故・瀧本哲史さんが私たちに配った武器 「人に投資しよう。1兆円企業を目指して」
こんにちは、UPSIDER共同創業者・共同代表の宮城です。
昨日、プレスリリースにて、154億円の資金調達をご報告しました。
お客様、パートナー企業の皆様、そして従業員のみんなに感謝を申し上げます。
「AI技術で企業のお金の課題を解決するテクノロジー企業」として、
独自のAI与信モデルや優れたAIチャット体験が評価されました。
そして、シリーズCからユーザー数が50倍以上に成長しています。
このnoteでは、その話の深掘りは・・・しません(笑)
では、何について書くのか?
最近、まわりでよく聞くようになった、とある悩みについてです。
「2個目、3個目の事業が上手く立ち上がらない」
「事業トップやゼロイチをできる人が社内に見つからない」
という悩みをよく聞くようになりました。
特に、同時期に起業した仲間は、頭を抱えている人が多いです。
その度に思い出すのは、故・瀧本哲史さんからの教えです。
エンジェル投資家であり、経営コンサルタントであり、教育者。
UPSIDERにとって最初のエンジェル投資家であり、
瀧本さんにとって生前最後の投資先がUPSIDERでした。
名著『僕は君たちに武器を配りたい』のタイトル通り、
瀧本さんは、私たちに大きな武器を授けてくれました。
「人に投資しよう。1兆円企業を目指して」という思想です。
このnoteでは、瀧本さんとのストーリーに触れながら、
UPSIDERで挑戦している、人への投資について書いていきます。
まだ成功してませんが、着実に成果が出始めています。
リーダー人材がひしめく会社になる兆しが見え始めています。
人への投資がUPSIDERの戦略であり、文化であり、
そして、シリーズDにて調達した資金の使途なんです。
そんな話を、ここから書いていきます。
人への投資なしに、1兆円企業になれない
UPSIDERは、時価総額1兆円以上を目指しています。
日本を代表し、世界で戦える金融プラットフォームへの通過点として。
バカ真面目に目指しているからこそ、気づいていることがあります。
それは、リーダー人材がたくさん育つ環境が必要であることです。
ZOZO等、ほぼ単一の事業で1兆円を超えられる企業もありますが、ほとんどは違います。
リクルート、サイバーエージェント、楽天など、複数の事業や海外など、大きな市場に展開している企業です。
事業が増え、地域が増えると、経営の難易度が高くなります。
各事業、地域、機能をリードできる経営人材が必要になります。
自社によるゼロイチの集合体でも、買収・合併の場合でも。
経営人材は、採用やM&Aで集められるという意見もあります。
でも、日本においては、限界があります。
経営人材プールの総量が足りないからです。
また、長く経営を担うほどのロイヤリティは期待できません。
だから、長い目線で、人への投資が大切です。
若手に投資し、将来のリーダーを創れるかどうかが、会社の未来を左右します。
短期的には、実績がある人に任せる方が早くて楽かもしれない。
人件費が高くても、事業がイケてれば、見合うかもしれない。
若手に頑張って投資しても、辞めてしまうかもしれない。
それでも、UPSIDERは、人に投資します。
会社の未来の資産になり、成長の源泉になると信じているからです。
打算的な理由だけじゃなくて、「やりたい」という純粋な気持ちも強いです。
私もTomo(共同代表)も20代のときに、めちゃくちゃ投資してもらいました。
そして、瀧本さんにもチャンスをもらいました。
そのおかげで、今の自分たちがいます。挑戦させてもらえてます。
だから、自分たちでも、やりたいんです。
ひとりでも多くの挑戦者が社会に増えれば、という想いで。
では、どこの人材育成を参考にするのか?
当然、リクルートやサイバーエージェントの仕組みは勉強しています。
でも、私たちには、まだまだ手が届かない仕組みです。
なので、瀧本さんの教えを大切にしてきました。
具体的な教えに入る前に少し・・・
瀧本さんとのストーリーをここに残させてください。
エンジェル投資家・瀧本哲史さんとの出会い
瀧本さんに初めて会ったのは、2018年7月26日。
六本木ヒルズ上層階の会員制のレストランにて。
私のマッキンゼー時代の同期で、先に起業していた岡田君(現・株式会社プログリット代表取締役社長)の紹介でした。
「ドレスコードがあります」という事前のメッセージと裏腹に、
ボサボサの髪、ヨレヨレのシャツで、紙袋を下げて、瀧本さんは現れました。
「この方がエンジェル投資家か・・・」と思ったのも束の間、
「んで、何をやりたいんですか?」といきなり本題に入りました。
当時は、ピッチ資料などもまだ準備していない時期です。
私とTomoで、口頭で、やりたいことを精一杯つたえました。
瀧本さん「で、いくら必要なんですか?」
私・Tomo「1,500万円です!」
瀧本さん「・・・」
私・Tomo「・・・」
瀧本さん「ダンッ(Done)!」
私・Tomo「!!!!」
瀧本さん「・・・」
私・Tomo「え、まだリード投資家もいないんですが・・・」
瀧本さん「早く見つけてきて下さい。準備しておきます。」
私・Tomo「はい!!来月いっぱい下さい!」
という猛烈なスピードで、コトが決まりました。
それが、瀧本さんとの歩みの始まりでした。
そこから亡くなるまでの1年間、毎月何回も相談にのってくれました。
その時期は、私たちが暗闇でもがいていた時期です。
「正しい市場、正しいチーム。君たちは絶対成功する!」
「成長企業がこぞって使う、カッコいいブランドの銀行になります!」
ポジティブに背中を押し続けてくれた、最高の応援団長が瀧本さんでした。
瀧本さんが生前に残してくれた武器
これらは、瀧本さんの著書からの抜粋です。
どれも、瀧本さんの思想が濃く出た言葉ばかりです。
短い期間でしたが、私たちは、瀧本さんの思想に強く影響を受けました。
瀧本さんが私たちに向き合ってくれるときのスタンスから、
挑戦する若者への向き合い方について、多くのことを学びました。
UPSIDERでは、その思想をベースに、人に投資をしています。
私たちは、「どの山に登るのか」というデカい目的を共有します。
加えて「絶対にやらないこと」という制約も共有します。
しかし、戦略やロードマップを「これが答えだ」とは示しません。
「これをやれば上手く行く」という約束もしません。
山頂に突き進む道は、自分で考え、自分で決めて、自分で行動する。
自分で決めるから、直面する試練を乗り越え、助け合え、成長につながる。
それが、UPSIDERでの、人への向き合い方です。
育成する仕組みは、ほとんど整備されていません。
受け身の人に機会(ポジション等)を意図的に与えることも、していません。
なので「育てて欲しい」「機会が欲しい」という人には、厳しい環境です。
UPSIDERにあるのは、挑戦を後押しする環境です。
自分で決めて、自分で行動した人は、スペースと責任を手にできます。
UPSIDERで着実に出始めている成果
イメージが湧くように、いくつか事例を紹介したいと思います。
与信審査チームのリーダーYさんの話:
与信モデルを作り、与信審査を回すチームがあります。
Yさんは、去年、審査実務を担当するメンバーとしてジョインしました。
お客様や営業現場に早く丁寧に答え、インシデントが起きる度に前線で身を張り、月曜朝も一番早く出勤するなど、「Yさんはどこにでもいる」と言われるほどになりました。
1年も経たず、Yさんにリーダーとしての責任とスペースが作られました。
しかも今は、その枠すら超えて、債権回収の領域まではみ出したり、新規事業の与信方法を自ら設計するような挑戦をしています。不正対策チームのリーダーのHさんの話:
不正利用を監視し、お客様を不正被害から守るチームがあります。
Hさんは、一昨年、カスタマーサポートのメンバーとしてジョインしました。
不安を感じるお客様に対する丁寧なフォロー、開発チームやVisa加盟店との知識が必要なやりとり、インシデントでの積極的な対応など、通常のサポート業務を超えた領域での活躍が目立ち、不正対策チームのリーダーになりました。
最近では、「日本一イケてる不正対策組織」というテーマで、下半期の目標や予算について、自分から経営に提案してくるような動きをしてくれています。事業責任者のIさんの話:
今やUPSIDERの大きな柱である支払い.com。
事業責任者のIさんは、インターンでジョインし、この4月に正式入社しました。
新卒1年目の社員に主力事業の責任者を任せる判断は、普通の会社はしないはず。
でも、圧倒的な行動力や変化力から、自然な流れで事業責任者を担っています。
今では、大きな環境変化に対応する戦略や計画を決めるだけでなく、自らの判断で集めたメンバーで、モメンタムの高いチームを作り、率いてくれています。関西支社長のMさんの話:
これまで、東京のみでやってきたUPSIDER。
お客様は全国にいるものの、東京以外に拠点はありませんでした。
そこで、自ら進んで関西支社を立ち上げたのが、新卒1年目のMさんです。
オフィス契約から、予算・撤退基準の決定などを、「自分自身の金だったらどうするのか?」というスタンスで、自ら考え、自ら決めてきました。
立ち上げ後は、自らが圧倒的な成果を見せながら、関西支社で作りたい文化を意識した採用も進めています。新規事業開発のMさんの話:
3年前にグロースパートナー(セールスとカスタマーサクセスを両方担う役割)として入社したMさん。
最近、自らが圧倒的に数字を作ってきた領域で、いつの間にか新規事業を立ち上げ、気づいたら勝手に売上を立て始めています。
「自分が一番ニーズへの解像度が高いし、一番売れます」「Toruさん(私)が何を言おうとやりますよ」という圧倒的な当事者意識で行動しています。
これらはすべて、ビジネスサイドでの、ごく一部の事例です。
他にもビジネスサイドの事例はたくさんありますし、
エンジニア、プロダクトマネージャー、コーポレート等に広げると、書ききれません。
この11月に、創業以来の大きな組織変革がありましたが、
それは、トップダウンの判断がきっかけではありません。
むしろ、リーダーひとりひとりの主体的な決定や行動を、
全力で後押しするために、組織構造を合わせに行く作業です。
求められる以上の責任に登ってくる人たちに、上のスペースを空ける。
求められる責任をしっかり果たしながら、周囲の領域に勝手にハミ出していく人たちには、思い切って、100%ハミ出させてみる。
そういう後押しです。
その結果、グロースパートナー(セールスとカスタマーサクセスを両方担う役割)のマネージャーのほぼ全員が新規事業の責任者へ。
まるでシードラウンドの企業が集まったかのような状態に。
プロダクト開発では、ステップアップする人、違う領域に飛び出る人が、互いの挑戦を支え合っています。コーポレートでも、次のリーダーが生まれ始めています。
まだ成功してませんが、着実に成果が出始めています。
リーダー人材がひしめく会社になる兆しが見え始めています。
その先に、1兆円企業の未来が見えてくるはずです。
まだ会社の外からは、大きな変化は見えないかもしれません。
でも、明らかに、人の厚みが大きく増しています。
社内のメンバーは、みんな感じているはずです。
社外にも大きな変化が見え始めるのは、おそらく、時間の問題でしょう。
更に大きなスケールの挑戦をしに、経験者が集まる
若手の話ばかりしましたが、若手だけではありません。
VP of Engineeringの泉(元ラクスル取締役)
VP of Productの森(元PKSHA Technology執行役員)
VP of Growthの米田(元楽天球団社長)など
これまで大きな挑戦をしてきたマネジメント経験者が、
更に大きなスケールの挑戦をしようとUPSIDERに集まってきています。
加えて、金融業界の専門性が高いシニア人材が、
業界構造を変える挑戦をしたいという想いで集まってきています。
安定した大手企業にある約束された道を手放してでも挑戦しようと、UPSIDERに飛び込んでくるような面々です。
CFOの原(元ゴールドマン・サックス マネージング・ディレクター)
UPSIDER Capital取締役の眞木(元LINE Financial 執行役員)などです。
みんな、若手に劣らず、これまでの経験の枠を捨てて、新たな挑戦をしています。
これまで十分に挑戦し、実績を積んできた人たちが、より大きな挑戦に挑む環境です。
UPSIDER コーポレートサイト:
パートナー企業の方々の成功、出世に投資する
話は少し変わりますが・・・
似たスタンスを、パートナー企業の方々に対しても大切にしています。
業務提携先、JV先、融資取引先、API連携先、株主など・・・
あらゆるパートナーに対してです。
私たちの事業はすべて、パートナー企業あっての事業です。
祖業の法人カード「UPSIDER」は、ライフカード様のライセンスなしに存在せず、三菱UFJ銀行様からの融資なしにスケールしてきませんでした。
今や大きな柱となっている、請求書カード払い「支払い.com」は、クレディセゾン様とのパートナーシップがあるからこそ、実現・運営されています。
同様に、昨年スタートした、日本最大のグロースデットファンド「UPSIDER BLUE DREAM Fund」を運営する株式会社UPSIDER Capitalは、みずほフィナンシャルグループ様とのジョイントベンチャーです。
これらのパートナー企業の成功があっての、私たちの成功です。
なので私たちはいつも、お相手の担当者や担当役員の方々のことを気にしています。
何でお困りなのか、どうすれば出世・成功のお役に立てそうか。
新しい業務提携について稟議をあげる際は、
「お相手の担当役員、担当者の方々を応援したいと心から思っているか」
という項目があり、該当しないと承認がおりません。
当然、戦略や業務の観点で、「会社」「事業」の相性も議論はします。
しかし、それ以上に、お相手を「人」として捉えています。
その企業の、どなたと取引をするのか、をとても大切にしています。
このスタンスは、これまで話してきた「人への投資」と一貫しています。
UPSIDERの文化の大好きな部分であり、競争優位性だとも思っています。
すべての企業がお金で不自由にならない世界へ
よく、「戦略は?」「差別化は?」と聞かれます。
当然、代表取締役として、説明すべきときは説明します。
でも、心の奥底では、「人への投資です」と答えている自分がいます。
人への投資が戦略であり、差別化である、と。
瀧本さんの教えの通り、1兆円企業を目指し、人に投資します。
突き進む道をひとりひとりが考えて決める、層の厚い会社を目指して。
仲間たちが突き進む道の先に、大きなひとつの目的を掲げるのが、共同創業者の私とTomoの仕事です。
ミッション「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」を果たした先に、どんな未来があるのか?
それは、「すべての企業がお金で不自由にならない世界」です。
弱い立場にあるスモールビジネス、変化に直面する中堅企業、急成長するスタートアップ、上場して風当たりを感じる成長企業。
どんな企業でも、大企業レベルのお金の自由度とパワーを持てる世界です。
専門家や経験者を抱えていなくても、お金で躓くことのない世界です。
「マクドナルドやAmazonで当たり前になってる世界をここで実現したい」
という、共同代表のTomoの表現がわかりやすいと思います。
マクドナルドに行けば、どんな味でいくらなのかわかりやすく、しかも早い。
Amazonに行けば、商材の質や価格がわかりやすく、しかも届く日がわかる。
わかりづらいことや長く待つ必要はないし、騙されることもない。
でも、マクドナルドやAmazonが登場する前は、常識は違いました。
買い物はもっと不確実で不安で、「一部の人が得する」世界だったはず。
企業にとって、お金を管理する、動かす、集めるという業務は、まだまだ不確実で不安な世界です。
そもそも選択肢を教えてもらえないこと、
専門性がなくてミスすること、
待ったあげくに利用できないこと、
はじめに聞いていたより価格が高くなることなどがあります。
裏側は人が処理・判断しているため、人による対応の差が生まれますし、利用者との知識の格差がありますし、大きな利用者でないと経済性が成り立たないからです。
でも、その常識を、UPSIDERは変えようとしています。
「弱い立場の方々とテーブルの同じ側に座る」「呼吸感覚まで早くて簡単に」という基準を大切にしながら、AI技術をうまく活用し、圧倒的な体験を届け始めています。
お金の領域でマクドナルドやAmazonの世界観を実現した先には、「より挑戦しやすく、挑戦が実を結びやすい社会」が待っています。
最後に
UPSIDERの未来は、ここからが本番です。
私たちは今ようやく、大きな挑戦のスタートラインに立っています。
このnoteを読んで、「UPSIDERのビジョンに共感した」「自分もUPSIDERの一員として未来を創りたい」と感じた方がいらっしゃれば、ぜひ一緒に挑戦しましょう。
UPSIDERでは、全職種で採用を行っています。
私たちのチームはまだ150名規模の小さな組織ですし、どんどん立ち上がる事業を子会社化するため、HD制に移行しました。
大きな責任を持てる機会、大きなインパクトを生み出せる仕事がたくさんあります。
挑戦者の方々を応援すると同時に、自分自身も世界を変革するような大きな挑戦をしたい方をお待ちしています。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
これからもUPSIDERは、お客様・パートナー企業とともに、より良い未来を創るために全力で取り組んでいきます。
どうぞよろしくお願いいたします!
そして・・・瀧本さん、ありがとうございます。
▽UPSIDERの採用ポジションはこちらから