない。感情が入らないと身体は動かされない。じゃー感情が入るためにはどうしたらいいんだ?って考えた末に僕らが出した結論が、「人」だった。

リアルに、その状況に直面している「人」。
リアルに、その分野で研究をしている「人」。
リアルに、その課題に対して行動している「人」。

これや、これしかない。

そこで立ち上げたのがSOCiAL FUNK!なのである。

2010年 国立がんセンターからドクターを、Cancer Net Japanからアクティビストを、Stand Upから癌サバイバーをそれぞれ招いて、CLUB ASIAでCALM・OVALL・no.9 orchestra・DJ YOGURT・DJ FUNNEL・GROUP・VJ Mitchelなど豪華過ぎるほどのアーティストたちと掛け合わせて開催した。癌に関する展示やトークやブースと僕の大好きなアーティストたちの表現が交わる空間。本当に最高のひと時だった。今でも忘れない。ずっと忘れない。

ここで少しの手応えを感じたんだ。普段は医療や福祉や障害などというキーワードとは程遠い生活をしている人たちが集まって、みんなワイワイと楽しみながら、酔っ払いながら、笑顔でこれらのテーマを咀嚼しようとしていた。もしかしたら帰り道で忘れちゃうかもしれないし、次の日の朝起きたら覚えていないかもしれない。それでも良かったんだ。いつか、自分や自分の家族や友人が「がん」というキーワードに直面したときに、ふと思い出してくれたらいいと思った。もし、癌になっても、どこに行って誰に相談すれば少しでも前に進めるか?そのヒントだけでも薄っすら覚えておいてくれればいいと思ったんだ。情報の照会ではなく、人物の紹介。

僕自身が、「このイベントがもっと早くに、、、俺が母ちゃんを亡くす前にあったら良かったのになぁ」って思えたんだ。そんなもん続けるしかないだろう。自分自身の奥底で、決して拭えない硬い意志と意義を持って取り組み始めた。

未来の福祉、認知症、臓器移植とテーマを変え、時に開催に至らず悔し涙を流しながら、それでも着実に進んできた10年間。もう2019年だよ母ちゃん。

今年は大きな賭けに出る。「医療」「福祉」「障害」というキーワードを表に出さない。その全てを内包した『人間科学(HUMAN SCIENCE)』という言葉に全ての想いを詰め込んで開催する。しかも、過去最大規模で史上最大の大赤字をこきながらwww

目だけを使ってDJとVJを操るアーティストがいる。
頭蓋骨を叩く音と心臓音をビートに歌うホーメイ歌手がいる。
社会福祉士でアル中のDJがドラムンベースで煽る。
記憶を失くしてもディジュを吹き続け絵を描き続ける人がいる。
自閉症のパニックと共に生きてライムするラッパーがいる。
還暦でデビューして75歳になっても現役のラテンDJがいる。
事故にあって車椅子生活を余儀なくされても歌うアイドルがいる。
人類に失禁を体験してもらうことに人生を捧げる学生がいる。
女装しながらエロとダイバーシティを巧みに操る魔女がいる。
自身が大腸癌になってミッションに目覚めた医者がいる。
700万人の希少難病者と共に戦うおっさんがいる。
車椅子ドリフトさせたら面白いだろってニヤつく変態がいる。
人工呼吸器を装着しながらDJを爆音で回す奴がいる。


こんな面白い人たちと、どこに行ったら出会えると言うのか?

SOCiAL FUNK!以外に、世界のどこにもないカオスな空間。

この空間に、ヒップホップレジェンド「BUDDHA BRAND」・フィメールラッパー「あっこゴリラ」・ハードコアマシーン「BAKU」・リバースプロジェクト「伊勢谷友介」などなどなどなどがさらに交わり、折り重なり、分厚く分厚くわけのわからない空間が出来上がっていく。

最高だ。

最高以外の言葉が見つからない。

SOCiAL FUNK! 2019、、、俺は変わらない。そして変わり続ける。
(ちょっとカッコつけすぎなのではないか?)

みんな〜、11/24はVISIONで会おうね。


2019/11/21 NPO法人Ubdobe 代表理事 岡勇樹

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